2022年12月31日

縄文時代以来の日本人の智恵

縄文土器 小林  日本の美術6 s.jpg




日本の美術 145号 縄文土器(小林達雄編、至文堂、1978
2011年に、
縄文土器の衣替え
http://plaza.rakuten.co.jp/yamashinareiji/diary/201101010001/
というのを書いたが、

この定期的に使っているものを一斉に破棄して、新調するという習慣・慣習は縄文時代以来、日本人に染みついたものらしい。修理してまで使っている土器も新品の土器もいっせい廃棄しているようだ。たぶん単なる儀礼的・宗教的なものでなく、実用的・公衆衛生的・現実的な意味があったんだろうと思う。

大晦日にあったえ、下着などをいっせいに新しいものに変え、そのぶんの古いものを廃棄したのも、縄文時代以来の智恵だろうか。。

posted by 山科玲児 at 19:38| Comment(0) | 日記

宋紙を切り抜いた人

寒食詩 batu2.JPG寒食詩 博文堂2.JPG

 ちょっと読まずに放り出しておいた最新号のオリエンテーションズに、

乾隆皇帝が、じぶんが昔、貴重な宋紙の上に書いた

文字が気に食わなくてそれをけずりとり裏打ち再表装させて、

その上に書いたという例があった、担当者は 「張ト」 だったという。

 この担当者の名前は、初めて知ったようにかんじている。


  蘇東坡 の黄州寒色詩巻の乾隆皇帝の賛にどうもにじんだようなおかしなところがあるが、どうもこれらしいということは、前に指摘しておいた(上イメージ)。

20140610日 文字を削ったあとなのか?

http://reijiyamashina.sblo.jp/article/99406080.html


北宋の貴重な紙なのだから、一ミリでも捨てたくなかっただろう。ただ、それなら題賛なんか書くなよ、といいたい。こういう例は、他にもありそうだ。








posted by 山科玲児 at 10:21| Comment(0) | 日記

ガッティのCDとシューマン

Gatti Corelli Opera3 sonata Chieza.jpg

 エンリコ・ガッティというヴァイオリニストの演奏は、結構、愛好している。
2018年12月24日   コレッリの良さ
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/185252748.html
 動画で2020年ころの風貌を観ることもできる。
https://youtu.be/8gpfAfAycSU

 タルティーニのヴァイオリンソナタのアンソロジーCDを聴いているが、とても変化に富んだ曲であり、変化の幅・多彩さでいうとヴィヴァルディ・コレッリを凌駕する。
ただ、意外と脳に残らないのが不思議。。


 また、今回、アルカンジェロ・コレッリの教会ソナタのCD(イメージ)を買った。どうも以前買ったCD(作品1、2、3からのアンソロジー2CD)とは別演奏のようだったのと以前買ったCDが一枚こわれてしまったので、安かったこともあり作品3  全曲のものを買うことにした。

 パンフを読むと、驚いたことに架空の人物二人の対話編になっていた。まるでシューマンの評論だ。ロベルト・シューマンは主催する「新音楽時報」で、ダヴィッド同盟という架空の団体を想定し、メンバーのフロレスタン、オイゼビウス、ラロ楽長の対話篇という形で健筆を振るった。この批評家ジャーナリストとしてのロベルト・シューマンは現在どういうふうに読まれ・評価されているのだろうか? これは、ガリレオ・ガリレイが天文対話などで試みた形にも先例があり珍しいものではないとはいえ、音楽批評のなかでは、少ない例かもしれない。

このダヴィッド同盟::
かかし朝浩「ムジカ」のコラム ダヴィッド同盟 豆知識集
https://www.cmoa.jp/title/123511/
でも紹介されていた。

posted by 山科玲児 at 07:34| Comment(0) | 日記

2022年12月30日

妹至帖が「王羲之と蘭亭序」展で

妹至帖6.jpg

創立150年記念特集 王羲之と蘭亭序

    TOP 展示・催し物 総合文化展一覧 アジアギャラリー(東洋館)
    東洋館 8室
    2023年1月31日(火) 〜 2023年4月23日(日) https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2557
展示作品リスト 前後期で結構かわりますね
https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=item&id=7152

