2018年05月31日

皇后禮佛図の真と偽

皇后礼佛Image.jpg


に掲載された
Fletcher Coleman . Fragments and Traces: Reconstituting Offering Procession of the Empress as Donor with Her Court
http://art.nelson-atkins.org/objects/8976/offering-procession-of-the-empress-as-donor-with-her-court?ctx=deae5ef7-0f2d-42a5-a7e2-5d2a9359cdb7&idx=46
のなかで、
龍門石窟の北魏の賓陽中洞にあった浮き彫り皇后禮佛図が米国 カンサスのネルソン  アトキンス美術館にきた経緯と現状について詳細な記録が提示されていた。
この浮き彫りの拓本は2000年に中之島の大阪市立東洋陶磁美術館のホールにかけてあったことがあり、その大きさ、1面が縦2m横3m、と優秀さに強い印象を受けた(イメージ)。
  この論文を読んで、まず、驚いたのは、現状のこの浮き彫りの半分以上が本物ではないことである。米国に来てから破壊前の写真や拓本を参考にして補ったものである。米国に来た段階では多量の断片・破片の集合体であって、それをセメントなり石膏なりで間を補いながらもとの画面に復元したものである。つまり、この浮き彫りを根拠に北魏の美術・風俗を論じるには注意を要する、ということだ。

次に、この浮き彫りは、まだ右にかなり行列があった。そこではおおきなシビや扇を立てた侍女がみえる。

ハーヴァード大学にある 拓本によると、横が4mあるようであるから、約1m分が失われている。
harvard Art Museums 906.1933

そうすると、大阪で観た拓本は破壊前のものではなく、復元したあとで、米国で採拓したものかもしれない。

これと対になっていた、やはり米国へ渡った
もよくみると、廷臣の首が浮遊していたりして不自然なので相当な補修があるのだろうと、思う。

この大破壊は1933年と1934年の間で行われたようだ。更にひどいのは、この断片と称する偽物の断片まで古美術商に出回って、北京にいて、中国人古美術商から断片を収集し、復元しようとしていたネルソン美術館の担当者:ローレンス・シックマンを悩ませたらしい。

  ここで、よくわからないのは、もし売るために切断切り出しをしたのなら、なぜこのように破片状態にしなければならなかったのだろうという不思議である。ちゃんと切り出して売ったほうがよほど高く売れるわけだし、破壊も相対的に少なかったはずである。
 多くの石窟の破壊で、そういう粗暴で奇妙な破壊行為がみえるのが、なんとも不思議なことである。



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2018年05月30日

クロスターノイブルクのオルガン

Klosterneuburg Leonhardt.jpg   にせもの美術史.jpg



ウイーンの近く、あのベートーベンゆかりの地ハイリゲンシュタットを通ってさらに北西にいったところに、
クロスターノイブルク修道院がある。

というボックスセットの1枚(イメージ)の半分がここの17世紀のオルガンを使った録音だった。
残り半分はスイスの古いオルガンである。やはり辺境のほうが古いオルガンが残りやすいようだ。

ボックスセットなので安いのは良いのだが、リブレットなしなので、なかなかわかりにくい。そうはいっても。
レオンハルトという名手が歴史的オルガンを弾きまくった旅行記のようなCD自体があまり入手
できなくなっているようなので、安いこともあり入手してみた。
なかなか良いものだった。


このクロスターノイブルクは、ホーヴィングの挑発的な本
「にせもの美術史」(イメージ)の「ウォルフガングをたたきのめす」の章で舞台になるところなので、憶えていたのである。
  この修道院は12世紀創建ではあるが、、オスマントルコのウイーン包囲のときに大被害を受けたもののようで、建築としてはバロック以降のもののようではある。

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2018年05月29日

無伴奏フルートの原写本 

Guardian angel.jpg

 この「守護天使」CDをHMV通販で買いました。

冒頭は、J.S.バッハの無伴奏フルートのためのパルティータをヴァイオリンで弾いている。これはポイジャー自身の編曲である。
 当然、こういう変わった設定には、ポイジャーの主張があると思ってパンフを読んでみたら、

 此の曲の唯一の原写本は、なんと無伴奏バイオリン ソナタの写本の最後にくっついていたものなんだそうだ。
 これしか写本はない。勿論そこではフルートと指定があるから、今でもフルートの曲になっているのだが、、

