2018年08月19日

絵画真贋のグレイゾーン

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ARTGALLERY アートギャラリー テーマで見る世界の名画 全 10巻 - 集英社
https://www.shueisha.co.jp/artgallery/
第1巻 ヴィーナス
https://www.shueisha.co.jp/artgallery/vol01.html
 を借りてきて読み直していたときですが、、
巻末のエッセイも読みました。

・ある視点=ヴィーナスになった女たち/鹿島茂(フランス文学者)
は、19世紀フランスの専門家らしく、それ以外の部分はひどいものでした。まあ、しょうがないのかなあ。。
・エッセイ=ヴィーナスのいない国から/橋本治(作家)
は、まあ素直な良い文章ですね、これは文学かな、、

役に立つためになる読み物としては、、
・ギャラリー・トーク=「帰属作」と「工房作」/渡辺晋輔(国立西洋美術館)
が末尾に収録されていました。

 こういう件は、
2016年09月29日
ボス展のカタログを読む その16 工房作の定義
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/177063642.html
でも言及しておきました。

こういう評価・ランクのグレイ・ゾーンについては、1970年前後に刊行されたRizzoli社 Flammarion社の一般向けの画家モノグラフ  カタログレゾネ シリーズで採用されたイメージのような記号があります。
もっとも、シリーズのあとのほうでは、面倒になったのか、この記号の採用はやめてしまったようですが、初期の本ではしっかり入っていました。しかも参照に便利なように栞として 付録になっていました。
イメージは フランス語板の栞からとったものです。拙訳で紹介すると、上から順に

・完全で、異論の余地のない真作
・ほとんどの部分は画家の筆であるが助手の手も入っている
・大きな部分は画家の筆で、協力者制作部分が限定されている
・真筆部分は少なく、殆どが協力者
・工房作品
・真筆かどうか議論があるが、多数派の批評家は真筆だと肯定
・真筆かどうか議論があり、多数の批評家によって疑問視されている
・伝統的にその画家の作品とされているが、保存状態が悪かったり修理がひどすぎて判定できない
・最近、この画家の作品とされたが、まだ外の批評家の意見がない

 5番目の「工房作品」ってのは、弟子や助手が描いたものを少し手直ししただけ、あるいはサインいれただけというようなものみたいですね。画家本人の筆はほとんど入っていないものを意味しているようです。
  この記号は、日本語訳された集英社 リッツォーリ版世界美術全集にもちゃんとありましたが、この翻訳本は無断省略があったりしたので、今は全く使っておりません。

posted by 山科玲児 at 08:55| Comment(0) | 日記