台東区立書道博物館とのコラボです。

これで、面白いのは、九州国立博物館から
妹至帖  が貸し出されるということですね。前期展示。

これ、クリスティーズ・オークションに出たとき、中国人から酷評されたものです。それに便乗した日本人もいて当時ウンザリしたものです。2010年、中国でのオークションで当時のレートで38億日本円だったものよりはマシだと思いますね。喪乱帖などよりは劣るものですけどね。中国人の好みはわからん? 昔、喪乱帖を酷評した学者がいたり、大収集家狄平子(1873−1941年)が小川本智永千字文を理解できなかったのと同じ現象なのかな。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2101K_S0A121C1CR0000/

また、10年前の王羲之展のときに発表された「大報帖」も展示されるようです。これは、もっと模本性が強く、淳化閣帖の原本みたいな感じがしました。これも前期展示です。

妹至帖     1幅     原跡:王羲之筆 中国     唐時代・7〜8世紀摸     九州国立博物館蔵     〜2023年2月26日
大報帖     1面     原跡:王羲之筆 中国     唐時代・7〜8世紀摸         〜2023年2月26日

posted by 山科玲児 at 07:11| Comment(0) | 日記

COVID コロナ  ワクチンの効果問題


コロナ  ワクチンの副作用問題は、ようやく表面化してきたが、そもそも現時点でのコロナについて効果あるのか?という問題がある。1年前の初期のウイルスについては、確かに効果があったようである。それは、世界で最も早く多数の国民にワクチンを接種したイスラエルの例からして明らかで、第1波、第2波は見事に制御した。しかしイスラエルも第3波からは制御できなくなり、ワクチンへ頼ることを考え直したようだときいている。

ファイザーの幹部も「感染を抑える効果の実験はしていない」と言っているから、感染を抑える効果は期待できないと考えるべきで、日本政府や地方自治体のCMは誤り・ミスリードが多いようだ。

「重症化防止」効果については、ちょっと証拠をすぐだせないのだが、もしワクチンに重症化を完全に止める機能があるなら、接種者の死亡者はゼロでなければならない。逆に同じくらいの死亡者数なら、「重症化防止」効果ゼロになる。ただ、接種者と未接種者の絶対数が違うと換算しないといけなくなる。ここは数字や統計操作のミスリードが入りやすいところである。
 現状のデータをみると、高齢者について、オミクロン株でも、「重症化防止」効果はある程度あるようにみえる。その効果と副反応リスクを天秤にかけて判断するべきだろうし、年齢差や個人差もそうとう大きいはずだ。

posted by 山科玲児 at 06:17| Comment(0) | 日記

2022年12月29日

歴代王朝と故宮博物院

REDWALL  紫禁城 北京.jpg


   イメージは、北京  紫禁城の壁  当方撮影

  北京でも台北でも、故宮博物院のうたい文句に「中国歴代王朝に受け継がれた宝物」というのがあるが、果たしてそうであろうか?
  民末、李自成の軍が北京を占領し、皇帝が自殺明が滅びた後、清軍と呉三桂の連合軍が北京を攻め落とした。そのとき李自成は、紫金城を焼いて逃亡してしまった。そのため、北京に入ったドルゴンの軍勢は、土台だけになった紫金城の焼け跡にパオ(モンゴル式のテント家屋)をはって住居としたそうである。勿論、小さな建物で焼け残ったものもあったようだ。明時代に遡る文書のゴミ倉庫が後に調査され貴重なものが回収されたりしているから。しかし、少なくともこの時点で明朝から清朝への美術品の継承は無かった、とみなすべきである。

  したがって、「中国歴代王朝に受け継がれた宝物」といのは、かなり嘘だといわざるをえない。

  しかしながら、両故宮博物院の収集品には、確かに宋元明の王室にあった美術品がある。
 これはなぜなんだろうか?

