2015年04月16日

古いオルガンのこと

Brugge StSalvatot Organ.jpg


 最近はパイプオルガンを見たことのある人も多くなったが、昔はオルガンというと学校にあるリード・オルガンのことだった。パイプオルガンは未知の存在だった、LPレコード時代になり、またラジオなどの放送(特にバロック音楽の愉しみ)などでパイプオルガンによるバッハの音楽を聴くことができるようになったが、パイプオルガンの大きさや、いったい建物のどこにあるのか? どういうふうに弾いているのか?は解らなかった。その後、東京でのコンサートなどである程度はわかったが、まさかあんな大きなもので家具というより建築物の一部であるとは思いもよらなかったし、演奏者があんな場所で弾いているとはまた想像もしなかった。その後、欧州でもっと本格的なパイプオルガンをみたが、これもまたかなり日本での先入観を裏切るもので、カテドラルの高い石壁の上や、2階の回廊の一部、入り口の頭の上にそびえ立っていたりするのに、度肝を抜かれたものである。場合によってはどこにあるのか?どこで演奏しているのかがわからず音楽だけが響き渡っていたりしていた。
 イメージはベルギーのブリュージュの救世主聖堂のオルガン、大聖堂の2Fの回廊にある。イメージの下にみえているのが1Fの大きな入り口の上部(一部)である。演奏者はその真ん中、イメージでいうと彫像の後ろで演奏しているのだが、下の広間からは遠くあまり見えない。まさに見上げてようやくみえるところにオルガンがあるのだ。

  このオルガンは音色からいうとややロマンティックで十九世紀っぽいものだったが、もともとは
 Jacobus Van Eynde (1717–1719) によって建てられた由緒のあるバロックオルガンだったようだ。 1902 に L. B. Hooghuysによって改造、1935年にKlais Orgelbauによって修理、1988年にFrans Loncke & zonenによって修理されたので、そうとう変わっているのだろう。逆にいえばかなり現代の演奏者にも弾きやすいオルガンになっていると思う。反対に古雅な音色はあまりない。外貌はバロック的で好ましいものだ。

  こういうオルガンケースに描いた絵画というのが分離されて残っていることも多いようである。
例えば、アントワープにあるメムリンクのキリストと奏楽天使祭壇画はオルガンケースの絵じゃないか?といわれているし、イタリアにもそういう例は多い。

 こういうパイプオルガンは移動できない、分解して他の教会に売るというようなことは過去にはあったようだが、演奏会用にホールにもっていくということはできない。従ってオルガニストはその場所に行って演奏するしかない。

 動画で、世界で最古の演奏可能なパイプオルガンを観ることができる。十五世紀前半のものだそうだ。
 これはスイスのシオンというところにある要塞のなかの聖堂にあるもので、まあ、なんとも凄いところにある。岩の塊というべきごつい要塞の門をはいり、これまた凄い石の螺旋階段を上って鍵盤のあるところにたどりつくのである。このような狭い螺旋階段はヨーロッパの建物には多い。このオルガンの左右にイコンのような古い絵画が残っているところも凄い。
1段しかない鍵盤はせまくキーも少ないので、演奏できない曲もあるだろうなと思った。
この動画をみるとオルガニストは石の壁から張り出した鳥籠のようなところで演奏しているのがわかる。

 次に面白いのが、オランダで最古のオルガンを弾くという動画である。
https://www.youtube.com/watch?v=NTKwxN0854U
北オランダにはアルクマールのオルガンなど、古いバロックオルガンが残っているが、
なかでも古いのが、このオーストハイセンのオルガンだそうだ。なんと1521年というからルネサンス時代である。
http://mypipeorganhobby.blogspot.jp/2009/03/oosthuizen-organ-holland-1521.html
やはり、1段鍵盤で鍵盤数は少ないし、ペダルもないが、柔らかい音が快い。そうとう保存が良く、後世の改造が少ないようである。
 ここは、鳥籠じゃなくて、一応2F回廊で演奏という感じである。

 オルガンはそれ自身だけでなく付属した彫像などもあるわけで、総合美術品という感じもする。ただ、演奏するという実用品だったために、繰り返し改造をうけることが多く、古いままのオルガンは辺境にかろうじて保存されているという感じである。



posted by 山科玲児 at 07:34| Comment(0) | 2015年日記
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