2019年09月15日

ウクライナ内戦とスキタイの黄金

Scythian gold ukraine ss.JPG

  戦争で古美術品が被害をうけたりとりあいになったりするのは、よく起こることだが、この前のウクライナ内戦、クリミア併合の余波が、アムステルダムでの美術展にも及んでいて、裁判になっており、まだ未解決のようである。

アムステルダムの裁判所にて、スキタイの金細工のウクライナへの返還を巡る控訴裁判の審議が開始された。

Ukraine files motion to recuse judge in Scythian gold case
https://112.international/ukraine-top-news/ukraine-files-motion-to-recuse-judge-in-scythian-gold-case-43550.html

 内戦(2014年2月)の前、ドイツのボン、次にアムステルダムで"Crimea - the golden island in the Black Sea"(クリミア 黒海の黄金島)という展覧会が開かれていて、2014年2月7日に閉幕した。
動画があるが、わりと地味です。1992年の三越のほうが凄かったな。

ここに出品していたクリミアの博物館からの出品物について、ウクライナが請求し、アムステルダムの地方裁判所では、2016年12月14日、ウクライナに返すという判決がでた。クリミア側は当然上告し、まだ争っているようだ。

 このときの展示会では, 大きな剣と黄金の鞘などの19件はキエフのウクライナの博物館からのものなんで、とっくに返却しているのだが、残りの 565件はクリミアの4博物館からのものなので、ウクライナが横槍をいれたらしい。クリミアには返さずウクライナに返せと要求し、訴訟になったようだ。
 クリミアの博物館からの作品は、どうも、小さな装飾品などが多く、見事な黄金製品を多数所蔵するウクライナの博物館が執着するほどのものでもないのに、なんて強欲・貪欲なのだろう。カタログ表紙の目玉の黄金鞘もキエフのもので、とっくに返却してるしねえ。

 イメージは1992年東京三越で開催されたウクライナ キエフの博物館によるスキタイ黄金美術展のカタログ表紙。これでみても所蔵品は立派です。 英文サイトにある豪華な黄金製品はクリミアの博物館にあるものではなく、どうも例として、エルミタージュのものを出してきただけのようだ。この辺、ちょっと印象操作っぽいです。

  しっかし、こういうことがあるから、台北 國立故宮博物院が貸し出しに慎重になるのは無理もないことだと思う。 外国に貸したら、中共から差し押さえ訴訟されたらかなわないもんな。

posted by 山科玲児 at 07:59| Comment(0) | 日記

2019年09月14日

レオナルドのレダ

Leonardo Leda.jpg


オークション会社 サザビーズの動画を2,3観ていたら、英国のチャットワースのデヴォンシャー侯爵の邸宅ならびに素描コレクション 紹介の動画があった。おそらく売り立てなどを前提にした宣伝なのだろう。

 そのなかの目玉は、レオナルドの素描レダである。しかし、デヴォンシャー侯爵の豪華な部屋や広大な庭はすごいね。
Treasures from Chatsworth, Presented by Huntsman - Ep. 3: Da Vinci's Drawing of Leda and the Swan - YouTube

関連動画
Treasures from Chatsworth: The Exhibition | Art Auction & Sales | Sotheby's

ところが、この素描と似たものがロッテルダムのボイマンスにあって(イメージ)、こちらのほうがよく知られているかもしれない。

2つともレオナルドのカタログ・レゾネには掲載されていて同等の評価のようであるが、当方はボイマンスのほうが少し良いか?という感じている。この素描は、ケーニッヒ・コレクションがまとめてボイマンスに入ったときにその目玉として名品選集図録(1952, ref)の表紙になったものである。このケーニッヒ・コレクションのラインアップは、なんとなくデヴォンシャー侯爵の素描コレクションとよく似ているところが面白い。おそらくある時代に流行だったコレクションの設計図「これとこれとこれが優れた素描であり、こういうものを集めないといけない」という鳥瞰図を共有しているのだろう。日本の手鑑で古筆収集のガイドラインをしめしているようなのと似た現象が欧州にもあったのだろうか。、

ref and image source  Collection Koenig musee boymans , Dessins de Pisanello a Cezanne, Art et Style 23, Paris, 1952
posted by 山科玲児 at 09:42| Comment(0) | 日記

