2023年03月31日

岩波書店の李白詩

唐詩別裁 李白.jpg   
唐詩三百首  五言絶句 ss.jpg李太白集 第六 湖北ss.jpg

上:唐詩別栽、(早稲田大学デジタルライブラリー)、下左 唐詩三百首 活字本、商務印書館、上海、1943年、下右、宋蜀本  李太白集 湖北書局による重刻(1888年)
 
李白の有名な詩 静夜思には、テキストが日中で違い、しかも日本テキストのほうが優れているという奇妙な逆転があることは、既に書いておいた。

岩波書店の一般書::
漢詩のレッスン(岩波ジュニア新書)
https://www.iwanami.co.jp/book/b223827.html
では、
  明月+山月
というハイブリッドなテキスト
を使っている。
これには、典拠がないわけではない。沈徳潜「唐詩別裁」のテキスト(上 黄色い紙のイメージ)である。
 しかし、これはどうもいただけない。
 日本なら、服部南郭先生 の良識にならって「看月+山月」でいいと思う(下右の蜀本)。
 どうしても中国に媚びたい、中国で現在一般的な詩句にしたいのなら、「明月+明月」にするべきだろう(唐詩三百首  下左)。
中国人の動画は、皆これである。明時代にできた俗本の形だ。

 実際は清時代の本でもアカデミックな全唐詩や李太白集などは大体「看月+山月」であり「明月+明月」なのは、お手軽な唐詩三百首ぐらいである。中華人民共和国の教科書にこのテキストが採用されたのは、学問の劣化といわなければならないが、いまさら「違いました」「日本のほうが正しかった」といえないのが苦しいところなんだろう。
posted by 山科玲児 at 07:28| Comment(0) | 日記

2023年03月30日

牛肉のラープ風

パクチー.JPG  牛肉  ラープ風.JPG


長崎のイオン系スーパー、レッドキャベツに パクチーが売っていたので、

牛肉も買って、ラオス・北タイの料理:ラープ風牛肉をつくりました。

posted by 山科玲児 at 07:47| Comment(0) | 日記

臨河叙 への疑問

臨河叙 従山.jpg  臨河叙.jpg



南宋以後刊行された、いろんな本に収録された詩文としての蘭亭序のテキストがすべてといっていいほど
「領字従山」であることは、既に数年前に指摘しておいた。
一方、みおとしていたものがあって、なんと法書要録の明版も「領字従山」らしい。

さらに見落としていたが、宋版の世説新語に注釈として引用された「臨河叙」まで
「領字従山」なのである(イメージ)。。

臨河叙 (臨河序)
https://reijibook.exblog.jp/30250846/

これは、かなり問題があることで、もし、蘭亭偽作説の人がいうように、現在の法帖拓本や模写本にある蘭亭序がこの「臨河叙」をもとにして偽作されたものなら、なんで現在まで伝わった蘭亭序の大多数が「領字従山」でないのか??
という大問題に発展する。だいたい、「嶺」→「領」への改変って考えにくい。「領」「嶺」は文意から、ありえることであるし、事実 南宋以降のテキストのほとんどはそうなっている。
残念ながら唐抄本世説新書には、この部分がないので、唐時代にどうであったかはわからない。
これを解決するためには、唐代以前から蘭亭序テキストは複数あった  と考えざるを得ない。

さらに「序」と「叙」の問題がある。なんで臨河「叙」(イメージ)なんだろうか??

蘇東坡が、祖父  蘇序の諱 を避けて蘭亭「序」を蘭亭「叙」にした。これに、文人たちがならって「蘭亭叙」を使うようになったというのが定説である。それなら、臨河「叙」 という文字があればそれは南宋以後の改変であろう。そうなるとこの注釈自体が南宋時代に追加挿入されたものだったのか、あるいはかなり文章の改変があったのか、という問題がでてくる。

イメージは宋版 世説新語  から採った。


posted by 山科玲児 at 03:33| Comment(0) | 日記

2023年03月29日

李白  靜夜思 のテキスト問題 続続

李太白集 第六 湖北ss.jpg

李白  靜夜思 のテキスト問題 については2018年に書いたが、

2018年05月22日 李白  靜夜思 のテキスト問題 続&【訂正】
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/183288469.html

最近、この論文をみつけた。広島大学の中国人研究者による論文

李白「静夜思」本文変遷史新考 : 『文選』所収の魏文帝「雑詩二首」との関連性をめぐって
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/ja/00046864

この論文の妥当性については、まだよくわからない。宋元の例といってもそれほど確実であろうか? 後世に刊刻するときに文字が編集されることもあるしねえ。

イメージは、蜀本の清末重刻本、長尾雨山旧蔵本

posted by 山科玲児 at 08:08| Comment(0) | 日記

ドミニコ・ガロのラ・フォリア 続




ドミニコ・ガロのラ・フォリアの良い演奏を更にみつけました

Domenico Gallo La Follia Freiburger Barockorchester
https://youtu.be/q6ObNmzqkEQ?t=4168
あの演奏会の切符がとれない団体 フライブルク・バロックオーケストラの演奏です。
これそうとう良いですね。

