2020年05月11日

龍門石窟の破壊略奪問題



龍門石窟の破壊・略奪、特に仏頭を切り落として売るという野蛮な行為が行われた件と賓陽洞の帝后礼仏図の大きな浮き彫りが破壊され、断片が米国へ渡ったことは、文化財破壊事件として有名であるが、その犯人については、関係諸国の主張が皆違う。

龍門石窟の仏頭切り落とし事件は、関野貞の記録によると、1906年と1918年の間に集中的に起こった。(ref. 北支那古代文化の跡〜支那の建築と芸術所収) これでは日中戦争なんか全く関係がない。

C.T.Loo, An Exhibition of Chinese Stone Sculptures, 1940, New York
によると、
>1909年にパリのチェルヌスキー美術館館長とあったときに仏頭の写真をみせられ、ビジネスになると考えた、
と書いてある。
1913年パリからラングトン・ウォーナーがフーリアへ送った手紙には、ヨーロッパの業者(張静江の通運公司やLooかもしれないが)と中国国内エージェントの共謀が書いてあったそうだ。

これに関連して、、
2018年09月25日 仏頭観賞は日本的ではない
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/184510864.html


賓陽洞の皇帝礼仏図 皇后礼仏図の各1面の破壊は1933-34年である。これについては、

王冶秋「瑠璃廠史話」


Fletcher Coleman . Fragments and Traces: Reconstituting Offering Procession of the Empress as Donor with Her Court
https://www.orientations.com.hk/search-index-result/?art_id=12416&backissue_id=12383&article=detail

当事者らしい、アラン・プリーストの
Alan Priest, Chinese sculpture in the Metropolitan Museum of Art, 1944, New York

の記録、相互にあわないことが多く、真相はよくわからない。中国側は平気でプロパガンタするしね。。

タグ:龍門石窟
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2020年05月10日

松本文三郎旧蔵・龍門二十品拓本

compare始平公.jpg

京都)龍門二十品の拓本見つかる 国内最古級、京大で見つかる 
波多野陽(2017年11月14日)
https://www.asahi.com/articles/ASKC23F4JKC2PLZB007.html

書家垂涎の古拓発見―松本文三郎旧蔵・龍門二十品拓本―
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/documents/171102_2/01.pdf

旧聞に属するが、学芸部はわりと良い朝日新聞が二年半ほど前にとりあげた話題で、中国書道史・拓本にも関係したことなので、とりあげてみることにした。

でも、この見出しは、京大のプレス・リリースを含めてかなり煽りがきつい、フェイクニュースに近いものである。朝日新聞学芸部はわりと信用してたので、かなり残念。。まあ拓本のエキスパートなんてろくにいないから、しょうがないだろう。

「最古」っていうのは、どうも京大人文研にあるものの中で最古という意味で、「日本国内最古」という意味ではなかったのに、プレスで、むやみに誇張したもののようである。

なぜなら、幸い、限定出版した本をPDFで公開しているから、拓本の写真をみることができるからである。
松本文三郎旧蔵・龍門二十品拓本 PDF
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/230133/1/ryumon20pin.pdf

全部、チェックしたわけではない。まず、当方が好きな、陽文という珍しい石刻の始平公造像記については、国内最古とは到底いえないだろう。また、かなり粗拓である(イメージ  左 松本本、右 別本 で比較)。清原實門氏が関与されていた谷川雅夫氏編輯の金石書学(ref1)という雑誌に古い拓本が影印されていて、これは日本に当時あったもののようである。
  二十品のうちで一番古い、この本でも最初に収録されている牛ケツ造像記拓本は確かに古いもので、台東区書道博物館所蔵本より古いかもしれない。楊大眼造像記は、道光以後の拓本であるが、どうもこの造像記の古い拓本は墨が重く線がはっきりしないものが多い。どうも道光ごろに洗いをやって文字をはっきりさせたらしい形跡がある。この拓本はそれほど古くはないが明快な感じを与える優れたものだと思う。

REF1. 金石書学、第2号、2000年8月1日、藝文書院、京都

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2020年05月09日

古代マヤの署名


アップしました
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レムデジベル早期承認



  新型コロナ病への薬として、レムデジベルが早くも承認された。奇妙なことである。米国でセンセーショナルな最初の治癒例があったとはいえ、その後、日本で大規模治験があったわけではない。

 日本ではアビガン(ファビビラビル)がかなり治験という名目で使われ、かなりの治癒例が集積されていたわけだから、まずアビガンを、色々な条件付きでもいいから承認すべきではないか?一応 5月末にはアビガンも承認する予定だとはいうが、なぜレムデジビルを先にしたのかはわからない。

 レムデジビルが多数の患者にたいする治験で特効薬的なすばらしい効果をあげたという話は聞かない。また薬価も高いとおもう。一応ある程度効果があることは確かである。重症にもある程度効くようでアビガンが効きにくい重症患者にも適用可能なようだ。ただ、腎臓に対する副作用があることも、とうに知られている。もともとエボラ出血熱に対する薬として開発されたのだから、そのときかなり治験をやったはずであるから、副作用などはよくわかっている。

米国のトランプ大統領は「ヒドロキシクロロキン」を推していた。「ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン」で、かなり良い成果がでたことは事実である、とするとホワイトハウスまわりからの「アメリカの高い薬を買え」という圧力ではない。

 ひょっとしたら、レムデジベル製造のギリアド・サイエンス社の株でひともうけしようとする投資家・投資会社の圧力で、日本の厚生官僚や大物の議員が動いてごり押ししたのではなかろうか?
  別に、レムデジベルが日本で多量に売れてギリアド社が大儲けしなくても良い。あのなかなか承認しない慎重な日本で早くも承認、というニュースが世界に流布されるだけで、株価は上がるだろう。 こういう圧力をかけることができる投資家・ファンドといえば、最近 暗躍しているSBGとか、森ゆうこ法務大臣に友人と呼ばれたジャック・マーとかそういうあたりだろうか? もちろん、これは憶測・妄想で、本当は誰がやっているのかはわからない。

