2021年03月27日

織り込んだ文字

聖徳太子 唐本御影.JPG麒麟吉祥文字風通  京博.jpg


東野 治之,書の古代史,第1章8「聖徳太子画像の墨書」, 岩波書店、1994年、新装版「岩波人文書セレクション」、2010年 には、またも、東大の人が、誤認誤読した話が書いてあった。

1982年ごろに、上の聖徳太子  唐本御影の御物の実物を観察していた某氏が  掛け軸の表装布の上に「川原寺」 という文字を見いだした。これは、もともと川原寺にあった証拠の墨書だとして発表した。ところが、あとで 東野 治之氏が博物館の人たちとともに精細に観察したところ、実は、掛け軸の表装に使った布に銀糸(酸化して真っ黒になる)で織り込んである文字だということがわかった。同じ種類の織物ではないが(これでは銀糸ではないから)上イメージのように文字を織り込む布は中国では古くから作り続けられている。イメージは明時代のもの。しかもこの文字のことは大正時代の法隆寺大鏡に既に書いてあり、しかも誤読であることもわかった。某氏は、摩滅して読みにくい文字を読み間違えたのだ。

東野氏の指摘は1991年初出(単行本収録は1994年)であるのにも関わらず、30年も経った現在でも未だに、「川原寺」墨書を近年の調査で見いだした、などという、ネット記事が多数あるのは、まことに不思議である。
「聖徳太子」  「唐本御影」「川原寺」で検索すれば、たくさんでてくる。
訂正記事をださないマスコミの犯罪ということだろうか。


posted by 山科玲児 at 07:57| Comment(0) | 日記

東洋陶磁美術館 オープンデータ

大阪市のど真ん中、中之島の大阪市立東洋陶磁美術館が収蔵品画像のオープンデータのサイトを公開。なにせ、安宅コレクションを保存公開するためできたような館だから、とにかく収蔵品のレベルが高く偽物・贋作がなかなかみつからない、という希有なコレクションである。偽物・贋作だらけのコレクションというのも少なくないのにね。

posted by 山科玲児 at 05:16| Comment(0) | 日記