2023年03月16日

料理物語の鳥料理

1643年版の料理物語(ref)には、

鶴、白鳥、カモ、雁、雉、山鳥、クイナ(二種)、鷺、ゴイサギ、ウズラ、ヒバリ、鳩、シギ、ツグミ、雀、鶏と

鳥・野鳥の料理が列挙されているが、カラスはない。

熊野のカラスのお札をみてもわかるように、日本では身近にいた鳥だったはずだ。

 同じように、みじかにいた獣でもネズミの料理はない。
(ちなみにアメリカ大陸のペルー ではあった。テンジクネズミの系統の動物だが)
 犬の料理は一つある。

  カラスは神様関係だから忌んだというなら、春日の神鹿とされた鹿は堂々と「第五 獣の部」の献立のトップにあがっている。そして、コオロギをはじめとする昆虫食もない。

   これは、食べた連中が絶滅したり、伝染病風土病の巣窟になったりという、災厄があったのだろう。

 人肉食のタブーも社会をまとめていくためという側面のほかに、プリオン病の防止という側面があったはずだ。

ref 料理物語 原本現代訳 131  教育社、 1988
posted by 山科玲児 at 10:46| Comment(0) | 日記

気づき と 立証


王羲之を中心とする法帖の研究.JPG


「気がつく」 ということと「立証する」ということは違う。

 中田勇次郎『王羲之を中心とする法帖の研究』第四版(二玄社、一九七五年)(上イメージ)

     51Pの法書要録のリストの中に、秋萩帖王羲之臨書23行〜31行と共通部分を持つ帖があることが指摘されている。
 となると、中田先生も気づいていたのだろうが、このことと同書の第4章2節「傳藤原行成臨王右軍尺牘」の記述とは矛盾している。改版の際に入れた追加だったのかもしれない。

 土屋聡氏の論文

土屋 聡 「「秋萩帖」所収王羲之尺牘十一通について」『国立歴史民俗博物館研究報告』第一九八集( 国立歴史民俗博物館 二〇一五年)
https://core.ac.uk/download/pdf/294898164.pdf
は、徹底的に是を検討し立証したものである。

 気づくことも大事だけれど、「立証する」ことも重要だ。

posted by 山科玲児 at 05:11| Comment(0) | 日記