2019年05月31日

フランチェスカッティの編曲

Tartini.jpg


2019年05月12日 タルティーニの大曲
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/185988171.html
で紹介した、
[コレッリの主題による変奏曲」/ボーイングの技法:50の変奏
は、ギリシャのヴァイオリニストによる演奏
https://www.youtube.com/watch?v=tFQSWsImEJQ
が唯一かと思ったが
別のヴァイオリニストによる全曲演奏もあるようだ。
ただ、こっちはそれほどはよくない。
じょじょに、こういう名曲が復興することを期待している。

この曲は不遇で、 「惜しいことにほとんどクライスラーによる抜粋編曲で知られており、原曲の面影からは遠い」(柴田南雄)
であり、ときにはクライスラー作曲とされて紹介されているぐらいである。実際、原曲とは別物なのでそれでもよいかもしれない。「フランチェスカッティの編曲のほうがやや原曲に近いがやはり抜粋だ」(柴田南雄)なので、
ジノ・フランチェスカッティ (Zino Francescatti、1902年 - 1991年)の演奏
https://www.youtube.com/watch?v=aB70Nxl_dss

を聴いてみると、やはりかなり原曲の趣きを保存している。60分聴く/弾くのがいやな人はフランチェスカッティの編曲でもよいと思う。フランチェスカッティは、イタリア人みたいな名前だが、マルセイユ生まれのイタリア系フランス人のようである。
父親がパガニーニの孫弟子なんだそうだ。

posted by 山科玲児 at 07:49| Comment(0) | 日記

2019年05月30日

米国製のヴィオラ



  トランプ大統領が今上天皇陛下に贈ったのは、1938年制作の米国製のヴィオラだそうだ。最近、ストラディヴァリウスなど古いヴァイオリンなどのことを、読んだりしていたし、マドリード王宮で、象嵌細工が美しいストラディヴァリウスの1群を観たことを思い出したりしていた。そういうイタリア・ヴァイオリンかと思ったら、米国ウェスト・ヴァージニア製だった。州都チャールストン在住のIvan W. Allison という人が制作したものだそうだ。それほど高価な楽器ではないようである。

  これは、むしろトランプ大統領とそのスタッフたちのメッセージなのだろう。アメリカ・ファーストでありメイド・イン・アメリカの尊重・復興を目指してます。ということでもある。そういう意味で極めて政治的意味が込められた贈り物である。

 このヴィオラの由来だが、米国国務省に売ったヴァイオリン専門店からのメッセージまで米国では報道されている。
Slipped Discの記事
https://slippedisc.com/2019/05/where-president-trump-bought-a-viola-for-emperor-naruhito/
原文は、記事に掲載されている。

  先帝の御譲位・今上の御即位の5月1日に、アーカンソーのヴァイオリン専門店Little Rock Violin Shopが米国国務省(日本でいうと外務省)から電話を受けて外交贈答品に使う「米国製のヴィオラ」を探して欲しいと依頼されたそうだ。

  しかし、ニューヨークやボストンやワシントンの店でなくて、アーカンソー?というのも不審に思ったが、この店、結構コンセプトがあり、しっかりしているところのようである。
Little Rock Violin Shop
https://www.littlerockviolinshop.com/

>一般的な楽器店のように、楽器を売るだけではなく、我々は貴方の楽器を生涯めんどうをみます。我々の熟練した修復技術者は、貴方の楽器を最高のコンディションで演奏できるように複雑な修復や調整をいたします。


と「ABOUT(自己紹介)」のところに書いてある。

  これなら、少なくとも偽物や、本物だが状態が悪くて演奏に堪えないような楽器をつかまされることはまずないだろうから、安心して外国の要人にも贈れるということだろう。しかし、この店の写真をみると、米国人が米国らしい生活と考えているイメージが、なんとなく覗われるように感じた。

 もともと、こういう外交贈答品というのは古美術的な観点からは意外に貧弱なものが多いことは、
  2019年04月17日 田中角栄がもらった楚辞集注
   http://reijiyamashina.sblo.jp/article/185872428.html
でも、書いた。これは「現在」の自国の国力や文化を誇示するものを贈るわけだから、そういうものになりがちなのだろうと思う。


posted by 山科玲児 at 06:49| Comment(0) | 日記

2019年05月29日

中国画家の伝記は、眉唾もの



揚州八怪の一人である、
李[魚單]  復堂(1686年 ーー 1762年)
の人生について、平気で嘘が流布されているようである。

ある雑誌記事で、地方の知事を務めてそのあとやめて揚州にきたような話を書いていた。が、彼が山東省の臨シの町の知事に赴任したのは1737年52歳、揚州にいき鄭板橋・黄慎と天寧寺であったのが1725年40歳だから、全く逆転している(ref)。そのあと59歳で官を辞めて揚州に戻って76歳ごろまで画家として生きるのだが、これはむしろ退職後の隠退生活だろう。知事のとき金を貯めたのか揚州では自宅を構えたようである(ref)