これは、ラ・フォリア の優れた演奏動画をルネサンス時代のスペインからヘンデルまでつなぎ合わせて集成したものです。著作権的にはあやしいのですが、、非常に面白い。
posted by 山科玲児 at 06:24| Comment(0) | 日記

2023年03月28日

ドミニコ・ガロのラ・フォリア



コレッリの有名なソナタ以降、ジェミニアーニ、ヴィヴァルディ、サリエリなどでより大きな編成での編曲拡大リスペクト作品が続出したラ・フォリアですが、、

ドミニコ・ガロ も作ってました。
Domenico Gallo, Sonata No. 12 La Follia in G minor (c. 1760), Australian Brandenburg Orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=Fr2sjjQ1u1A

ううむ、これは、ちょっと不思議な感じだなあ。創作3割、編曲7割というところでしょうか。。

2021年02月09日 悪ふざけじゃなかった
 http://reijiyamashina.sblo.jp/article/188386181.html  
で指摘してるように、セバスチャン・バッハもラ・フォリアへのリスペクトやってました。


posted by 山科玲児 at 07:50| Comment(0) | 日記

2023年03月27日

ドミニコ・ガロ 売ってた

Gallo.JPG


Domenico Galloのトリオソナタ 新品CDがamazonで売ってたので予備にまた1枚買いました。長調のバロック・ソナタでは群を抜いて優れたものだと思います。
Domenico Gallo 12 Trio Sonatas - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=pkP81gRdg2Y

しばらく品切れ 絶版 状態だったので、もう売ってないのかな、ここまで優れた作品のCDがもったいないと思っていたのですが、どうやら、また入荷してきたようです。
当方の環境では、CDのほうが音質がずっとよく再生できるので、こういう愛好する曲ではCDにしています。

posted by 山科玲児 at 08:50| Comment(0) | 日記

大塚国際美術館のルーベンス

walbuga  rubens.jpg


ですが、最近、
ゆるーいロケ動画があって興味深く観ています。

当方が四国で学会のついでに行ったときの感想::
2017年05月20日 大塚国際美術館の見所
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/179800566.html

やはり、古代中世の環境展示に一番感動しましたねえ。

上記記事で書いたもの以外で、最近考えている アイディアは、

ルーベンスの「キリスト昇架」の 原形復元です。もともと、この巨大な絵は更に巨大だったわけで、上に大きな絵と天使の山車のような切り抜き(米国のフリント美術館)がついていたのです。今の5割増しぐらいでした。
ミシガン  ルーベンス  天使
https://flintarts.org/art/galleries/bray-renaissance-gallery
それはイメージの、旧設置場所のアントワープの聖ワルプルガ教会内部を描いた古い油彩画(イメージは部分)に示されている通りです。
この上部を復元すれば更に凄い見物になるでしょう。




posted by 山科玲児 at 06:53| Comment(0) | 日記

2023年03月26日

古月軒はガラス器



 ヒュー・モスがオリエンテーションズ最新号で「古月軒」のことを書いていたが、
それは終止 ガラスの鼻煙壺のことだった。
Hugh Moss. The Origins of Guyue Xuan Enamelled Glass Wares: A Documentary Group of Qing Imperial Enamels Produced in the Inner Palace between 1767 and the 1770s
https://www.orientations.com.hk/past-issues/p/marapr-2023

 そこには底に「古月軒」と入っているものが何個も紹介されていた。
やはり、「古月軒」はガラスの鼻煙壺から出てきた単語・名称だったんだなあ。


2022年04月06日 古月軒 続
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/189446598.html
Soame Jenysの推理を紹介したが、その通りだったみたいです。

「古月軒」の文字が底にある不透明ガラス細工エナメル彩の鼻煙壷が大英博物館に寄託展示されている。これはデヴィッド・ファウンデーションのものだから、デヴィッド卿が参考資料として買ったものだろう。
https://www.britishmuseum.org/collection/object/A_PDF-804

また、「古月軒」銘のあるReginald Radcliffe Cory(1871-1934)の遺贈によるエナメル彩ガラス鼻煙壷も大英博物館にある
https://www.britishmuseum.org/collection/object/A_1936-0413-50
https://www.britishmuseum.org/collection/object/A_1936-0413-47
タグ:古月軒
posted by 山科玲児 at 12:38| Comment(0) | 日記

夜のガスパール

1842Gaspard (5).JPG
練馬区美術館「本と絵画の800年」展 〜12世紀の“巨大聖書”からゴッホ、シャガールまで!本と絵画の歴史を辿る
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202210231666500052
動画
https://www.youtube.com/watch?v=JvCltKBZz5Q

で、稀覯本がでているという話をきいた 機会に、

当方自身の愛書癖 考え直してみたら、西洋の本では、結局のところ、、

夜のガスパールだけだった、
https://reijibook.exblog.jp/30280282/

posted by 山科玲児 at 08:22| Comment(0) | 日記