2017年03月14日

中国が日本でのオークションを中止させた



  昨年のことですから、古い話になりますが、先輩からきいて最近知ったので、少し書いてみます。
  昨年10月末に西新宿で開催予定の西域収集出土文書壁画断片のオークションが、

書画など競売に中国国家文物局が「待った!」 「違法に強奪された」と指摘
http://www.sankei.com/world/news/161103/wor1611030048-n1.html

 

  どうも、ここでオークション会社が引き下がったのは、この横浜国際オークションは中国人むけのオークションであり、中国人富豪や中国政府の代理人に入札してもらうのが目的だから、敬遠されたり、中共当局から入札禁止指示がでては元も子もないので従ったということではないか、と思います。経営者もチャイニーズです。国籍はわかりませんが。

実際、この横浜国際オークションのサイトでは、次のように述べていますから。

 弊社は、中国美術品・文化財の中国への回帰という時代のニーズに応じるため、2011年5月にオークション会社を設立致しました。
 同年9月よりオークションを開催し、回を重ねるごとに大変ご好評を頂いております。
これもひとえに皆様方のご配慮、お力添えあってのこと、心より感謝申し上げます。 

 引用元:会社概要 | 横浜国際オークション  代表  張樹[土敦]
http://www.ykauction.com/greeting_jp.html

 また、中国国家文物局が、こんなことをやったのは、以上の事情から簡単に脅せると思ったことと、現在中国が外貨不足に陥っているから、上層部から外貨を減らさないようにという指示を受けているからではないでしょうか。昔なら、富豪が落札して中国国内の大学や図書館や美術館に寄贈するというような形にするでしょう。実際、ドイツ銀行が華夏銀行株を売った代金を人民元からユーロに一括で変えられなかったり、在中国日本人が貯金を日本円に両替できなかったりする事件が既に報道されています。

 ところで、ここで「敦煌」と言ってますが、オークション予定の文化財の明細〔中文  簡体字〕をみると敦煌からの文化財だけじゃないみたいですね。クチャやトルファンじゃないですか? これは大谷探検隊将来品だということだそうです。
 大谷探検隊の橘氏などは、発掘または買い集めたはずで、「略奪」とは、ひどい侮辱です。
 このままだと、英 仏 独 露 米をはじめ他国にある中国文化財は、全て略奪品になってしまいそうですね。


posted by 山科玲児 at 11:52| Comment(0) | 日記

チキンカップが高いのはなぜ

伝世成化.JPG

Dr. John Rudolph Stephen Zuelligのチキンカップを2014年4月8日に香港でサザビーズがオークションしたとき
の記録では、
http://www.sothebys.com/en/auctions/2014/meiyintang-chicken-cup-hk0545.html
約37億円ということで、中国陶磁器の価格では最高値をたたき出したようです。

しかし、成化豆彩の陶磁器のなかで、このチキンカップがとくに高価なのはなぜでしょうか??
確かに成化の陶磁器は現存量が少ないし、色絵磁器は更に量が少ないものです。それにその繊細なつくりや愛らしい色絵は魅力的で高く評価されるのは当然ですが、それにしても凄い。

蔡和璧
傳世品 成化瓷(イメージ)
http://www.hanniew.com/C-NC00421.htm
 に興味深い「文献記録」がありました。

  萬暦年間の前半では成化の色絵陶磁器は龍泉窯陶磁器より下に評価されていたんだそうです。萬暦26年の「清秘蔵」上巻に書いてあるんですね。
 ところが、萬暦後半以後の萬暦野獲篇、崇禎時代の「帝都景物略」で、突然成化の色絵がバブルになり、「チキンカップ一対で十万銭」「銀百枚」というような値段が当時の北京ではやし立てられたそうです。
 これは、当時萬暦赤絵が萬暦帝宮廷中心に多量に制作され、景徳鎮民窯でも作ったという背景があるんですかね。上の好むところ下これに従ったんでしょうか。
  さらに、清朝になっても、その評価は続き、康煕年間の代表的なスター学者:朱彜尊(しゅ いそん、1629年-1709)も「チキンカップが一番高い」と書いてるし、康煕帝の骨董ブレインだった高士奇も「成化のチキンカップは宋磁より高い」と書いています。

  蔡和璧先生は成化なら葡萄杯のほうがチキンカップよりずっと少ないのに、なぜかチキンカップのほうが高く、偽物やコピーもチキンカップのほうがずっと多いのはどういうことだろうか、と書いています。
 どうも、チキンカップの高価さというのは、「希少さ」だけではなく「人気」「マスコミ」「著名人の煽り」によるものではないのかなあ、と思っています。耳鑑というものですね。

 現代でも量の多いピカソやルノワールの絵の価格が17世紀の名画より高かったりして憮然とすることがありますが、まあそういうのに近いのかな。
 こういう「人気」によって価格が変動するということは、西洋でも多く、
1850年  ウィレム2世所蔵品オークションでは、
ヤンファンアイク  ルッカの聖母(現在  フランクフルト  ステーテル美術館)  3000フロリンに対して
ロイスダール   風景  12,000フロリンという価格は、現在の評価では到底信じられないものですが、やはり「人気」に左右されるものなんでしょう。

ちなみに、
蔡和璧
傳世品 成化瓷(イメージ)
http://www.hanniew.com/C-NC00421.htm
は、國立故宮博物院のカタログが解説が少ないのを補うような形で文章が中心であり写真はあまりよくありません。この力作が「芸術家出版社」から刊行されたということは、蔡氏の率直な見解が國立故宮博物院であまり受けいれられなかったということかも、という噂が当時流れたものです。現在でも比較的安く買える本ですが推薦できる名著だと思います。

posted by 山科玲児 at 07:16| Comment(0) | 日記