2017年06月02日

チャーチル 神話

不必要だった二つの大戦.JPG

この本、

不必要だった二つの大戦
――チャーチルとヒトラー  
パトリック・J・ブキャナン 著
河内隆弥 訳

http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336056412/

は、まずチャーチル糾弾の本である。500p以上もあるのでそれ以外のこともたくさん書いてあるようだ(全部精読してはいない)が、それが一番目立つ。
異常な戦争屋であるチャーチルが、不必要な第一次大戦・第二次大戦を後押しした。
という主張が主軸になっている。
  ブキャナンがなぜこういう本を書いたのかというと、現在、チャーチルを崇拝している連中(チャーチル  カルト)が米国の政治屋にも少なくないが、危険なことだ。という主張である。大統領選挙にも出たブキャナンだから、米国政界の内部は普通のジャーナリストよりは知っているだろう。

  どうも、英国の前ロンドン市長でBREXITのとき旗振りをやったあげく なぜか逃亡した ボリス=ジョンソンもチャーチル ファンらしく、チャーチル愛に満ちた
チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力                                
なんて本を書いていたようだ。

 また、日本の政治家たちのなかでも、理由もなくチャーチルを尊敬することが常識になっていたようで、「尊敬する人物はチャーチル」と言っておけばまちがいない、というような軽薄さがあるようである。あの安倍晋三内閣総理大臣も初訪米のときに、「尊敬する人物はチャーチル」と言ったらしく、一部の識者に顰蹙をかっていた。

   しかし、客観的に考えれば、大英帝国を潰したのはチャーチルである。国を滅ぼした亡国の宰相であり、賈似道や近衛文麿となんら変わりないのに、なんで英国で尊敬されているのか理解に苦しむ。 戦争遂行のときもウイデマイヤー将軍によれば「チャーチルがイタリア戦線やアフリカ戦争など、変な戦略に執着したおかげで長引いて犠牲が増えた」という信じられないような無能ぶり、兵士の人命軽視ぶりをみせている。だいたいチャーチルの外交方針は英国の伝統的な「欧州大陸に単一の大勢力を作らせないように仲間割れさせておく」というのに反対である。ナチズムが嫌いといっても好き嫌いで戦争起こされてはかなわない。第一ナチズムの生みの親は英国人ヒューストン・ステュアート・チェンバレンHouston Stewart Chamberlain
https://en.wikipedia.org/wiki/Houston_Stewart_Chamberlain
である。伝統的な政策なら、独ソ戦争を放置しておけばよかった。


  いままでの惰性で「偉人  チャーチル」と祭り上げていただけではないか?と思った。                                                                     

  ところで、この本に出てくる、第一次世界大戦前のドイツ ウイルヘルム二世の政府がもっていたヨーロッパ戦略が、現在のEUと良く似ている事にかなり驚いた。

まさに、「不必要だった二つの大戦」だったかもしれない。



 


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posted by 山科玲児 at 07:50| Comment(0) | 日記