なんか逸話にもとづく嘘の伝記を信じ込んでいる人が多いようである。

李[魚單]の絵の例
李[魚單]  五松図  東京国立博物館
https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0032429

Ref 王魯ヨ、李セン年譜、揚州八怪年譜  上, 江蘇美術出版社、1990に収録。
  こういう地味な年譜を丁寧に読まないで安直な解説で耳学問しては不味いとおもうよ。



posted by 山科玲児 at 08:53| Comment(0) | 日記

2019年05月28日

ドナルド・キーン 日本文学史

うつほ物語1.JPG

中島敦への批評を念のため読もうと思って探した
ドナルド・キーン 日本文学史 - 近代・現代篇五 (中公文庫)
が図書館で貸し出し中だった。

そこで、偶然だが、王朝物語への批評を読もうと思い返して

ドナルド・キーン 日本文学史 - 古代・中世篇三 (中公文庫)

を読んだが、どうかなあ、、当方が高く評価する「宇津保物語」(イメージ)がかなり低評価だったので、なるほど色々な意見があるものだ、と思った。その後

ドナルド・キーン 日本文学史 - 近代・現代篇五 (中公文庫)

をかりて読んで、中島敦の評価を知ったが、「文字禍」「狐憑」「名人伝」などへの言及もなく、日記への言及もないので、あまり好きではないのだろう、、と思ったものだった。

 浩瀚な著作だからといって、全部従う必要もなく、まあまあ、そういう考え方もあるんだなあ、ここは賛成、ここは見事、ここは知らなかったと、大鏡風サロン批評風に大きく構えてドナルド・キーン氏の著作を利用するつもりである。


posted by 山科玲児 at 07:27| Comment(0) | 日記

寺神戸氏がやってた



バッハのオーボエとヴァイオリンのための協奏曲BWV 1060aは、復元曲としては、ずいぶん古くから親しまれているもので、実は私が最初に実演に触れて感動したバッハの曲だった。なんせ、あのヘルムート・ヴィッシャーマンが長崎まで来て演奏してくれたのだから。しかし、演奏会場の公会堂は、今はもうなくなってしまった。

  だれが「オーボエとヴァイオリン」に復元するというアイディアを最初に出したのかわからないが、19世紀には已にそういう説と演奏があったようだし、遅くとも1920年には已にこの復元曲で楽譜が出版されているのだから、ずいぶん昔からこっちのほうが良いと皆思っていたのだろう。18世紀の写本は二台のチェンバロのための協奏曲になっているのだが、聴いて面白いものではない。ソロヴァイオリン2つ、という復元曲もあるようだが、オーボエとヴァイオリンのものが一番人気があり自然でもあるようだ。

この曲の演奏をYoutubeをちらとみていたら、ソロ・ヴァイオリンを寺神戸氏がやってた、あれそっくりさんがやってるなあ、と思ってみていたら、やっぱり本人でした。この演奏は8人でやっている。これくらいの人数でやったほうが音色がよくわかって良いと思う。


Bach - Concerto for Violin and Oboe in c minor, BWV 1060a - YouTube
Marcel Ponseele and Ryo Terakado  Performed by ensemble Il Gardellino
https://www.youtube.com/watch?v=tc4kWmxpZGs


posted by 山科玲児 at 06:04| Comment(0) | 日記

レディー グレイ

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  いただきもののトワイニング紅茶  ティーパックセットに、みかけない青いパックがあったと思ったら、アール グレイならぬ  クオリティ レディ グレイだった。これも柑橘系の味香りを加えた紅茶だが、ベルガモットのアール・グレイとはまた違った、さわやかな感じの味わいがある。少しミント系がはいっているのかもしれない。
 相当前からあるのかもしれないが、私としては最近知ったので書いておく。

 トワイニング・片岡物産のサイト

 クオリティ レディ グレイと普通の レディ グレイ どう違うのかはわからないが、このクオリティ レディ グレイは、なかなか美味しい、良い商品だと思いました。これこそ英国のオリジナリティかな。



posted by 山科玲児 at 03:19| Comment(0) | 日記

2019年05月27日

オーディオブック・ヴォイスブック

CassetIMG_4218.JPG

本を耳で楽しむボイスブック | Audible/公式サイト | 最初の1冊は無料‎
というような広告があった。

しかし、こういう朗読で本に触れるというしかたは古代からあったし、むしろ黙読より古い読み方であろう。昔の本は声を出して読むのが普通だったそうだから、中世以前の図書館は意外とうるさかったのかもしれない。
20世紀にはカセットテープで、作家自身が朗読したもの(イメージ)も売っていた。
これはJulien Gracq(1910-2007)の自作の朗読である。
こういうのは、なかなか記録としても面白いものなので、
日本でも、作家自身の朗読というのを、もっと出して欲しいものだと思う。


posted by 山科玲児 at 08:13| Comment(0) | 日記

バーンハート教授は印があまり読めない?

