2019年06月08日

プラドでフラ・アンジェリコ展

madonna granada prado.jpg

 マドリードのプラド美術館で、フラ・アンジェリコ展をやってます。5月28日から9月15日

https://www.museodelprado.es/en/whats-on/exhibition/fra-angelico-and-the-rise-of-the-florentine/c8c45536-59a2-5e3a-9615-6daf8c3ef9e9

 2016年の新収品「ザクロの聖母子」(イメージ)を周知させたいことと、17世紀からスペイン国内にあった豪華な受胎告知の修理完了お披露目ということだそうです。国内外40の機関から借りたということです。しかし、この、フラ アンジェリコがプラドに入ったってことは、日本の美術ジャーナリズムには、全くでていなかったようですね。私が見落としただけかもしれませんが。

ザクロの聖母子」については、
2016年08月26日 プラドに新しく入ったフラアンジェリコ
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/176622016.html
2016年06月09日 美術品の移動とスペインの経済変動
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/175629116.html

 プラドには、この2つしかなかったとおもったら、20x30cm程度の小さなプレデッラが一つありました。これも「ざくろの聖母」と同時にアルバ公爵家から入ったものです。
https://www.museodelprado.es/en/the-collection/art-work/the-funeral-of-saint-anthony-abbot/1af1dc35-845c-43d3-b701-f5f9747e3113?searchid=9d70a33e-77c3-cadf-fe9c-f63d7e97910b

 豪華な作品が2点あるとはいえ、とにかく三点しかないのですから、スタンスとしては、前のジョルジュ・ド・ラトゥール展に近いものです。
  フィレンチェのサンマルコなんかにはどっさりあるわけですしね。ただ、この展覧会は、サンマルコではないところから、多く借りているようなので、なかなか興味深いものではないかと思います。なんとロシアのエルミタージュからも佳作を借りてます。
   また、木を切り抜いた書き割り人形に絵を描いたような珍しいとても大きな作品もフィレンチェのCampagna di San Niccolo del Ceppoから借りてきております。これはフレスコ画を剥がしたものかもしれませんね。てもとにはデータも総カタログもないのでよくわかりません。

 サイトをみても展示作品の全貌はよくわからないのですが、キュレーターの米国の学者がゆっくりとした英語で語っている動画をみると、かなりわかります。60点のローンだそうですから、これは結構なものでしょう。
 フィラデルフィア美術館のCarl Brandon Strehlke という人の説明なので、しかも米国人むけではない解説なので聴き取りやすい英語です。この動画は推薦です。
https://www.youtube.com/watch?v=tIPvVI3VQqs&feature=youtu.be


posted by 山科玲児 at 15:49| Comment(0) | 日記

盗まれた絵画

Caravaggio-Nativity Palermo.jpg



 ローマの大統領官邸 Palacio del Quirinal では、ときどき美術展(企画展)が行われているようである。もともとここは、イタリア国王王宮だったところだから。日本でいうと皇居に三の丸尚蔵館という展示施設があるようなものだと思う。イタリアの大統領権限はドイツ大統領ほど形式的なものではないが、やはり首相のほうが強いから立憲君主制でいう国王(任期のある国王)のような立場であろう。ここで、美術遺産保護に特化した特殊警察司令部の創立50周年を記念した”L'arte di salvare l'arte(芸術保護のための技術)”という展覧会が開催されているそうだ。(7月14日まで)。

これについては、イタリアの泉 サイトでご紹介いただいた。
https://blog.goo.ne.jp/fontana24/e/a09481bb2cb745fcd446d1bd27c5437e
 イタリアから盗まれたあと回収された美術品や天災で壊れて修理した美術品などの展覧である。最近:分厚い研究書「ピエロ・デッラ・フランチェスカ《キリストの鞭打ち》の謎を解く:最後のビザンティン人と近代の始まり」がでたピエロ・デッラ・フランチェスカの作品が回収された経緯もわかった。

 こういう「盗まれた絵画」には、未だに行方不明なものが少なくないが、イタリアで特に有名な行方不明物件には、1969年にパレルモの聖ロレンツォ教会から盗まれたカラヴァッジオの「聖ロレンツォとアッシジの聖フランシスコのいる聖誕」(イメージ)がある。これは、カラー写真も残っていたようだ。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Caravaggio-Nativity(1600).jpg

 この写真を拡大して観ても、画面のど真ん中::聖母と幼児キリストの間の黒い布がオリジナルなのか欠損の修理なのかは、よくわからない。

これは、已に50年間行方不明である。
これについて、芸術新潮の1973年11月号掲載の、故:若桑みどり氏「カラヴァッジョを追って」に見事な散文があったので、引用したい。漢字句読点も含めて忠実にタイプしたつもりだ。


 パレルモの聖ロレンツォ教会はスラム街にあった。なすこともない若者たちが声をかけたり道をふさいだりする。扉は閉まっていて、続き棟のくぐり戸を開くと肥った老婆がこちらをうかがっている。「入ってもいいですか。」「どうぞ、どうぞ。」と彼女は鍵束を持ち出して来た。鍵をゆっくりまわすと、彼女はいった。
「絵はないよ。」
「おととし、あの窓から泥棒が入ってね。切っていってしまった。今頃はアメリカだよ、きっと!」
   祭壇画のあとの汚れた灰色の壁はひどく広く見える。これは、少なくとも、今我々に解っている、カラヴァッジョの生涯の最後の絵だったのだ。この痛ましい損失を誰に向かって怒ったらよいのか?「シニョリーナ、もうお帰りかい。」と若者達がはやした。「カラヴァッジョを見に来たんだから、もうここに用はない。」と私はそれがまるで彼らのせいででもあるかのように激しくいった。若者達は黙ってしまった。


もともと、かなり危なそうな教会にあった絵のようではあるが、オリジナルなところから動かすのもどうだか、、盗難にあったので、最近はレプリカを飾る例が多くなったのだろうか。日本の寺院でも本物は博物館に寄託してレプリカを寺においている場合が少なくないが、そういう傾向は良いのか悪いのか。。

posted by 山科玲児 at 07:07| Comment(3) | 日記