2019年03月24日

静物画と中国陶磁

peeters Russia.JPG

17世紀オランダ美術と〈アジア〉 2018年11月30日発行
https://honto.jp/netstore/pd-contents_0629341252.html

西洋美術館の幸福輝(こうふく・あきら)、氏の論文にある
「1680年代にオランダ静物画から東洋陶磁器の描写が消滅する、、という指摘」はずっと気になってました。

 この1680年代というのは、三藩の乱も終結し、清朝政府が景徳鎮に臧応選を送り込んで官窯を本格的に推進する時代です。むしろ景徳鎮の陶業としては隆盛へむかう時代で、その後、雍正帝の時代の異常な洗練、乾驍フ爛熟へと展開するわけです。官窯に注力して輸出がなおざりになっていたり禁止されたのかと思えば、

1690年頃の
ブンタウ・カーゴ
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/3312/

をみればわかるように膨大な陶磁器を欧州に輸出してますし、

それは、乾骼梠繧フ
Geldermalsen号  Nanking Cargo 1750年難破、1985年引き揚げ
の一艘の船だけで二万点以上の陶磁器輸出という状況に続いております。

そうなると、むしろ中国陶磁器がたくさん輸入される時代になって、超貴重品でなくなったから、自慢できるもの・誇示するものでなくなって、静物画に描かれなくなった、と解釈したほうがいいのかもしれません。

イメージはクララ・ペーテルスの静物画(1612−3頃)の部分:
詳細は、、


posted by 山科玲児 at 11:17| Comment(0) | 日記

キャンバスに移されていた

The_Annunciation_Crivelli.jpg




来年のロンドン・ナショナルギャラリー展
https://artexhibition.jp/london2020/



カルロ・クリヴェッリ
《聖エミディウスを伴う受胎告知》(イメージ  207 x 146.7 cm)
https://www.nationalgallery.org.uk/paintings/carlo-crivelli-the-annunciation-with-saint-emidius

が展示されるというので喜んでいます。10年ほど前に実見。 NGのクリヴェッリでは一番の作品でしょう。モンテフィオーレの1パネルであるピエタが甲乙付けがたいんですが、大きくてしかも質が良いという点でこっちが1位かな。。
ただ、画像のキャプションに「キャンバス」とあったのがどうも不審でした。クリヴェリの作品は殆ど木材の板に描いてあるものです。例外はあるかもしれませんが、観たことがない。。まさか別の模写本か??と疑ってしまいます。

 ライトボーン本(ref1)の短い解説(図版キャプションにあるだけだもんな、この本はテクニカルデータ軽視すぎです)、NGの英文サイト、を読んだら、もともとは木材パネル絵だったのをキャンバスに移し替えしたもの、だということでした。どの時代、どの場所でやったのかはわかりませんが、まあ納得です。Rizzoli のカタログレゾネ(ref2)では板パネルになってたんだけどなあ?? 間違いなのか、1970年ごろ以降にやったのかの、どちらかだと思います。

  この大画面パネルの移動・輸送は危険ではないか?と危惧したのですが、実はキャンバスに移し替えしてるからできるみたいです。アスコリ・ピチェーノにも一度里帰りしているらしく、大きなポスターがアスコリの絵画館近くに貼ってありました。

 キャンバスへの移し替えは、そういう点では有利なんですが、問題もあります。年輪年代測定ができなくなってしまいますし、基底材の特徴から知ることの出来る情報がなくなってしまいます。画の表面の肌合いも変わってしまうことがあるようです。また、最悪の失敗をすると絵が崩壊してしまうこともあるようです(ref3)。

 ワシントンのナショナルギャラリーにあるファンアイクの受胎告知は、19世紀にロシアでキャンバスに移し替えしたものですが、なにかと表面の変化などなど、、そういうことがいわれております。ただ、下記サイトの拡大写真ではそう欠点が目立たないようでなによりですね。
Jan van Eyck The Annunciation
c. 1434/1436https://www.nga.gov/collection/art-object-page.46.html

  イタリア絵画の場合は、ポプラが主な材木なんで未だ年輪年代測定ができないのですが、研究が進めばできるかもしれませんし、無闇に基底材を捨ててしまうのは感心できません。最近は、こういう大胆なキャンバスへの移し替えは避けるようですね。
ref1. Ronald Lightbown. Carlo Crivelli. New Haven, 2004,
ref2. BOVERO A.,   L'OPERA COMPLETA DEL CRIVELLI. Editore: Rizzoli Milano 1974
ref3,  クヌース・ニコラウス,黒田夫妻訳,絵画鑑識事典2nd ed., 1990, 美術出版社

posted by 山科玲児 at 08:10| Comment(0) | 日記

2019年03月23日

クリヴェッリの大作が来日

The_Annunciation_Crivelli.jpg

来年のロンドン・ナショナルギャラリー展
3月〜6月  東京
7月〜10月 大阪

ですが、ゴッホの「ひまわり」なんか前面に出してたんで、なんの期待もしていなかったのですが、甘くみておりました。

なんと、あのカルロ・クリヴェッリの大作

カルロ・クリヴェッリ
《聖エミディウスを伴う受胎告知》(イメージ 
207 x 146.7 cm)
が展示されるそうです。

これをまた観るためにだけいってもいいかなあ。

フェルメールの佳作、カナレットの佳作も出るみたいですね。
これで、ピエロ・ダ・コシモの作品があればいうことなしなんだが、、、
クロード・ロランもでてこないかな。

posted by 山科玲児 at 09:37| Comment(3) | 日記

福島で若冲展



  震災復興を願って、福島県立美術館
https://art-museum.fcs.ed.jp/
で、若冲展がおこなわれます。3月26日〜5月6日
https://jakuchu.org/

 出品目録みると、ミネアポリスから借りてきたものがあるのですが、
2015年11月21日
METとMIA バーク コレクションの落ち着き先
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/168246828.html
で書いたようにバーク・コレクションの半分はミネアポリスにいっているので、これかもしれません。
posted by 山科玲児 at 09:19| Comment(2) | 日記

2019年03月22日

曜変天目  まぎらわしいコメント


国宝「曜変天目」21日から公開|NHK 関西のニュース
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20190320/0013661.html

大徳寺 龍光院の曜変天目の公開の話です
信楽の
MIHO MUSEUMでの特別展についてのNHKニュースです



付属の動画で、館長さんが「400年お寺から一歩もでなかった奇跡の天目」と解説していらっしゃいますが、なんか、今回が初めてみたいな言い方ですね。紛らわしいと思いました。まさかNHKの編集でこうなったんじゃないでしょうね?動画編集なんかカンタンにできますからね。

少なくとも、昭和時代以後は、まれにですが、京都国立博物館などで公開されてますから。

・京都国立博物館 大徳寺名宝展:開山650年遠諱記念 1985.04.09-1985.05.12
・開館120周年記念 特別展覧会 国宝2017年10月 3日 〜 2017年11月26日

まあ、嘘が多いNHKだから、このくらいは許容範囲・かわいいものということでいいのかな。


MIHO MUSEUMでの特別展サイトはこっち
http://www.miho.or.jp/current_exhibition/

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posted by 山科玲児 at 08:12| Comment(0) | 日記