2022年05月14日

悪人:聖徳太子

聖徳太子 審美書院.jpg


幕末の水戸学や国学では、
聖徳太子は崇峻天皇を弑した大悪人  異国の宗教である仏教を盛んにした悪人ということになっていたという。現在では考えも及ばないことで、中世の「無双の軍神 予言者 聖徳太子」と同じくらい不思議だ。このあたりのことは、
渋沢栄一が聖徳太子奉賛会の援助を頼まれたときの逸話でもわかる。
***
黒板勝美談話筆記             (財団法人竜門社所蔵)
                    昭和十年一月二十二日 於同氏邸増山記
    聖徳太子奉讚会に就て
祭典の費用を集める方法が全然目当がつかない、そこで種々の公共事業に力を入れて居られる渋沢子爵(当時は男爵でしたが)の御尽力を仰がう、もし子爵の御承諾を得られなかつたならば遺憾乍ら中止の外はないといふ事に相談が決し、それで子爵にお願するには只祭典だけといふのでは如何かと思つて、その他に法隆寺の保存と全国一般に太子を讚仰する企、特に水戸学者の太子に対する非難を雪ぐのをも会の目的に加へ費用を四拾五万円と見積り、正木直彦氏と私とが交渉委員に挙げられました。
 私は従来子爵とは御懇親を願つてないので、大学の関係で穂積先生○陳重の御紹介を願つた処、先生も非常に賛成されて「渋沢子爵はあまりいろいろな方面に関係されるので、自分は出来るだけ抑へるやうにして来たのであるが、この会の趣旨は誠に結構で、且自分から見れば太子は日本憲法の始祖でもあられる。是非子爵の出馬をわずらはすやう尽力しよう」とのお話でした。この時先生のお部屋には太子の像が置いてあつたやうに記憶します。幾何もなく先生からのお電話で「子爵に出来るだけ勧めて見たがどうも賛成されない。それで一度君から直接お話した方がよからう」との事で、私を子爵に御紹介下つたので飛鳥山のお邸に参上してお願した処、子爵の御趣旨は、自分は元来水戸学を修めた者であるが、大逆の臣蘇我馬子と、事を共にされた太子の挙措は、大義名分上から賛成出来ないとの事でした。そこで私は水戸学者の説は基く資料に誤があるので、事実は斯く斯くと申上た処、大分御諒解になつたやうで、

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posted by 山科玲児 at 09:02| Comment(0) | 日記

スコットランド国立美術館 展



スコットランド国立美術館のものが、巡回展として北九州までくるようである。
https://www.tobikan.jp/exhibition/2022_scotland.html

2022年4月22日(金)〜7月3日(日) 東京都美術館

2022年7月16日(土)〜9月25日(日) 神戸市立博物館

2022年10月4日(火)〜11月20日(日) 北九州市立美術館

スコットランドというと、なんか寒い荒涼とした感じがあるのだが、どうしてどうして、
 フェルメールの初期作品、「マルタとアンナの家のキリスト」ももっている。
  ヒューホー・ファンデア・グースの大作まである。

今回はさすがに、フェルメールもヒューホーもでないが、ヴェロッキオ(推定)とされる 幼児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」) が貸し出されているようである。もともと板絵だがキャンバスに移されている。
この作品は、ナショナル・ギャラリーを中心に英国のイタリア絵画収集を解説したアポロ誌(ref)にのっていたので、よく覚えている。これは、ラスキンのために、画商・画家・鑑定家であったチャールズ・フェアファックス・マレー(Charles Fairfax Murray、1849年9月30日 ? 1919年1月25日)が仕入れたという、曰く付きのもので、ラファエル前派にかなり強く関わった作品だと思う。

このチャールズ・フェアファックス・マレーという人がまた忘れられている重要人物で、現在の英国の大手画廊アグニューの重要な協力者であった。欧米の重要なコレクション形成に関わっている。例えばモルガンに多量の素描を売っている。2世代あとのベレンソンを連想させるが、著作はカタログ編集以外はないようである。

他にちょっと珍しいところでは、アダム・エルスハイマー(Adam Elsheimer, 1578年3月18日 - 1610年12月11日)の銅板油彩の宗教画「聖ステパノの石打ち」がある。エルスハイマーの作品は少ないので貴重な機会かもしれない。

 クロード・ロランの水彩の架空ローマ風景画というのも面白い。
 ヴェラスケスの作品はプラドで見飽きたぐらいだが、日本には全く無いので、そういう意味ではいのかな。
 18世紀フランス絵画も多少きている。英国にはウオレス・コレクションなどワトー・ランクレ・パテル・ブーシェ・フラゴナールなどの名作が多いのだが、日本には非常に少ない。上野の西洋美術館ですらこの領域は貧弱で、わずかに、より新しい時代のナティエ、カペの作品でうかがうことができるくらいである。ただ、今回はパテル・ブーシェぐらいか。ワトーは作品自体傷みやすいということもある。
英国絵画は充実してるだろうが、ちょっと珍しいのでは、「失楽園」「聖書」などの版画で有名なジョン・マーチンの油絵があるようだ。

ref.   APOLLO誌 1985年8月号

posted by 山科玲児 at 06:58| Comment(0) | 日記