2022年09月30日

カラバッジョの印相(ムドラー)

Disputabit.jpg

カラヴァッジョ     ほんとうはどんな画家だったのか
石鍋 真澄 著
https://www.heibonsha.co.jp/book/b607005.html


218Pで、カラヴァッジョの「聖マタイと天使  第2作」の天使のジェスチャーを解明している。
そこで
「当時のジェスチャーを集成したジョン・ブルワーの『キロロギア』では、この仕草は『議論する』を意味するものとされている」として、123Pの図2−30に図を出している。イメージは
Chirologia 1664の原本を採用しているらしい下記イタリア語の本からとった。

この天使の印相は、

2015年10月12日
西洋絵画と印相(ムドラー)
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/165528701.html
で、当方がとりあげたのだが、やはり、ある種の手話
印相だったようである。

この元本は
John Bulwer (1606 – 1656) 英国の医師・学者
Chirologia 1664  Public Domain Review
https://publicdomainreview.org/collection/chirologia-or-the-natural-language-of-the-hand-1644

である。ただ、ファンマンデルの本を読むと、オランダとイタリアでジェスチャーが違っていたということもあるので、この英国の本は、ほぼ同時代とはいえ、カラバッジョの絵画の解明に役に立つのか心許ないところがある。イタリアでの同様な本があればありがたいのだが。。

  一方、現代イタリアの本で、この英国の本を採用して当時のジェスチャーと絵画を比較した本もあるようである。

Anna Finocchi,  Le mani parlanti: GESTI, ARTE, STORIA (Aladino) (2018)
手話 ジェスチャー・美術・物語  イタリア語 94P
https://www.italianostra.org/wp-content/uploads/Le-mani-parlanti.compressed.pdf

これでは、

西洋絵画と印相(ムドラー)
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/165528701.html

でとりあげた
マドリードのティッセン ボルミネッサ美術館のデューラーの「博士の中のキリスト」だが、
https://www.museothyssen.org/en/collection/artists/durer-albrecht/jesus-among-doctors#

その下絵素描習作もやはり同じ印相だということになっている。

この本はイタリア語は良く読めないが、観ていてなかなか面白い。ただ、どうも比較が違うんじゃないの??と思われるところもある。また、コスメ・トーラの奇妙な印相には言及がなかったようだ。


posted by 山科玲児 at 08:33| Comment(0) | 日記

パンスープ

帝国ホテルの伝統を継ぐ 三国シェフの料理動画には、家庭でたやすくつくれる優れたレシピが少なくないが、

特にこれは、素晴らしい。パンの堅い皮を有効利用できる。

#639『パンスープ』冷蔵庫の余り物とパンをコトコト煮て、とろとろに!|シェフ三國の簡単レシピ

https://youtu.be/TqF37xYcrpA

posted by 山科玲児 at 06:22| Comment(0) | 日記

2022年09月29日

スペインなどの三角帽子


 昨日書いた三角帽子、必ずしも異端審問の罪人被告だけが被るものとはいえない。
 ロージ監督のオペラ映画「カルメン」
の冒頭で、大きい長い三角帽をかぶった修道士・僧の列があった。どうも スペインの復活祭の前の聖週間で教会関係者がこういう格好で行列したりするものらしい。中南米でもあるようだ。

スペインの聖週間 三角帽をかぶった男たちが街を練り歩く | ハフポスト NEWS
https://www.huffingtonpost.jp/2015/03/31/spain-holy-week_n_6975150.html

カピロテ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%94%E3%83%AD%E3%83%86

この習慣、意外に新しい習慣かもしれない。少なくとも異端審問があったゴヤの時代には、まぎらわしくてできなかっただろうから、異端審問が終息した19世紀以降にできたものではないか?あまりに異様な風体なので、中世からの伝統ではないか?とおもわれがちだが、古い版画や絵画には、こういう衣装の行列はみあたらないので、ここ200年ぐらいのものではないか??と推測している。

posted by 山科玲児 at 04:52| Comment(0) | 日記

2022年09月28日

異端審問の三角帽子と中国共産党

Goya Los Capri   Nohubo Remedio WM.jpg
ゴヤ 版画  ロス・カプリチョス の1点

動画

【裸のマハ/着衣のマハ】怪しい仕掛けの超問題作!?マハの正体とは?【宮廷画家ゴヤ】


タイムスタンプ付きURL
https://youtu.be/bXdeEJBdII8?t=1806
で、
文化大革命のときの三角帽子のルーツは、スペインの異端審問で被告にかぶせた三角帽子だという話があって、興味深かった。

