2022年04月29日

ニコラ・ロランの息子



この絵で聖母子の背後右にいる寄進者は、枢機卿の服装をしている。ニコラ・ロランNicolas Rolin (1376–1462) の息子:ジャン・ロランJean (Jehan) Rolin (1408–1483) である。

 ニコラ・ロランという人物は、初期ネーデルランド絵画で、必ず名がでてくる、ブルゴーニュ公国の宰相をつとめた高官で、なにせヤン・ファン・アイクに自分の肖像を聖母子とほぼ同じ大きさで描かせた人である[ロランの聖母(ルーブル)]。また、ブルゴーニュのボーヌにあるロヒール・ファンデア・ワイデンの有名な最後の審判祭壇画の寄進者であり、外翼に、またも自分と妻の肖像を寄進者として描かせている。アラスの肖像素描集にもニコラ・ロランの肖像があるが、これは、ボーヌのものに近いようだ。

さて、このジャン・ロランの寄進者像は聖母と頭の高さがあまりかわらないようにみえる。しかし、実際は低いのだ。これは俯瞰的遠近法で描いているからで、遠いほうが高いところにおかれることになる。例えば、プラド美術館のヒエロニムス・ボス  東方三博士の礼拝:では遠くの軍勢や熊が聖母より高いところにあるが、だからといって、位階や尊貴の序列がひっくりかえっているわけではない。

 ただ、初期ネーデルランド絵画では、寄進者像が比較的大きく画面にでる傾向はあるだろう。
posted by 山科玲児 at 19:51| Comment(0) | 日記

マヤ・ブルー



 青色顔料というのは、なにかと話題になりやすい。同じくらい話題になるのは、貝紫や水銀朱ぐらいだろうか。
  マヤ・ブルーというのがある。宣伝文句やブランド名にもなるようなものである。、メソアメリカのマヤ文明の土器や壁画にみえる青い顔料で、異常に丈夫というかあの熱帯雨林で他の色がはげおちても残っているという代物である。
ゲッテンスのころは無機顔料かどうかで議論があったようだが、今はインディゴとPalygorskiteを煮たものだといわれているようである。
このPalygorskiteは奇妙な粘土鉱物らしくてこいつが重要な役割をしているようである。
https://en.wikipedia.org/wiki/Palygorskite

REf ラザフォード・J. ゲッテンス, ジョージ・L. スタウト,  絵画材料事典 ,  翻訳 森田恒之,  美術出版社, 1999
posted by 山科玲児 at 19:50| Comment(0) | 日記

夜のガスパールの自筆原稿

gaspard  autograph.jpg


 ルイ(雅号 アロイジウス)・ベルトランの詩集「夜のガスパール」
の自筆原稿が、1992年に再発見され、Biblioteque Nationaleに入ったということが(REF)に書いてあった。
Biblioteque Nationaleのサイトで探したら、やっぱりデジタルで公開されていたようだ。

「夜のガスパール」自筆原稿:
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b10522569r/

ちょっと感激する。上イメージはその一部、冒頭のディジョン賛 の部分
そして、これみると、伊吹武彦先生の翻訳書に「『夜のガスパール』原稿の扉」という粗末な図版があったが、あれは、本物だったということがわかった。いったいどこでみつけたのかなあ?この下のページの写真図版を。
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b10522569r/f13.item

初版本もおなじく、パリのBiblioteque Nationaleのサイトで閲覧できる。
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8600227w/f9.image



ref 宮崎茜、日本における『夜のガスパール』受容
https://www.waseda.jp/flas/glas/assets/uploads/2017/03/2017_miyazaki_231-244.pdf
posted by 山科玲児 at 11:36| Comment(0) | 日記

