当方が、
陳鑑本と陸継善本蘭亭序 という論文を書くときに参考にした
湖南省博物館 所蔵の絹本の蘭亭序のかなり精密なカラー影印が2002年に、香港翰墨軒で既に出ていたようだ。
当方が参照したのは、
文物精華編纂委員會、 文物精華 第三集、 文物出版社、 北京、 1964年
の精密なモノクロ図版だが、さすがにこのカラー拡大図版だと、
イメージのように絹糸のほつれまでわかる拡大図版があって、損傷箇所がよくわかる。
神龍本との類似をますます感じた。ただ、もともと長沙にあったものではないだろう。長沙は蒋介石の命令で放火され大火災にあっているので、こういうものが生き残っていた可能性は低い。どうも福建省に清末には保存されていたようだ。どういう経路をたどったのか、湖南省人民政府文物管理委員会に1952年に購入されている。湖南省は毛沢東の故郷だったことと、なにか関係があるのだろうか?
これは2011年晩秋の北京での蘭亭特展にさえ出展されなかったぐらい、あまり展示されないものだから、今後とも実物をみるのは期待薄であろう。こういう出版物の価値は高い。
香港翰墨軒の出版だが、このシリーズでは、遼寧の萬歳通天帖のカラー影印もあってたいへんありがたいものである。
このような分野では、名品らしい開封の十七帖も影印して欲しいものだ。
。。。と書いていたら、最近、でた
王羲之王獻之書法全集 全十八巻
という超大型の叢書には影印があるようだ。ただ、これって全巻五十万円以上ですよ。
配本ごとでも十七万以上、、到底手がでないし、収納する本棚もない。
まあ、写真は撮ったみたいだから、そのうち単行本がでるのを待つことにしよう。ところがこの叢書には、この湖南の蘭亭や陳鑑本の蘭亭は影印されていないんだね。ちょっと不思議に思った。