2017年12月04日

ピアノとドメニコ=スカルラッティ


 メトロポリタン美術館が所蔵する1720年製のクリストフォリピアノ(ただし修理が多く響板は取り替えられているらしい)で、ドメニコ=スカルラッティDomenico Scarlatti (1685–1757)の作品を演奏している メトロポリタン美術館が作った動画があった。

  ポルトガルの王女にして後のスペイン王妃バルバラ・デ・ブラガンサQueen Maria Barbara de Braganza  に仕えたドメニコ=スカルラッティの作品は、ピアノでもよく演奏されてきたが、こういう初期ピアノはとてもよくあっていて、チェンバロでの演奏よりマッチしているようにきこえる。
 ポルトガルの王女バルバラ・デ・ブラガンサは、なんと5台もピアノをもっていたという。勿論チェンバロももっていた。王女バルバラが10歳のころ、ピアノの発明者クリストフォリは逝去しているが、王女の叔父がクリストフォリを知っていたようなので、そういう線だろうか。
 いずれにせよ、ドメニコ=スカルラッティの作品はチェンバロだけではなく、このような初期ピアノむけに作曲されたものが多いという証拠になる事実である。

  ドメニコ=スカルラッティの曲が、ロマン派以降の歴代のピアニストに愛され、演奏されてきたのは、もともとピアノ用に作曲されたものが多かったということが原因だろう。
  ブラームス、フランツ=リスト、ショパン、グラナドス、バルトーク、ミケランジェリ、ホロヴィッツ、ギレリス、クララ=ハスキール、グールドなど、そうそうたる人々がドメニコ=スカルラッティの曲を演奏している。
 クララ=ハスキールの演奏
  CLARA HASKIL SPIELT DOMENICO SCARLATTI
    https://www.youtube.com/watch?v=277kOiSj8QQ

 一方、クープランの曲は、あまりにもクラブサンに特化しているので、ピアニストにはあつかいにくいものだった。バッハの平均律がピアニストに教科書にされたのは、バッハの息子エマヌエルの教科書がベートーベンのころまで使われていたことと関係があるのかもしれない。チェルニーの回想によるとベートーベンが弟子にピアノを教えたときの教科書はエマヌエルの本だったそうだ。エマヌエル自身の曲は初期ピアノでないと面白くない曲が多いから、相当ピアノに親しんでいたのだろう。

  近年の古楽復興で、チェンバロ=クラブサン=ハープシコードでドメニコ=スカルラッティの曲を演奏することが正統とされてきたが、かなりの曲については間違いで、 多くの曲については、むしろ初期ピアノが正統だと思う。

 ちょっと変わったところで、昨年逝去された天才論理学者・数学者・哲学者・手品師でもあったレイモンド=スマリヤンの演奏を紹介しておく。
https://www.youtube.com/watch?v=F_aA0AQ7dLk


posted by 山科玲児 at 08:22| Comment(0) | 2017年日記