  では、どういうルートでゴヤの三角帽子が中国共産党に伝わったのだろうか??

 中国共産党の初期メンバーにはフランス留学組が少なくなく、トウ小平もそうだから、フランスで知った知識なのかもしれない。そして、ゴヤの版画の総目録が1922年にフランスで刊行されている。こういう豪華本を彼らが閲覧できたとは思えないが、絵入り新聞やら雑誌やらで、粗雑な複製に触れる機会はあったと思う。 そしてそのころケ小平はフランスで工員しながらフランス共産党の活動をやっていて、ガリ版博士と称されていた。
  また、プロレタリア芸術として欧州の版画をとりいれる「木刻運動」があった。魯迅や、1928-1930ごろにフランスに逃亡した鄭 振鐸も「木刻運動」に関係しているし、鄭 振鐸は版画への関心を生涯続けていた。その版画の判例としてゴヤの版画が輸入されてそのなかの異端審問の場面が流用されたという可能性もある。
ただ、ひょっとしたら中国内のミッション・スクールでの罰で被せられた三角帽子というルーツがあるのかもしれない。更にその起源が異端審問の習慣にあることは間違いないだろうが。。
西学東漸記. 著者:, 容閎 著. 著者:, 徐鳳石, ツ鉄樵 訳. 著者標目:, 容, 閎, 1828-1912.


posted by 山科玲児 at 08:02| Comment(0) | 日記

2022年09月27日

鉄板エッティング

Durer  鉄板エッティング  聖布をひろげる天使 detail-1.jpg
もう終わっているが、上野の西洋美術館で開催されていた、エッティングを中心として西洋版画の企画展
でみた
アルブレヒト・デューラーの版画に「聖顔布を広げる天使」というものがあった。
これの写真とサイトの記述をみなおしていたら、


鉄板エッティング


であるという記録があった。


普通、銅板使うんだけど、紙の版画しか残っていない状態で、鉄か銅かということがわかるのだろうか??
一応、拡大した局部写真をあげておく(当方撮影)
posted by 山科玲児 at 07:52| Comment(0) | 日記

2022年09月26日

イタリア総選挙

2022年09月04日  ベレンソンとムッソリーニ  続

で、ムッソリーニのこと書いていたら、
イタリアで  マリーヌ・ルペンばりのメローニ首相が誕生しそうだ。

マリーヌさんも早く大統領になってください。
ムッソリーニ伝 The Life of Benito Mussoliniの著者 ユダヤ人の:Margherita Sarfatti(1880-1961)  を思い出してしまった。
まあ、ムッソリーニはレーニンの弟子なんだからなあ。




posted by 山科玲児 at 18:18| Comment(0) | 日記

フェリペ2世 とボス



 ヒエロニムス・ボス(1450?--1516)とフェリペ2世(1527-1598)
が、あまりにも同じところで語られることが多いせいか、あたかも同時代の人であるかのように語られることすらある。あまっさえ、ボスがフェリペ2世へむけて作品を作ったかのような妄想をする人まであらわれる始末だ。

 フェリペ2世はボス没後11年後に生まれている。3世代は離れていて祖父と孫以上離れている。

フェリペ2世がボスの作品を多数収集したのは確かだが、それは、現代の権力者が、レオナール・フジタの作品を収集するようなもので、過去の名作を収集しているのだ。

このへんの時系列がわからないと、トンデモな議論がわきでてしまって収拾がつかなくなる。

なお、プラドやエスコリアルにあるボスの作品は、必ずしもフェリペ2世の収集とは限らない、「三賢王礼拝」はよくわからない。「快楽の園」「干し草車」「7つの大罪のテーブル」はフェリペ2世の購入であることは間違いないようだ。それもスペイン国内で購入している。
posted by 山科玲児 at 15:48| Comment(0) | 日記