2019年09月13日

黄金と象牙




芳賀 京子、 芳賀 満, 西洋美術の歴史1 古代 - ギリシアとローマ、美の曙光   2017/1/29
を借りてきて読んでいるのだが、まあ、こういうテーマは書きにくいだろうなあ、と思う。

とにかく、新発見としては、クレタ ミノア時代の54cmもある彫像、しかもカバの歯と黄金でつくられ、眼は水晶、髪は蛇紋石という、たぶん神像、が発見されていたようだ。発見場所はクレタ島の東の端っこのパライカストロである。、
この地方の博物館にあるんだそうで、あまり観た人もいないのではなかろうか。

Category:Palaikastro Kouros
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Palaikastro_Kouros

著者は、この材料の選び方が、1000年近くあとの古典期フィデアスの アテナの巨像やゼウスの巨像と同じような「黄金象牙像」であることに注意している。

前も書いたが、
  古代ギリシャ彫刻は、 象牙+黄金+木材が最高ランク、次が青銅、そして欧米人がルネサンス以来讃仰してきた大理石像はその次のランクだと思う。

 そういう意味では、デルファイ博物館にある、この2つの黄金象牙像はもっと注目されていいと思う。
 なんとなく不気味で威圧的だが、もともと神像というものはそういうものだろうし。。

Category:Chryselephantine torso of Artemis in the Archaeological Museum of Delphi
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Chryselephantine_torso_of_Artemis_in_the_Archaeological_Museum_of_Delphi
Category:Chryselephantine torso of Apollo in the Archaeological Museum of Delphi
https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Chryselephantine_torso_of_Apollo_in_the_Archaeological_Museum_of_Delphi
https://ancient-greece.org/museum/muse-delphi.html
posted by 山科玲児 at 09:25| Comment(0) | 日記

2019年09月12日

オークション出品中国青銅器の回収だった

東京オークション2019Mars ss.jpg

おかしなニュース
新華社通信
https://twitter.com/XHJapanese/status/1171757256704004098

>中国国家文物局は10日、日本に流出した中国の文化財である青銅器8点が当局による5カ月の追跡の末、中国に戻ったと発表した。青銅器は、中国中部・湖北省随州市にある春秋時代(紀元前770〜同476年)にさかのぼる古代の墓から盗掘されたものであることが研究者によって確認されている。


このニュースには、相当 印象操作があり、おかしなところがあるようだ。
この言い方だと、最近中国で盗掘されたものを日本にもちこんだ者がいて、当局が追跡して日本政府の協力の下回収したようにみえるが真っ赤な嘘。戦前の蒐集家 カシン農(1883-1945)の収集品で、東京中央オークション(イメージ)にだされたもの。今年2019年3月のオークション出品予定でした。


まず、
・この青銅器群は近年盗掘されたものではない。戦前の蒐集家 カシン農(1883-1945)の収集品
・そもそも中華人民共和国以前に発掘されたもの。
・近年、日本に来たものではない。
・戦前、来たか、戦後、華僑系の蒐集家のもとにあった。

>当局による5カ月の追跡の末
とか言っているが、それは、東京中央オークションに出たあとの追跡であろう。




東京中央オークションニュース
https://www.chuo-auction.co.jp/news/

3月9日
Lot 140の  西周晩期  曾伯父青銅組器は家族遺産問題のため、出品中止させていただきます。
これが、中華人民共和国 国家文物局の横槍じゃなかったか??と邪推したくなるのですが、、
posted by 山科玲児 at 11:20| Comment(0) | 日記

おかしなニュース


>中国国家文物局は10日、日本に流出した中国の文化財である青銅器8点が当局による5カ月の追跡の末、中国に戻ったと発表した。青銅器は、中国中部・湖北省随州市にある春秋時代(紀元前770〜同476年)にさかのぼる古代の墓から盗掘されたものであることが研究者によって確認されている。
 20年前ならともかく、今は日本から中国へ青銅器や文物が流出している状況なのに、わざわざ中国大陸から日本市場に持ち込むバカはいないだろう。日本のほうが安いのだから。

 じゃあ、なぜ? 
  なんらかのマネーロンダロングのために持ち出したのか?  なにかの陰謀のための新華社フェイクニュースなのか?
posted by 山科玲児 at 08:47| Comment(0) | 日記