2021年05月29日

メムリンク作品がブリュージュに戻ったが

Memling  Brugge.jpgmemling rojasB2.JPG


メムリンクという絵画が1点ブリュージュ(ブルッヘ)市美術館に寄贈されたそうである。

Portrait by Memling returns to Bruges(23 September 2020)

https://www.museabrugge.be/en/news/paneel-van-hans-memling-keert-terug-naar-brugge

実際の所有権については、少し不明なところがあるが、所在はたぶんブリュージュのダイバー街の美術館にいくのだろう?

板絵で小中型の祭壇画の左翼というところだろうか。寄進者の肖像である。下の盾の紋章から、スペイン貴族 Rojas家の人であることがわかる。当時フランドルで外交官やってた フランチェスコ Francisco de Rojas (1446-1523)  でないかと推定されているが、それだと絵の推定年代と微妙にあわないので Rojas 家の別人じゃないかともいわれている。

これは、Dirk de Vos   の総カタログ(Ref1)第2番、Fagginの総カタログ(Ref2)85番にあげてあるもので、一応真跡のなかにラインアップされているものだが、やや問題があるもののようだ。

Dirk de Vosによれば、モノクロ写真しか得ることができなかったというものであり、あまり有名でないコレクターたちに秘蔵され転々と所有者が変わっていったもののようである。Dirk de Vosによれば、この絵がメムリンクだとされるのは、背景の風景画と周りの建築にのみによるものであって、人物部分はとてもそうにはみえない、、ということで、ひどい補筆があると推定しているようだ。
とはいっても、少なくとも風景はメムリンクそれも初期のロヒールの影響の強いメムリンク作だとみているようだ。

 そして、Dirk de Vosによれば、これに連なる少女の絵の断片がイメージのようにある・あったんだそうで、こちらの作品断片は現在所在不明のようである。

  実はこの絵はChristie's in Londonオークションにアメリカの投資家で所蔵家の  Bill Middendorf 氏が出したが、全く売れなかった。

そのときのオークション記録は、公式プレスリリースにあるので、でたことは確かであろう。
https://www.christies.com/about-us/press-archive/details?PressReleaseID=9430&lid=1
詳細が検索できなかったので、別サイト

£1.5m Portrait by Hans Memling to Lead Christie’s Old Masters Evening Sale
https://en.thevalue.com/articles/hans-memling-portrait-christies-old-masters
から
Auction house: Christie’s London
Sale: Old Masters Evening Sale
Sale date: 4 July 2019
Lots offered: 53

 投資家としては見込みなしとみたのか、結局  寄付となってしまったものだという。実はBill Middendorf 氏自身も2002年のSotherby'sオークションで売れなかったこの絵を競売会社から安く買ったもののようである。
  そういう、わけあり物件のような裏事情があるので、まあブルッヘのほうでは歓迎しているようだが、、まあどうなのかなあ。。
  当方としては熱烈歓迎、埋もれた文化財の再発見、義挙として大騒ぎするほどではないのでは。。という感じである。
 ただ、科学分析してみると、また面白い事実が判明するかもしれない。

REF Dirk De Vos, Hans Memlig Complete Works, 1994, London

Ref2 Faggin, Tout l' oeuvre peint de memling, Flammarion, Paris, 1973
posted by 山科玲児 at 06:53| Comment(0) | 日記