2022年08月13日

ヒビだったんじゃないの??

bosch  early  delight branch after compare.jpg


  ヒエロニムス・ボス作品の図像学本を出してる神原先生ですが、なぜか何度も書いている(ref1  ref2)のが、

偕楽の園(プラド)の中央画面左下部分で、
「『葡萄とリンゴが同じ枝から実っている』画面があったが、最近の修復で消されていまった」
という主張である。
  でもね、、上のように修復前・修復後を比較してみると、、これは枝ではなく単なるヒビ・亀裂にみえるんだけどね。
 最新刊(ref3)は本屋で立ち読みしただけなので、どう書いているのか知らないけれど、、もうちょっと実物や写真みてほしいんだけどなあ。


ref1 神原 正明 、ヒエロニムス・ボスの『快楽の園』を読む、 2000/12/1
 (神原 正明 『快楽の園』を読む ヒエロニムス・ボスの図像学 (講談社学術文庫))

ref2 神原 正明 、「快楽の園」―ボスが描いた天国と地獄 (ビジュアル選書) 2012/8/28

ref3 神原 正明 (著), ヒエロニムス・ボス: 奇想と驚異の図像学  – 2019/11/22
posted by 山科玲児 at 08:22| Comment(0) | 日記

エルランゲン・プログラム

ヒエロニムス・ボス 研究で、一時大騒ぎを引き起こした
ウイルヘルム・フレンガー(Wilhelm Fraenger, 1890年6月5日 - 1964年2月19日)がエアランゲン生まれだということから、

エルランゲン・プログラムもしくはエアランゲン・プログラム(独: Erlanger Programm, 英: Erlangen program)
という言葉を思い出したが、意味は全く忘れている。。なんだったかなあ??? なんか怪しい洗脳教育や秘密結社の話だったかなあ?? と右往左往した。
こういうときは、wikipediaはありがたいものである。

数学とくに幾何学に関する研究方針 理念 のことだったようである。
エルランゲン・プログラム
  ただ、幾何学がこうなって、なんか面白みがなくなったかもしれないなあ。

エルランゲン(エアランゲン) という町は大学が有名で学問や思想 関係でたまにでてくる名詞になっている。
posted by 山科玲児 at 07:10| Comment(0) | 日記

2022年08月12日

盗撮大臣 林芳正

林芳正 外務大臣 背広の胸ポケットのスマホのカメラレンズを出していて、盗撮 疑惑が騒がれてます。
ばれたんで、もうスマホのカメラレンズを出すのは止めたみたいですね。
勿論、今超小型のカメラはありますし、ボタンやバッチに仕込むこともできますけれど、動画撮影 録音なんかでは、電源確保が大変なんですね。ケーブルつないだりというのは、面倒でしょ。
だからスマホという形は、とても便利です。。外観がボロスマホでも中身は、かなり最新式に改造されているかもね。



posted by 山科玲児 at 06:47| 日記

2022年08月11日

ボス:ウイーンの最後の審判の伝世問題




どうも、当方とカラブリアのイタリア人Tania De Nileとが似たようなことを考えていたようである。シンクロニティを感じますね。

2016年09月04日
ボス展のカタログを読む その9 木材の話
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/176742543.html

でルカス・クラーナハ(父)がヒエロニムス・ボスの最後の審判をどこで模写したのか??
という問題を論じたが、似たような問題意識をもって、更に奥へ研究した人がいるようだ。
こういう問題は、どうしても推測が多くなるので、この論文もかなり推測が多いものになっているけれど、可能性としては、納得できる。


A new provenance study: the Vienna Last Judgement in 17th century inventories
Jheronymus Bosch. His life and his work. Atti del 4° convegno internazionale su Jheronymus Bosch, ('s-Hertogenobosch, JB Art Center 14-16 aprile 2016), 's-Hertogenbosch 2016, pp. 70-88., 2016
Tania De Nile
https://www.academia.edu/30852508/A_new_provenance_study_the_Vienna_Last_Judgement_in_17th_century_inventories


