王羲之の模写本で優秀なものは、何点かあるが、大陸にあるものでは故宮にある蘭亭二点と、遼寧にある萬歳通天進帖が有名である。それ以外で評価の高いのが、この天津博物館にある寒切帖だ。
ところが、この寒切帖、四十年ほど前に古紙として溶かされる寸前までいったそうだ。
天津市河西区太湖路のゴミ収集業の店で古紙を溶かす炉の前にあった古紙のなかからみつけたという。
当時は1973年ごろで文化大革命後期、まだ四人組が健在だったころである。
寒切帖は幸い救われたが、そういう荒廃した環境で、消えていった他の文化財も多かったのではなかろうか?