 そこでポイジャーは無伴奏バイオリンの曲の編曲なんじゃないかと推論して編曲して演奏している。
バイオリンでは、フルートより演奏がやさしいようで、ポイジャー自身は、肩慣らしというかバイオリンを暖めるためというか、そういう準備段階の演奏によく使っているという。まあ、この推論は、トッカータとフーガ二短調BWV565や、ゴールドベルク変奏曲のケースほど鮮烈に成功しているようにはみえないが、まあ、そういうのもありかな?と思いました。

 此の曲、リコーダーの名手のボスグラーフがリコーダー用に編曲し演奏していたのが記憶に残っている。またフルートでは、ルーカス・グラーフの往年の演奏がよかった。



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2018年05月28日

旧暦と西暦

傳ケイ写生册.jpg

古い絵画に書いてある干支や年号は、当時の暦だから、西暦に換算するときに少し問題があることがある。

例えば、旧暦12月は、西暦だと翌年1月なので、年が1年違ってしまいます。

八大山人の傳綮寫生 冊 (台北 國立故宮博物院 イメージ)は、12月と書いてあるので、1659年ではなく1660年になります。

あと閏月ってのも今はなじみがないからなあ。閏月ってのは、1年を13ヶ月にして、調整することです。
例えば、、8月を閏にするときは、、
1月2月3月4月5月6月7月8月閏8月9月10月11月12月

これも、あまりなじみがないからもう忘れている人が多いでしょう。

posted by 山科玲児 at 08:20| Comment(0) | 日記

2018年05月27日

マラーの死

musee royax Brussel.JPG

は、ブリュッセル王立美術館(イメージ)の地下の広大な18-19世紀絵画展示場の一角で観た。印象的な傑作だったので、

2017年09月25日
西洋の肖像画 コメント増補
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/181100940.html
では、肖像画というカテゴリーで選んだ。

恐怖政治時代には歓迎されプロパガンタ絵画として、レプリカが何枚もダヴィッドに注文されたらしい。
そのため、現在も何枚も工房による複製が残っている。少なくとも3枚はあるらしい。最近その1枚が日本でも展覧された。確かラン美術館所蔵分である、ルーブルのもの日本で展覧されたことがあるらしい。

近 読んだ
ARTGALLERY アートギャラリー テーマで見る世界の名画  第8巻『歴史画』かぐわしき夢
https://www.shueisha.co.jp/artgallery/vol08.html
収録の、

   エッセイ=ダヴィッドという男/佐藤賢一(作家)

 によると、死後死体をモデルにして制作したときに、だらしなく出た舌を切ったとか、腕を切って、他の死刑囚の死体の腕と替えたとかムチャクチャなエピソードが書かれている。ただ、カヴァネスの「歴史の地獄」(ref)なんか読んでいると、恐怖政治時代に活躍した、さらにナポレオンにもとりいったダヴィッドのような立場の人は、後世、あることないこともの凄い悪口をいわれただろうから、こういうエピソードも必ずしも信用できない。これ書いているのは「作家」だしね。。果たして根拠のある話なのだろうか。。

 ただ、死体をモデルにしたというところで、カラヴァッジョの作品との関係を言及している記述もウイキかどこかで読んだが、それはなんとなく納得できる。

ref オーギュスタン・カバネス  歴史の地獄、、安斎和雄 訳、T・U、白水社、1976  
L'Enfer de l'histoire. Les Réprouvés et les calomniés, 1925.


posted by 山科玲児 at 08:26| Comment(0) | 日記

2018年05月26日

英語の敬語 【補足あり】


  英語の敬語表現については、ビジネスレターを書く必要から、多少学んだ。

今回の、トランプ大統領から金正恩委員長への書簡
 https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/letter-chairman-kim-jong-un/

は、慇懃無礼というか、外交辞令というか、敬語表現がいやというほど盛ってあって、びっくりした。

  さすがに、バロック時代の献辞のような大仰誇大な表現はないが、現代米語という直裁な表現が多い言葉で、しかもあのトランプ大統領の手紙としては著しい違和感がある。ちなみにフランス語は、英語よりかなり敬語表現が発達している。

   この手紙は、書くのが難しいといわれている英語での「丁寧な断りの手紙」の例であり、宮廷風Couteous というか外交辞令Diplomaticというか、そういう表現の宝庫なので、2度も手で書き写してみたぐらいだ。ただ、「英語」としては、少し文法的ミスがあるようだが、「米語」としては正しいのかもしれない。

