2015年10月13日

新発見?のブリューゲル


 新発見のブリューゲル大作 聖マルティヌスのワインについては2011年3月6日にレビューしておいた。これは、現在まで異論は出ていないようで、真作として認められているのは喜ばしいことである。

 最近、というか10月10日から開催中のロッテルダムのボイマンスでの展覧会(来年1月17日まで)では六点のブリューゲルの作品が展示されているそうである。
    ボイマンス自身が誇る「バベルの塔」、 ウイーン美術史美術館の「鳥の巣の諺」、ブラッセル王立美術館 「鳥罠のある冬景色」、ニューヨーク  フリック=コレクションの「3人の兵士」、ルーブルの「いざりたち」そして後述するもう一点である。

 http://www.boijmans.nl/en/10/press/pressitem/518
  この件は3月に述べておいた。
  2015年03月25日
  ボスからブリューゲル特別展 (ロッテルダム)
  http://reijiyamashina.sblo.jp/article/115666259.html

 そのうちの一点が、新発見というほどではないらしいが、一般の昔の薄めのカタログレゾネには
記載されていないもので、面白い。直径20cmの円形の板に描いた小さな絵で、
  For the first time in the Netherlands: Six panels by Pieter Bruegel the Elder together
    http://www.boijmans.nl/en/10/press/pressitem/547
に画像がある。
 個人蔵でほとんど公開されていなかったものだそうだ。ブリューゲルの小型の板絵には結構そういうものがあり、例えば最初期の年代が入っている「チベリアの海に現れるキリスト」が有名だ。「聖母の死」も今こそナショナルトラスト所蔵だが、その前はそういうあつかいだった。この絵も個人蔵からの借り物であり、ボイマンスが所蔵しているわけではない。

 同じ絵柄が、息子のピーター=ブリューゲル2世作というふれこみで。、2013年にクリスティーズで売られていたようだが、あまり感心するものではない。1億円近い落札価だけれど、まあね、買う人は買うんだろうね。
 http://www.christies.com/lotfinder/paintings/pieter-brueghel-ii-the-drunkard-pushed-into-5684576-details.aspx

 このボイマンスで展示された絵でちょっと気になることは、同じ絵の古い版画(↓↓下イメージ)があって、それと鏡映関係にないことだ。
  理由はよくわからないが、ブリューゲルの版画は原画の油絵テンペラ画デッサンが残っている場合は、私が見る限りはすべて左右反対で鏡映関係になっている。これは版画制作のときの技術的な問題なんだろうと思っている。
 なぜか、この絵だけ鏡映関係にないのは不審だ。確かにクリスティーズにでていた作品などよりずっと優れたもので、ボイマンスの研究員も認めているようだが、ちょっとひっかかるところがある。
 あるいは版画自体が版画をもとにして版画を作ったものなので2回鏡映して元に戻ったのだろうか??

  版画Source: ペーテル=ブリューゲル版画展、神奈川県立近代美術館、鎌倉、1972
                         このカタログ、解説は読みにくいが印刷はかなり良い。

 
Breugel Engrav Pig ss.jpg

posted by 山科玲児 at 09:07| Comment(0) | 2015年日記