ここ数年、親戚や知人が古印材や掛け軸などを扱う扱い方が粗暴なのに、何度もヒヤヒヤしこころを痛めたものだ。別に悪い人たちでもないし、その他の分野では教養のある立派な人たちなのだが、古美術品の扱い方では野蛮人にみえてしまうのだ。 壊したり汚してしまっては代替えのないものなのだ。別に恭しくおそるおそる扱えといってるのではなく、ほんのちょっとしたコツ・作法の問題だけなのだが、それが解らない人が大部分である。
かなり高齢の人でもそうなのだから、これは第二次大戦の敗戦後、日本社会の中で、家庭教育での伝承が断絶してしまい、博物館員や古美術商や茶人など少数の人にだけ、作法が伝承されたということではなかろうか?
古筆収集で有名な某氏ですら、くわえたばこで古筆を広げたという言語道断の逸話すらある。
私にしてからが、恥ずかしいことだが、折り本の画帖は、イメージのように裏に指を入れてめくるものだという作法をずいぶん長く知らなかった。これは、いうまでもなく表面に指汚れをつけないためである。
そうはいっても、古美術品が必ずしも作法がある人に売られるとは限らない、むしろそうでないことのほうが多いだろう。そうなると古美術の汚損・破壊がすすむわけである。
それを防ぐために、大学で、集中講義やオープンスクールなどで、こういう作法の短いコースを実施し、単位がとれるようにすることを大学人に熱望するものである。別に一単位でなく補助的なものでもいい。必修である必要はない。簡単に単位がとれるなら、学生も気軽に履修できるであろう。
お嬢さん大学 お坊ちゃん大学で有名なようなところでは、必ずやるべきではないか?? と思うところである。
はっきりいって、高齢者に対して再教育は、かなり望み薄だが、オープンスクールやカルチャーセンターで「えらそうな先生」が教授すれば、いうことをきくかもしれないので、そういう催しも重要であろう。
また、西洋絵画、油絵 水彩画、彫刻、金属器、ガラス、西洋骨董などにもそれなりの取り扱い方があるはずである。私はあまり知らないが?? そういうものの取り扱い方もまた、講義で教えるべきだと思う。そうすれば一単位ぐらいにはなるかもしれない。
こういうことは従来は口から耳への伝承秘伝にたよったところが多かったのかもしれないが、そうやっていると文化財古美術の破壊が進むばかりである。
話しは違いますが、先般,大観展で見逃した渓山行旅図を堪能して参りました。今回も後期展示になる臨流獨座図について山科様の見解を伺いしたく。
この図は大観展でいたく感動し中国山水画に興味を持つきっかけとなりました。行旅図より時代は下がるようですが完成度は比較出来ないとしても構成、ダイナミズムとも素晴らしい作品と思っています。ご教示くださいませ。、
おかげで台北で、范寛 展をやっているのに気がつきました。
大観展のときの観察・感想はここに書きました
http://reijiyamashina.sakura.ne.jp/taipei200702.html
時間がないので、単純にいうと
臨流獨座図
については、
・良いもの
・おそらく金(南宋)時代
・たぶんもっと大きな画面の障屏画の右半分
と思っています。
詳しくはブログで書く予定
この図は大観展