が特別展示され、おまけにポスターにもなっているという妙なことがありました。
フラマリオン本 総カタログ(1967)では英国の個人所蔵(ロンドン SABIN COLLECTON)だったようですが当時はどうだったのかな? イタリアに戻っていたのかもしれません。あるいは、ほぼ同じ絵が2点以上あるのかもしれません。
このときはカラヴァッジョ周辺の静物画というのが3点展示されておりました。
この展覧会は16世紀末〜18世紀の静物画が中心で、2001年〜2002年に東京・山形などを巡回した展覧会とは違いました。こちらでは20世紀のフォトリアリズムの静物画まででてましたからね。
故ルイージ サレルノLuigi Salerno (1924-1992) の
解説も、当時は難解なものでしたが、今読んでみると、専門的学殖を感じさせるもので、当時まじめに読んだ人は翻訳者のほかに何人いたのだろうか、とさえ思いました。作品解説にも1点1点注釈があり、巻末に参考文献がどっさりついてます。よく省略しないで印刷したものだ。この巡回展覧会は先行してドイツ ミュンヘンのアルテピナコテークで1984年11月〜1985年2月まで開催された格調高いものだったようです。
そして、
2001年に新宿でみた同じローディコレクションの展覧 当時のメモを加筆しておきますね。
イタリア静物画展
シルヴァーノ=ローディ コレクション
東京新宿の安田火災東郷青児美術館(〜5/26)でみました。私は、このコレクションを日本で観るのは2回目です。1986/9に北浦和の埼玉県立近代美術館で観ました。
埼玉で観たときは、オランダ静物画より甘い感じで、そう感心しなかったのですが、
羊皮紙にテンペラで描いた奇妙な静物が印象に残っていました。本展のNo。16 のイチヂクの絵です。これを観に出かけたようなものですが、おもわぬ収穫がありました。
個人コレクションですが、18世紀以前の古画では、有名な画家がほとんどいないので、かえって気持ちがいいと思います。個人コレクションとしては、堅実ないきかただと思いました。全体に軽い感じで、気楽に観れます。
カタログNo。11の「白磁の鉢と桃のある静物」が眼にとまりました。
女流画家フェデ=ガリッチア(1578ミラノ生ー1630?)の作品は3点展示されていますが、これが傑出しています。桃の重量感が感じられ、机の上の葡萄と杏?も良く、透かし彫りの白い鉢の描写も行き届いています。
白い鉢はたぶん白磁でなく白釉陶器でしょう。この時代では、白磁は中国日本韓国製しかなく、このような透かし彫りの鉢がヨーロッパの注文品として焼かれたという可能性はあまり考えにくいものですから。この絵はキャンバスではなく板に描かれています。
次にNo。16 の女流ジョバンナ=ガルゾーニ(1600ー1670)「皿に盛られたイチジク」です。羊皮紙にテンペラで描いたものですから、油絵とは肌合いがまったく違います。羊皮紙自体のクリーム色も背景に見え、全体に柔らかい感じがします。
イチジクの表面の色合いや亀裂が繊細な線とぼかし風の淡彩で表現され、好ましいものです。なによりも、このセンスはまったくイタリア的で、オランダ静物画とは隔絶しているところが、印象的でした。
この「羊皮紙にテンペラ」というのは、豪華な装飾写本の挿し絵を描くときの技術ですので、本の挿し絵を拡大したようなものですが、挿し絵以上のものになっています。
イタリアでは、「ガルゾーネ」というのは、画家の年少の徒弟のことをいう、侮蔑的な言い方のようですから、この名は、皮肉なあだ名かもしれません。
次にNo。29 のジョヴァン=バチスタ=ルオッポロ(1629ー1693)「魚と玉葱」です。これは普通の油絵ですが、迫真性という点ではこの展覧会で最高だと思いました。玉葱の皮の光沢と透明感、干魚のギラギラした光沢、干魚を縛った粗末な紐の質感など、おそるべき技量です。玉葱の根が少しありきたりな感じはしましたが、欠点の少ない佳作だと思います。
ルイスメレンデスの作品は、ダリのパンそっくりで、スペイン人ダリの技法はこのへんから来てるのかなあ?と思ったものです。
20世紀のもの、モランディなどもあったが、余り印象なし。
スーパーナチュラリズム/フォトリアリズムの絵が2点ありましたが、
17世紀の写実主義とは、まったく考え方が違うということは実感できました。
安田火災東郷青児美術館 イタリア静物画展−5/26
新潟市美術館 イタリア静物画展6/2−7/22
函館美術館 イタリア静物画展7/29−9/9
(株)富山市民プラザ イタリア静物画展10/6−10/28
足利市立美術館 イタリア静物画展11/3−12/9
山形美術館 イタリア静物画展2002/4/5−5/6