2016年06月09日

美術品の移動とスペインの経済変動

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  今回、プラド美術館の常設展で驚いたのは、フラ=アンジェリコの「ザクロの聖母子」で、これはなんと2016年、今年の新収品である、修復はあるだろうが状態は大変いい。小さな断片でも珍重されてルーブルにはいっているフラ アンジェリコの1m近い大きな作品が新しくみつかるということがそもそもありえない話である。フラアンジェリコという画家名が確実かというと 類例があるからと言うことらしい。とにかく初期イタリアルネサンスの名品には間違いない。アルバ公の子孫の所蔵だったものだという、フランドルで16世紀に強権政治を行ったアルバ公のときに略奪没収されたものかと思ったが、全く違って1817年に14代アルバ公爵が、フィレンチェで買ったものだそうだ。

  この、フラ アンジェリコのことは、日本の美術ジャーナリズムには、全くでていなかったと思う。
  このマスコミの鈍感さもどうにかならないものかねえ?

  めあての一つだった、最近発見されたブリューゲルの大作:聖マルタンのワイン もまた、もと17世紀にナポリ代官をやっていたメディナチェリ家に伝世したものが、2009年にサザビーズにもちこまれプラド美術館 スペイン政府が介入して購入したというものである。

  どうもギリシャ危機以来の欧米の経済危機のためにスペインの貴族たちにも影響が及んでいるのではないか。日本でも金融恐慌や敗戦占領の際に多量の美術品が名家から動いたという歴史もある。
 実際、東京国立博物館 京都国立博物館の重要コレクションもそういう機会に緊急避難的に購入したものがほとんどである。


posted by 山科玲児 at 07:02| Comment(0) | 日記