freer2 seal2.jpg




香港の、Orientations Vol 59 No.2 March-April  2019の、
Richard M. Barnhart. An Enigmatic Seal and Three Song Flower-and-Bird Paintings

を苛立ちながらも読んでいたら、とんでもないことがわかった。

フリーア・ギャラリーにあるもう一つの花鳥画
https://www.freersackler.si.edu/object/F1917.342/
についても書いているのだが、中央上端にある上イメージの印について、
 バーンハート教授は、中国人らしいBai Qianshenに送って読んでもらっているのだ。こんなのすぐ読めないと中国書画の学者としちゃまずいだろう。いうまでもなく「楚國米フツ」であるが、米フツの確かな印影に同じものはない。北京故宮の蘭亭八柱第二本の跋部分にある印影に似ているがよくよく比較すると違う。また、この蘭亭八柱第二本の跋部分は、かなり疑わしいものである。従って、どっちにしろ偽印の可能性がある。
バーンハート教授はもう一つの絵
https://www.freersackler.si.edu/object/F1919.154/
の左上角にある印とこれが一致する(それは確かだ)ことを根拠にどちらも「米フツ」旧蔵だといいたいらしいが、それはこの印影が真であると証明されないと無理があるだろう。ここでわかるのは、この2つの絵が過去のある時点で同じ所蔵者のところにあった、ということだけである。

 昨日の「この印はないだろう?」でも疑義を呈しておいたが、バーンハート教授は印の篆書があまり読めないのではなかろうか?

 2017年07月04日の  チャイナゲート  再び
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/180235653.html

でも、中国系米国人のKathleen Yangが「印影がわからない印章専門家」状態でも通っているようなので、米国人が読めない・わからないのをいいことに、いいかげんな「専門家」が大きな顔をしているらしい状況が想像できる。

 ただ、バーンハート教授がフリーアの倉庫からとりあげた、この絵
https://www.freersackler.si.edu/object/F1919.154/
は、結構古い感じがするので、あまり大仰なことをいわなければ良質な中国古画として研究に値するものだろう。確かにヒビや剥落箇所の補筆も多いようだし、周囲が相当切り取られているようだが、それほど悪くはなさそうだ。 カラー写真しかみてないので保留はしなければいけないが、まあ発見といってもいいのではないか?と感じている。ただ、北宋?というのはどうだかなあ。。また「丹楓鳥鵲」という題がついているようだが、これは楓なのかな?どうみても違うだろう。この樹木は確かに、崔白の「双喜図」と似た樹のようにみえるところが崔白という推定を引き出しているのだろう。ただ、楓ではない。






タグ:中国絵画
posted by 山科玲児 at 05:21| Comment(0) | 日記

2019年05月26日

この印はないだろう?

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香港の、Orientations Vol 59 No.2 March-April  2019
で、https://www.orientations.com.hk/backissue/volume-50-number-2/

あの軽信で、なんでも褒めまくるリチャード・バーンハートが
フリーアにある古い花鳥画2点について、北宋初期の「趙昌」にあてる論陣をはっている。
Richard M. Barnhart. An Enigmatic Seal and Three Song Flower-and-Bird Paintings

その根拠としてイメージの印をあげているのだが、
ふざけてんのか!
といいたくなる。

確かに、こういう遊戯的な印を明時代後期〜清代前半にみることはあるが、北宋はないだろう。
第一、「趙昌」の作品は北宋末の宣和画譜でさえ、現在購入することは難しい、と書いてあるんですよ。

ただ、この絵
https://www.freersackler.si.edu/object/F1919.154/
が何時の時代のものなのか?ということはまた別問題で、結構古い感じもする。
こういう花鳥画の作品の場合、山水画ほど時代による様式変化が大きくないので、なかなか難しい。どうしようもないものと、結構いけそうなもの、南宋ぐらいといっても良いものが連続的につながっているので、カラー写真だけで実物をみないと、初歩的な見解ですら、なかなか難しいと思っている。

posted by 山科玲児 at 15:12| Comment(0) | 日記

玉印の印面

倣古玉印
https://reijibook.exblog.jp/28339073/
をアップし、印面を紹介しました。

いわゆる印材と違うので、玉を刻印するって結構難しいのですよ。
posted by 山科玲児 at 11:29| Comment(0) | 日記