 バクテリアやウイルスの薬は、耐性菌ができやすかったり、病気のフェーズによっては全く効かなくなったりするので、色々な薬があるのは良いことだ。また、エイズを発症させないようにする薬も数種類の薬の組み合わせで効果をだしているはずで、1種類しか薬がないとそういうことも難しいだろう。
 そういう意味では、よく普及している駆虫薬イベルメクチンが効果ありという新ニュースをはじめ多種類の薬が承認されるのは良いことではある。けれど、今回のレムデジベルをまっさきに承認したのは、不自然すぎる。これこそマスコミが突撃取材すべき疑惑ではなかろうか?


 なにしろ、厚生省は、名古屋大学の日本人研究者が1970年代に開発した抗ガン剤 オキサリプラチンを、世界中で使用されてるにも関わらず長い間承認しなかったという輝かしい実績がある官庁ですからね。



 
posted by 山科玲児 at 06:22| Comment(2) | 日記

欲無言

論語  陽貨.JPG



論語  陽貨篇に「予欲無言(私は何も言わないことにしたい)」と孔子が言うところがある。
これは、かなり神秘的というか世に倦んだ学者賢人の言葉として深いものがある。当方も親族には、やはり何も言わないのがいいのでは、、と最近思い出した。真実は人を傷つけるし、嘘は人を迷わせる。それなら、何も言わないほうがいい。
まあ、ブログでは、そういう実害は少ないので、今後も「真実らしいこと」を書くことにしよう。

イメージは元覆宋本論語(台北 國立故宮博物院蔵書 影印) の該当箇所
posted by 山科玲児 at 05:29| Comment(0) | 日記

2020年05月08日

NHKまたフェイクニュース


もう国営放送つくったほうがいいんじゃないの。ニュースと教育関係だけでさ。NHKは民営化で。

河野太郎防衛大臣::
https://twitter.com/konotarogomame/status/1258379509272731652
朝からフェイクニュースだと伝えているのに、夜のニュースでも平気で流す。先方にも失礼だ。
引用ツイート
NHKニュース
@nhk_news
 ・ 5月6日
「イージス・アショア」秋田市の候補地を事実上断念 防衛省 #nhk_news https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200506/k10012419151000.html
posted by 山科玲児 at 08:19| Comment(0) | 日記

2020年05月07日

神秘的なサント コロンブ

St Colombe Perl.jpg



 2010.06.09
神秘的なサント コロンブ
https://plaza.rakuten.co.jp/yamashinareiji/diary/201006090001/

で紹介した、ヒレ・パールの演奏がYoutubeで聴けるようです。

Sainte-Colombe: Les Couplets - Bergeronnette preste (Hille Perl) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_cN_JbX8ggA

posted by 山科玲児 at 06:18| Comment(0) | 日記

楊淮表記



 楊淮表記(ようわいひょうき) 
wikimediaに投稿済み。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Yang_Huai_biaoji.jpg

これは、大阪市立美術館に拓本コレクションが入っている師古山房  岡村氏が原寸大で、  昭和15年1月、東京で影印刊行したものをもとにしました。
縮小してもいいように、コントラストをきつめにしましたが、少しやり過ぎかもしれません。
posted by 山科玲児 at 06:10| Comment(0) | 日記

2020年05月06日

聖セバスティアノの下の聖セバスティアノ

sabastian 豊福 s.jpgsabastian 豊福 before s.jpg


祝5000日とCerquetoのSan Sebastiano(聖セバスティアヌス)
https://blog.goo.ne.jp/fontana24/e/967c9d103d7b7b76e45118f584b987be

というブログ記事に触発されて、昔  芸術新潮の古書で読んだ15世紀前半の聖セバスチャンがボロボロのより新しい絵の下から出てきたという話を思い出しました。1976年当時ミラノ在住の芸術家(彫刻や、庭園制作なんかもやってる)豊福知徳氏のエッセイで知りました。豊福知徳が骨董屋で掘り出したものなんだそうです。
そのとき出た  絵の下から出てきた古い絵が上イメージの原色版です。その上にあった新しい絵はむしろ稚拙なもので上のモノクロイメージでした。

現在、この絵は、どこにいってるんでしょうね?  高さ1m以上のかなり大きな絵ですから、結構良いもののようにみえます。

芸術新潮 第319号(1976年7月)特集 安宅コレクション

 秘蔵(37)<原色版> 「聖セバスティアノ」の下から現われた殉教図 聖セバスティアノの下の聖セバスティアノ / 豊福知徳 /

posted by 山科玲児 at 09:27| Comment(0) | 日記

2020年05月05日

荘子 知北游篇

知北遊 mod.jpg

久しぶりに、書道博物館所蔵 唐抄本 荘子 複製(知北游篇  天運篇)を虫干し的にあけてみたら、かなり装丁が傷んではがれてしまっていたので、修理した。まあ、こういうことをやるのが休暇の使いかたなのだろう。

この複製を紐解いていたとき、

2018年04月17日  解説文が紛れ込む
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/183003745.html

で、書いた、注釈の紛れ込み問題を思い出し、写真に撮った。イメージに赤線で挿入部分らしいところを区別してみた。
注釈かもしれない該当部分に更に後世の注釈までがついているから、紛れ込んだのは相当古く、あるいは後漢時代ごろかもしれない。
posted by 山科玲児 at 13:33| Comment(0) | 日記