2022年07月01日

ボス展のカタログを読む その34 再び三賢王の礼拝

Bosch Epiphany Prado.jpg

プラドの三賢王礼拝祭壇画は、昔からヒエロニムス・ボスの真作として定評があり、
疑う研究者はいなかった。サインもある。
https://www.museodelprado.es/en/the-collection/art-work/the-adoration-of-the-magi-triptych/666788cc-c522-421b-83f0-5ad84b9377f7
2016年の逝去500年展にあわせて、クリーニングと調査が行われたようだ。一段と美しくなり、2004年には、制作年代と依頼者まで確実になったため、ボスの作品の基準点としてゆるぎないものになっている。
アントワープの織物商人で出納長もやった大商人の Peeter Scheyfve(ー1506)とその妻Agnes de Gramme(ー1497? ) の夫婦である。二人が結婚してから妻が早逝するまでの間に制作年代は限られるので1494年ごろ、とプラドは表示している。

このことがわかるまで、古い画集や総カタログの多くは晩年期1510年ごろの作品だと推定していた。そして、依頼者も間違っていた。古いスペインの記録にある別の「三賢王礼拝祭壇画」とりちがえていて、ブロンクホルスト=ボシュハイゼ祭壇画と呼んでいたのである。
その細かい経緯は、こちら、、
2016年06月10日 ボス  三賢王礼拝 の寄進者 (ボス展のカタログを読む 追加分)
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/175641382.html

この作品の、もう一つの特性は中央画面の模写や模倣作が多く残っていることである。
その多さはボスの作品では最も多い。
  当時、人気があったらしい。そして。
  個人の邸宅に秘匿されたものではなく、16世紀の一時期には、教会の一角にあって、祭日には」だれでも鑑賞できたのかもしれない。
左右反転させた模写が多いので、一度版画になってそれをもとに描いたのか、とも思ったがそういう版画は残っていないようだ。あるいは型紙のようなものが残っていたのか、ともおもわれる。
 また、ボスの工房やファン・アーケン一族の工房で制作されたのかもしれないような、質の高い模倣作もある。
posted by 山科玲児 at 06:35| Comment(0) | 日記