Tania De Nileの推測では、この絵画はかなり早くドイツ圏へ入ってルドルフ2世のコレクションに入っていた。その過程でクラーナハが模写する機会があった。その後三〇年戦争の略奪でスウェーデン軍にとられストックホルムへ。しかし、スウェーデン女王クリスティーナは 北方ルネサンス絵画は好まなかった。あのデューラーの傑作アダムとイブ(プラド美術館)でさえ惜しげも無くスペイン王フェリペ4世へプレゼントしているくらいである。クリスティーナは退位後大陸にいたっとき、多量の北方ルネサンス絵画を売却したりイタリア絵画に交換したりしたようである。おそらくブリュッセルで処分したとき、当時のネーデルラント総督でコレクターのレオポルドの手に渡ったのだろう。。。という推理である。


 
posted by 山科玲児 at 18:24| 日記

愚者の船 bosch項目修正




英語版のShip_of_Fools_(painting) を最低限修正。。
https://en.wikipedia.org/wiki/Ship_of_Fools_(painting)

2018年10月20日
ボス展のカタログを読む 29 愚者の船の修理
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/184722914.html

で書いたような修復作業の問題が何も書いていないので、複数の違ったイメージの間に整合性がまるでなくなってしまっています。これはまた、妄想的な説の源泉になりかねないので、釘をさしておきました。
[追加]修理は2015年でした。
posted by 山科玲児 at 13:54| 日記

恐怖の谷

The valley of fear.JPG

シャーロック・ホームズ シリーズで、「恐怖の谷」は、どうもあらすじを暗記してるほど読んでいるとは言えない長編だった。その点では「四人の署名」なんかとは違う。
一応、Oxford  ANNOTED シリーズの本(イメージ)はあるので、とりだしてみたが、あまり読んでいなかったなあ。

なんか、最近だるい展開だったマンガ「憂国のモリアーティ」は、この「恐怖の谷」で一気に西部劇展開になって調子を取り戻しているようである。。 
 ホームズ シリーズでの、ちょっと面白い特色は植民地やアメリカなど外国での事件がロンドンに影響しているという設定が、結構あり、それが物語に大きな膨らみをもたらしていることである。

posted by 山科玲児 at 13:07| 日記

ベレンソン本 宮中図巻

宮中図巻 Berenson1.JPGBerenson0 (1).JPG
 往年のイタリア絵画研究の権威;矢代幸雄先生の師匠バーナード・ベレンソンの収集品には東洋美術も多少あり、しかも相当重要なものがある。
  これは、南宋初期紹興10年(ACE1140)に、その何世紀も前の周文矩の[宮中図巻」を白描で模写したというものの離れ残巻で、その事情を書いた跋文がクリーブランドにある別の断片残巻についている。どうもこのベレンソン本は長い巻物の最初の1/4らしい。ベレンソン本は高さ26cmの長さ122cmの絹の巻物である。


 昭和九年に写真をベレンソン氏からもらって美術研究に紹介された矢代幸雄氏だが、実見したのは、昭和27年にフィレンチェでベレンソン氏に再会したときだという。
「ベレンソン先生がこんなに高級な支那の古画をもってゐられようとは、想像もしなかったからであった。」(ref2)
「私が最もびっくりしたのは、その保存状態の悪さであった。糊の気が抜けて絹が下張りから浮いてしまってゐるばかりでなく、またその絹がまるで弱ってゐて、どこからでも欠け飛んで失はれるという有様であった」
(ref2)
その後、矢代氏のすすめで、日本で修理・巻子表装をしたものだそうである。
この長い巻物は4巻に分割されて、現在は、
クリーブランド美術館、
メトロポリタン(david旧蔵分)
、ハーヴァード(フォッグ美術館)
と、フィレンチェのベレンソンの別荘ITATTI, にある。よく考えれば、I Tattiもハーヴァードのものだから、2巻がハーヴァード大学の所蔵ということになる。
 複製、写真、実物観賞(クリーブランド本)などの経験から、四本を対照して考えて推定すると、このベレンソンのものが一番 良いように感じられる。ウブというかあまり過剰にいじっていないというか、古色を残して、オリジナル感がある。それは、おそらく、他の巻で過剰な修理が行われたせいだろう。