夜のガスパールの翻訳

夜のガスパール 伊吹.jpg



 ルイ(雅号 アロイジウス)・ベルトランの詩集「夜のガスパール」は、残念ながら、岩波文庫の翻訳で知られているらしい。

夜のガスパール〜ルイ・ベルトランの詩にもとづく幻想曲
https://www.asahi-net.or.jp/~qa8f-kik/Ravel/Analyze/07_Gaspard_de_la_Nuit/index.html
というサイトに書いてあるように、岩波文庫の翻訳はセンスがなく、詩集の翻訳としていかがなものかと思うような代物である。なお岩波文庫の翻訳者のかたは、「夜のガスパール」の書誌研究については優れた業績をあげた人のようで、フランスででたベルトラン全集の序文でも賞賛されているという(ref)。しかしこの翻訳はねえ、、とても読む気になれなかった。 
 上記サイトの方があげている名訳のサイトは今はなくリンク切れしてるのだが、
    えあ草紙・青空図書館  夜のガスパール抄
    https://www.satokazzz.com/books/bookinfo/55607.html
で読むことができる。確かに達意の名訳だ。岩波文庫とは天地ほども違う。岩波文庫の編集者はどうかしてると思う。

当方としては、全訳では、伊吹武彦先生の翻訳(イメージ)をおすすめしたい。
伊吹武彦 訳、青木書店、1939年、
平凡社の世界名詩集15巻にも収録されているが、序2+ユーゴーへの献辞+正編52+絞首台であり、省略されている。
 文庫でもとの翻訳を再版してもらえないかなあ。。

 だいたい、フランス詩の翻訳は、古くは上田敏、堀口大学をはじめとして粋な翻訳が多く、その伝統は生田耕作ぐらいまではあったが、現代では絶滅してしまったのだろうか。


 上記解説に使われた1842年初版の緑の表紙は当方がwikimediaにあげたものだが、そのあと色補正した。
 この初版本は20部ぐらいしか売れなかったという。しかし、刷った部数は約200部だというから(ref)、残り180部〜ぐらいはいわゆるゾッキ本、新古本として古本屋に安く売られたんだろうと思う。ボードレールやマラルメはそういうゾッキ本をパリで買ったものらしい。
  当方の蔵書にあるものは、珍しいことにもとの紙表紙が保存されている。フランスの本は、いわゆるフランス装でどんな高級な高価な本でも紙表紙で販売し、買った人が装丁をするという形になっているものが多い。

それで、この紙表紙は、失われ易いのである。下記のBiblioteque Nationale所蔵本にもこの表紙はついていない。そういうこともあるのでwikimediaにアップしておいた。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gaspard_de_la_Nuit1842.JPG

内容のほうは、パリのBiblioteque Nationaleのサイトで閲覧できる。
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/btv1b8600227w/f9.image



ref 宮崎茜、日本における『夜のガスパール』受容
https://www.waseda.jp/flas/glas/assets/uploads/2017/03/2017_miyazaki_231-244.pdf



 
 

posted by 山科玲児 at 08:58| Comment(0) | 日記

諏訪内晶子のヴァイオリン



J.S.Bach The Concerto for 2 Violins, Strings and Continuo in D Minor, BWV 1043
については、
何度も紹介しているように、パリのルーブルでの演奏:
Arabella Steinbacher & Akiko Suwanai - J. S. Bach : Concerto
https://youtu.be/leTVfMb2uME
  が「ヴァイオリンの格闘技」というべき名演奏である。
 この諏訪内晶子氏、近年、ヴァイオリンをこの動画のストラディヴァリウス「ドーファン」からグアルネリの「チャールズ・リード Charles READ」に替えたそうだ。それは、前のヴァイオリンの貸与契約が終了したためだという。当方はどっちかというとグアルネリのほうが音色としては好きなので、むしろ楽しみだ。
 その際のNHKラジオのインタビューが、ヴァイオリニストとヴァイオリンの関係を語っていて、興味深かったので紹介しておきたい。。

名器「チャールズ・リード」との衝撃的な出会い
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/radiru-lab/oGr80IW9yx.html

 この、チャールズ・リードというのは弦楽器の収集家として有名な人の名前だという。旧蔵者なのだろう。そして、現在の所有者・または所有法人代表は、日系米国人?  の製薬会社創業者社長で医師である上野氏のようだ。

Dr. Ryuji Ueno, M.D., Ph.D. and Ph.D
http://rueno.org/ueno.html
posted by 山科玲児 at 07:24| Comment(0) | 日記