2015年07月29日

周転円

Ptolemy Mercury Ibn Al Shatir.jpg


最新の宇宙論を扱った  
   宇宙を創るダークマター (2015/6/15)
           キャサリン=フリース(Katherine Freese)
                 http://www.amazon.co.jp/dp/453578793X
を借りて読んでみたが、まあ、自慢話や体験談やジョークも交えた破天荒なものだった。
 他の本を読んでいなかったら、なんのことかわからないことが多いだろうなあ。

 しかし、率直な言い方で書いてあるので、いままでどうも不審だったことが、やはり未解決なんだなとわかったりした。例えば、反物質と物質が消しあったら宇宙には物質はなくなるのだが、そうなってない理由が未だにわかっていないことなどである。10年前はわかっていたということになっていたのだが、日本のカミオカンデによる陽子崩壊実験の失敗で振り出しにもどってしまったらしい。

  ただ、最も真摯さを感じ、面白いと思ったのは末尾に近い280Pに周転円のことで1節を
書いていることである。現代の宇宙論が周転円のような間違った道へ走っているのではないか?という不安である。
  周転円というのはなにかというと、プトレマイオスの天動説天文学で使われた手法で天体の運動を多数の円軌道の組み合わせで表現するものである。イメージに14世紀のアラビア人が描いた周転円の圖をおいておく。
 ここで悩ましいのは、惑星のような周期的運動(出発点に戻ってくる運動)なら、「いかなる」ものでも必ず円軌道の組み合わせで記述できるということである。これは、19世紀初めのフーリエによって証明されている(フーリエ解析)。従って、ある種の彗星のような圏外に飛んでいってしまうようなものを除けば、惑星運動は全て記述できるのである。天動説でおかしなところは表面上はないのだ。

 私が、学生時代に受けた講義で、衝撃だったのは、コペルニクスの理論ではプトレマイオスの理論より精度が悪かったという話である。そのため徹底的な観測家であったチコ=ブラーエは、コペルニクス説とプトレマイオス説の折衷を試みたりした。コペルニクス説は天体観測の結果を説明できなかったのだ。ケプラーによって、ようやく精度がなんとか高まったというのが現実である。

  そういう状況では、天体観測結果に合う理論が正しいとしたら、プトレマイオス説の天動説のほうが正しいのだ。


  当時、コペルニクス説地動説を奉じて弾圧された人々は、観測結果の説明というより、もっと別の思想的問題で奉じていたと思う。

 どうも、現在のダークエネルギーの議論なんかは、かなり周転円っぽいところがある。

  

posted by 山科玲児 at 09:47| Comment(0) | 2015年日記
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