ref1  美術研究所、美術研究, No.25, 1934 矢代 幸雄「宋模 周文矩宮中圖」
ref2  美術研究所、美術研究, 第169号(1953年3月)  矢代 幸雄「再説宋模周文矩宮中圖」
ref3 美術研究所、美術研究,  第56号(昭和11年、1936年8月) 矢代 幸雄「宋模周文矩宮中圖の新斷片」

posted by 山科玲児 at 06:43| 日記

2022年08月10日

古楽と「耳利き」

NHKFM 古楽の楽しみで、あまり有名でない作曲家の作品が紹介されることがある。

 ときどき、果たして名曲といえるのか?鑑賞して楽しいのか?と疑問に思うことも多い。最近では、ヘンデルの父親の作品やら、今やってるヨハン・ウィルヘルム・ヘルテルとか

がそうだ。たまには、エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲールのような、発見、拾いもの、掘り出し物があることがあるので、こういう試みも悪くはないと思うが、企画者は「耳利き」なのかなあ??。
 有名でない作曲家のなかには、ドメニコ・ガロのように、長年ペルゴレージの作品と間違えられていた作曲家もいて、これは問題なく名曲佳作だと思うので、そういう発掘はありがたいのだが。。エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲールも良かった。

 タルティーニの「[コレッリの主題による変奏曲」/ボーイングの技法:50の変奏」のように、長年、19世紀の編曲でしかしられず、その名曲ぶりが全く隠されていた曲も発掘してほしいものだ。
posted by 山科玲児 at 07:27| 日記

2022年08月09日

山形田

山形田.JPG


銀座で、山形の「板そば」を食べられる店。
前は京橋にありました。
今は、松屋の裏のほうのビルのB1Fにあります。
この板そば、そうとう腹持ちがいい感じがありますねえ。


https://retty.me/area/PRE13/ARE2/SUB201/100000021312/
posted by 山科玲児 at 17:19| 日記

初期フランドルの画家たちは親戚同士か?



 初期フランドル画家の巨匠  ロヒール ファン デア ワイデンの妻  エリザベート=ゴファールトのご両親はヤン=ゴッファールト(ブラッセルの靴屋)と カテリーナ=ファン=ストッケム
だ。一方、彼の師匠にあたるロベール=カンパンの妻が イザベル =ファン=ストッケムである。
Dirk deVos の本でも、この一致は偶然ではなく、姻戚関係があったのだろうと推定している。実際、ロヒールはトルネの職人階級の生まれらしいし、どうやってブラッセルの靴屋の娘と知り合えるのだろうか?

 更に、「1414年に、ランブール兄弟の一人がニメーグNijmegenの ストッケムという有名な金銀細工師を訪ねた」という記録があるらしい。兄弟はもともとニメーグNijmegenの金銀細工師の家の出身だっただろうから、先輩を訪ねるのは自然だが、なぜ名前がストックハムなんだろう。また、現在のストックハムStockemとリンブルグ(ランブールLimburg)は距離的には6kmしか離れていない。

 更に、あのヒエロニムス・ボスは画家1族の一人だったがそのファン アーケン一族も、ニメーグNijmegen出身だと、プラドのカタログに書いてある。

 ファン・エイク兄弟もどうも、このあたりの出身らしいし、どうも全員、地縁血縁でつながっているのかもしれない。
posted by 山科玲児 at 05:59| Comment(0) | 日記