2016年10月14日

ボス展でみた ヴェネチアにある祭壇画

Bosch Crucifixion  St Julia.jpg

  昔から有名な、絵ですが、ヴェネチアにある三組の絵は、なかなか観る機会がなかったし、全貌のカラー図版もあまりなかったというのが実情でした。ヴェニスのパラッチオ=ドッカーレに行っても「展示してない」「ラボにある」の一点張りで追い払われたもんな。ただ、「彼方への上昇」四つ組 は、2001年にボイマンス美術館におけるボス展の際に出て、それ以後は割と写真がでるようになりました。まあ、あの「上昇」は、とても印象的なので結構知っている人も多いと思います。

  今は BRCPのサイトで、赤外線写真と比較するかたちで観ることができるようです。
    http://boschproject.org/bosch_in_venice.html
  これで、一番発見があったのは、一番目のTriptych of St. Uncumberの両翼で大きな寄進者肖像が絵の下にあったということでしょうね。そういわれてみたら、古い写真でもなんとなく影があるから、なんで気がつかなかったのかなあ?、とも思うのですが、まあこういうのは「後智恵」というものでしょう。
 ちなみに、この十字架にかかっている聖女がだれなのかは、未だに議論があるようですね。BRCPはSt. Uncumberといっているし、プラドのカタログに寄稿していたイタリアの研究者はSt.Wilgefortisとしています。昔は「コルシカの聖ジュリア」とか言っていたな。 「聖リベラータ」という説もあって、わけが解りません。

 今回のプラドでは、隠者の祭壇画は観ることができませんでしたが、他の二セットは実見しました。
この殉教聖女の祭壇画、実見した印象では、中央画面はボスのオリジナルのようですが、重ね塗りした両翼は別人の筆なんじゃないかな? ブリュージュの「最期の審判」を描いた画家の筆じゃないかと思います。この両者はとてもよく似ています。 また中央画面も少し周りがきれらているかもしれません。なんとなく窮屈です。

 なんで塗りつぶされたのか?という点ですが、たぶん販売しやすくするためじゃないかな。当時、ボスの絵は大変高価なものでした。金貨100枚ぐらいはしたんじゃないでしょうか。身も知らない人の肖像が描いてあるものよりも、一般的な聖人などの絵が描いてあったほうが売りやすいでしょ。たまたま、売り立てなんかで入手した関係のない人にとって、より高い絵にしたいと加工したんじゃないかと思います。実際、ヴェネチアにあるグリマーニ枢機卿由来らしい絵は、全て注文画ではなく、美術市場で買った絵だと推定されているようですし。


posted by 山科玲児 at 09:36| Comment(0) | 日記