  おそらく、ホワイトハウスの書き手がかなり書き直して、こういう大仰な手紙になったのかもしれないが、手を入れた人もそうとう皮肉な人じゃないかと思う。

【補足】  その後、全訳が、新聞やTVで出ているが、敬語や文語を使った、このニュアンスを上手く翻訳したものはないようである。あいかわらずひどいものだ。 
強いていえば、ブルームバーグの翻訳が、まあ我慢できるレベルだといえる。
 新聞やTVの「全訳」は、まあ、参考程度にさっととばし読みして、英語原文を玩味してほしい。過去形や現在形の区別も絶妙だ。単語自体はやさしいものがほとんどで読みやすいものだと思う。


posted by 山科玲児 at 05:28| Comment(0) | 日記

2018年05月25日

米朝首脳会談中止

米朝首脳会談中止
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180525-00000019-jij-n_ame
直前の下のニュースを観ると、文在寅大統領が米国に良いことばかりいっていたのがばれたということのようですね。

トランプ大統領から金正恩委員長への書簡

ポンペオ CIA ルート だけで準備したら、会談まではできたとおもうのに、
韓国がわりこんだから、ダメになったという状況です。

考えてみれば、ニクソン訪中のときも日本やロシアを無視してキッシンジャーだけでやってましたから。
割り込ませない方が成功しやすいのにね。ポンペオとしたら怒り心頭だろうから、文在寅をXXしたくなるだろうね。


文大統領訪米に随行の韓国高官「朝米会談99.9%実現」 - 聯合ニュース

米朝会談は99.9%実現する 青瓦台高官 | 政治/ニュース/ニュース/KBS ...

韓国安保室長「米朝会談は99.9%実現…北の立場を理解しようと努力」
2018年05月22日16時11分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
posted by 山科玲児 at 09:52| Comment(0) | 日記

司馬遼太郎と八大山人

司馬遼太郎は、芸術新潮での対談や、金銅仏(ref1)での対談を読んで、思い込みがひどいことに反感をもった。そのため、ドナルドキーンとの対談本(ref2)ぐらいしか評価していない。

ところが、八大山人についても書いているということなので、一応読んでみた。
八大山人(ref3)
  やはりあまりよくなかった。思い込みが先走っていて、資料の読み込みも足らない。やはりこの程度か。
わざわざ探して読んで損した気分になった。


Ref1. 監修 姜友邦 、金銅仏、「白い国の詩」、仙台、平成11

Ref2. 日本人と日本文化改版著者: 司馬遼太郎 /ドナルド・キーン  出版社: 中央公論新社 

ref3.八大山人  『微光の中の宇宙』 『歴史の中の邂逅4』などに収録
posted by 山科玲児 at 09:26| Comment(0) | 日記

2018年05月24日

読み上げ動画


偶然ですが、、自分が書いたamazonレビューが読み上げられるYOUTUBE
というのに
あたって、不思議な感じを受けました。
中国古代史研究の最前線のレビュー
posted by 山科玲児 at 12:38| Comment(0) | 日記

中野氏はなんか変



明代中国の庭園文化
クレイグ・クルナス 著,中野美代子, 中島健 訳
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=1649

 は、Craig Clunas一流の、なかなか面白い視点による美術史の解説本である。
しかし、後書きで、訳者の中野さんが、日本の中国美術史が遅れているというような慨嘆をしているのは、少しちがうんじゃなかろうか? Clunas氏は、どちらかというと美術制作の現場・美術品の社会的役割、あるいは文化人類学的なみかたのほうから切り込んだ論説で、それはそれで、興味深く優れた論考である。
  優れた論集であり入門書でもあるClunas氏の出世作
  Craig Clunas、Art in China (初版は1997)は相当歓迎されたようだが、教科書というより副読本だろう。
どちらかというと、このArt in Chinaの翻訳があってもいいと思う。

こういう視点の研究はよいものだが、皆そうならなければならないというわけではない。
それこそ「バスに乗り遅れるな」とか「流行を追え」の類いである。

まず、中野氏は清明上河図巻での誤謬を訂正することから始めたほうがよいと思う。
https://reijibook.exblog.jp/17235213/

カラヴァッジョの秘密
コスタンティーノ・ドラッツィオ 著
上野 真弓 訳
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309255842/
を読むと、新しい実証主義というべき傾向がイタリアで成功しているようにも覗われるので、
あまり踊らされることはないだろう。


posted by 山科玲児 at 09:23| Comment(0) | 日記