 つまり、それらの美術品は宮廷から一度民間や官僚富豪の邸宅などへ移動し、再度、たいていは別王朝の宮廷に入ったのである。このように宮廷と民間を移動していたのが現実である。だからこそ李自成の焼却にも生き残ったのである。したがって、明の宮廷倉庫に明末にあったものは、滅びている。

では、宮廷から、民間には、どうやって出たのか?
皇帝が臣下や親族に下賜したり、軍資金に窮した皇帝が売却するというようなこともあったかもしれない。
しかし、宦官が盗んで売却した場合が多かったようだ。
 後宮と皇帝一家の私有財産の管理は宦官がになっていたことが多かったからである。
 また、王朝が滅びたとき、大規模な略奪が発生した結果である場合もある。清王朝の場合も満州に移した宝物については満州国崩壊のとき、それが起きた。ラストエンペラーが最後までもっていたものについては、中国軍?国民党軍?赤軍? が差し押さえたので、これは東北博物館経由で北京故宮博物院に入っているものが多い。
しかし、略奪や盗難、処分などで北京の骨董市場にあふれたものも多かったのである。
posted by 山科玲児 at 07:09| Comment(0) | 日記

2022年12月27日

大和文華館の乾山

大和文華館名品図録1961 夕顔茶碗.JPG

確か、佐野乾山論争のころだったと思うが、

某氏が「何で大和文華館は、あんな乾山ばかり買っているのだろう」と論難したことがある。
 よほど気に食わなかったらしい。
  しかし、某氏が推薦するものは、粗野で当方の関心をひくものではなかった。
 大和文華のものは、旧松永コレクションの乾山と共通性があり、
「お茶の乾山」なのかもしれないが、当方にはさして悪いものにはみえなかった。もともと原三渓のコレクションの趣味をひいた琳派収集なのだから、いたって正統だと思う。
イメージは。大和文華館名品図録1961に掲載された 夕顔茶碗  写真著作権消滅すみ。

posted by 山科玲児 at 08:19| Comment(0) | 日記

19世紀の編曲

50variations Tartini.jpg

Giuseppe Tartini, The Art of Bowing for unaccompanied violin, Gilles Colliard, DRC3007
1992 DORON music, Switzland

YOUTUBEの再生リストでだいたい聴くこともできるようである。https://www.youtube.com/watch?v=6ZyI9AqOwFs&list=OLAK5uy_k3u1qh-_Sj5cx6Xvvf84Xokb-6XhwYI50
https://www.youtube.com/watch?v=eY-JoxK-1bQ
https://www.youtube.com/watch?v=vZxoRoNOGeo

タルティーニのこの長大な変奏曲を聴いていたとき、
この深淵な曲を、つまらないクライスラーの編曲にしてしまった19世紀というのは、どれだけのものを失ったのか? と思ったものだ。
勿論19世紀の音楽には、多くの収穫があった。しかし、あのコレッリのラ・フォリアを
言語道断のレオナール版にしてまい、タルティーニの深淵な大曲をあの不純で貧弱なクライスラー編曲にしてしまう19世紀ってなに、と感じないわけにはいかない。

posted by 山科玲児 at 06:22| Comment(0) | 日記

昔の東大


 忘れ得ぬ人びと : 矢代幸雄美術論集1 / 矢代幸雄‖著 / 岩波書店 , 1984.2
  に収録されている大村西崖のことを書いた矢代幸雄(東大出身) の文章の一部を初出;

大和文華 第14号、65p、1954年
から引用させていただきます。

>>
その頃ーといふのは大正の初め頃であるがー東大出身の美術関係者には、著述をしないことを以って寧ろ名誉とするかのやうな風潮があった。
。。略。。
私共若い者の間には、なるたけ著述を出さないことを以って、自己批判のきびしい、或は頭のよい証據のやうな見えにすら思ひ、それと結びついて、何か形の残る発表をすれば、人にあら捜しをされる心配も手つだって、あまり著述をする人を「本作り(ブックメーカー)」などと言って軽蔑し、自分はお高く止まるといったやうな風習をすら生じた。
>>

(できるだけ旧字旧かなを残した)


  現在から見ると信じがたい陋習であり、とても学問の府とはいえないような保身と堕落であるが、東大に、このような風潮があったということは、歴史的な理解を助けるものだと思う。
  当方も、自ら省みて、旧稿で放置しているものもちゃんと補筆して公表しないと不味いなと感じたものである。
 東大のボス 瀧精一は、国宝保存会の長でもあり、法隆寺金堂壁画焼失の責任者の一人でもあったはずだ。
  東大東洋文化研究所の中国絵画専門家も現在は、ややましな人に変わったが前任者はとんでもない人だったしねえ。


posted by 山科玲児 at 05:58| Comment(0) | 日記