カラヴァッジョ ほんとうはどんな画家だったのか 拾い読み

カラヴァッジョ     ほんとうはどんな画家だったのか
石鍋 真澄 著
https://www.heibonsha.co.jp/book/b607005.html

は、労作で良い本だと思う。まだチョコチョコ拾い読みしているが、ちょっとおかしなところもわずかながらある。
270Pで、ダブリンの「キリストの捕縛」について、
1921年4月16日に「8ギニー」で売られた、その8ギニーについて、「現在の7000円」といっているのは、いくらなんでも間違いだ。当時のギニー・ポンドは少なくても現在の1万円強のはずなので、10万円〜20万円ぐらいだと思う。
同じページで、ロクに調査もしない偏見に満ちた  ジョナサン・ハーの「消えたカラバッジョ」を褒めているのもいただけないと思った。

消えたカラヴァッジオ」の作者は、一度もアイルランドに来たこともなく、アイルランドにいた関係者にまったく取材をしないでこの本を(ほぼ想像で)書いていたのだ。実はこの本はアメリカでは刊行されたが、イギリス・アイルランドでは発売されていないのだった。



posted by 山科玲児 at 08:14| Comment(0) | 日記

2022年09月25日

高くなってた

WINE SAINT MARTIN BREUGELss.jpg

ブリューゲルの「聖マルティンのワイン祭り」のスペイン語モノグラフ
プラドで6ユーロで買ったのですが、今、異常に高くなってます。
しまった2冊買っとけば良かった。。
posted by 山科玲児 at 17:32| Comment(0) | 日記

だれが描いた?

Paladin Luth  FERRE.JPG

カラヴァッジョ     ほんとうはどんな画家だったのか
石鍋 真澄 著
https://www.heibonsha.co.jp/book/b607005.html


44Pで、カラヴァッジョの師匠 ペテルツァーノの絵として、ブダペストのリュート奏者の絵が出ていた。
この絵はCDのイラストになっていた。
 イタリア人Giovanni Paolo フランス名 Paladino Jean Paul PALADINがリヨンで出版したリュート曲集から選んだCD 
で  フランスの Eugene FERRETの演奏で、結構 良かった。ところが、このCDの解説には別の画家の作品となっていた。

おかしいなああ、、と調べてみたら、MICHELI, ParrasioとしているサイトとSimone Peterzanoとしているサイトがあり所蔵館のブタペスト美術館は、Simone Peterzanoにしているようだ。

MICHELI, Parrasio
(b. ca. 1516, Venezia, d. 1578, Venezia)
The Lute-playing Venus with Cupid

https://www.wga.hu/html/m/micheli/luteplay.html


File:Parrasio Micheli - The Lute-playing Venus with Cupid - WGA15590.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Parrasio_Micheli_-_The_Lute-playing_Venus_with_Cupid_-_WGA15590.jpg

ブダペスト 国立博物館
Venus Playing the Lute, with Cupid Simone Peterzano (attributed to)
https://www.mfab.hu/artworks/venus-playing-the-lute-with-cupid/


こういう、議論が分かれているものは、結構あるんじゃないかと思う。前から気になっているのがゲントの聖バーボ教会にあるカルバリオ三連祭壇画で、これは、ヒューホー・ファン・デル・グースという意見と、古くからあるジュスト オフ  ゲントことヨース・ファン・ワッセンホーヘJoos van Wassenhoveだという説があるようだ。

The Calvary Triptych
by Hugo van der GOES
https://www.wga.hu/html_m/g/goes/calvary/index.html


Justus van Gent
https://en.wikipedia.org/wiki/Justus_van_Gent

タグ:西洋絵画
posted by 山科玲児 at 13:41| Comment(0) | 日記