2015年03月22日に
ボス逝去500年ということで、来年2016年に、オランダの ス ヘルトヘンボスの北ブラバント美術館で特別展 を開催する。 その準備のために、ベニスにある三セットの隠者の祭壇画、聖女の殉教祭壇画、四枚セット(有名な彼方への上昇を含む)を借りてきて修理中ということを書きました
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/115514331.html
特に面白いのは、昔「コルシカの聖ジュリアの殉教」といわれた女性殉教者を主題にしたトリプティークのX線写真で、両翼の大きな改変がみえます。どうももとは大きな男性献納者の人物像1人づつ描かれていたのがその上を塗りつぶして聖人像を描いているみたいですね。 こういう場合、普通は夫婦の肖像が多いのですが、この場合は珍しく、両方とも男性です。それもどうも、僧職の人ではなく市民か貴族のような服装です。
実は、この指摘は1960年のBaldassの本に既に指摘されているようですが、露骨に写真で示してもらわないと、カラー写真だけみている分には全く気がつきませんでした。
こういう改変は古画に結構あるようなので、現在の画面だけから簡単にストーリーを作ってしまうのは危険なようです。
これは、所蔵者が変わったときに行われたらしいのですが、絵自体がいかにも画家自身のものにみえるので、時代的にかなり近い遅くても16世紀に行われた改変なのではないかと思います。そうすると、イタリアに来たのはボスの同時代ではなくかなり遅れるのかもしれません。少なくともイタリアからの注文品ではなさそうです。
これは、所蔵者が変わったときに行われたらしいのですが、絵自体がいかにも画家自身のものにみえるので、時代的にかなり近い遅くても16世紀に行われた改変なのではないかと思います。そうすると、イタリアに来たのはボスの同時代ではなくかなり遅れるのかもしれません。少なくともイタリアからの注文品ではなさそうです。
プラドの「三賢王の礼拝」も紋章からの注文主推定がうまくできていないそうで、従来の注文主名は間違いっぽいんですが、それもあるいは改変のせいかもしれませんし、
フレマールの画家のメロード祭壇画(メトロポリタン美術館)も翼部と本体で樹輪年代が違うという妙なことになっていて、従来考えられていた以上の改変がありそうです。