2018年02月15日

佐藤辰美 コレクション


佐藤辰美 氏の仏教美術を中心とするコレクション展示が北九州市立小倉城庭園 であるそうである。
痕跡の美―古きものにおもいをはせる
http://www.kcjg.jp/exhibition/2018/158.php

  神戸東灘区の香雪美術館 2017年5月20--7/2と7/15-9/3で、開催された企画展と似たものでしょう。
    https://www.asahi.com/articles/ASK5N5FSRK5NPIHB00L.html

  欠けたものを中心とするという展示方針には多少好感をもった。
    なんでも米国のART NEWS誌にある、世界のコレクター200というのにとりあげられている日本人3人の一人なんだそうだ。芸術新潮2015年3月号によると他の二人は ユニクロの柳井社長と大林組の会長なんだそうで、なんかピントはずれな気がする。
  2万点というコレクション数もどうもおかしいので、コインや切手などのコレクターなのかなあ?と思って、佐藤氏に取材をしたらしい芸術新潮2015年3月号 を図書館で借りて読んでみた。

  そしたら、どうもレコードのコレクションが最初で、7500点のレコード+3000点のCDコレクションがあるらしい。なるほど、、と納得した。守備範囲の広い人で、レコード 陶磁器、民族美術、現代美術、工芸、中国美術、仏教美術など、色々な分野を遍歴した方らしい。

  ART Newsは、どうも現代美術の収集家ばかりフォーカスし、現代美術を買ってもらえるように宣伝する雑誌のようだから、「現代美術」というところでひっかかったのだろう。ユニクロ柳井氏が、そんな優れた収集家だなんて聞いたことがないから、ART NEWSがいう「コレクター」概念が私が考えているコレクターとは少し違うのだろうと思う。大林組の会長もまた全く知らない。

   高松次郎の作品を多量に購入しているんだそうで、「影」シリーズの本物を自宅においているそうである。4000点のドローイングも所蔵しているとか、、ほとんどレコード+CD+高松次郎で2万点の大部分になっているようです。
 そういう意味で、現代美術のコレクターという呼び方が妥当なのかな。。

 さて、当方がチェックできそうなのは、中国美術ぐらいである。藝術新潮の図版にでているのは「北宋の硯板」というので、がっかりした。現在の考古学的発掘や沈没船回収の下限年代がはっきりした硯による様式 年代観では、とんでもないものである。もちろん硯板には偽物も本物もないが、「北宋」はないだろう。これは江戸琳派の絵を室町時代の大和絵だといったり、幕末の英泉の浮世絵を春信の作品だといったりするようなもので、無茶である。勿論、様式史であるから「小野道風が書いた和漢朗詠集」のような明白な矛盾ではないけれどね。これは北畠氏からの購入ということである。北畠氏は、戦後の古硯の鑑賞研究売買のパイオニアの一人であるが、新しい研究成果を頑なに拒否し自分流の様式観を堅持しているようだ。これは大きな本を出しているもう一人の硯業者も同じである。そのほうが商売としてはよいのだろう。しかし、それでは、どうしようもない絵を、五代の周文矩とか宋末元初の銭選とか鑑定した戦前の支那通と同じではないか。
  「より緻密な完成度」を求めて中国美術ということになったそうだが、「硯」じゃあ、ちょっと違うような感じがした。そういう方向だと乾隆時代の驚異的な工芸品のほうがいいと思うんだけれどねえ。 あれなら技術的な高さだけで優劣がわかるのでわりと分かりやすいしね。ただ、2000年代で中国美術収集はやめたんだそうなので、現在忠告しても意味のないことではある。

  今は、仏教美術とワインとレコードCD収集がメインだそうである。
posted by 山科玲児 at 16:21| Comment(0) | 2018年日記