秋萩帖王羲之臨書のことをいろいろ考えているので、
一応、30年前の
秋萩帖双鉤填墨論. 書品283号 著者, 飯島 太千雄, 1985-08
を読んでみました。
もともと、裏に淮南子が書いてある色紙で双鉤填墨するってのは、無理ですから変な議論だと思っていましたが、読まないで一蹴するというのもよいことではないし、他の優れた見解が読めるかも知れないなあと思って、あえて古書店から取り寄せることにしました。
双鉤填墨っていうのは、模写本をつくる技術で、この図(イメージ)のように、籠字をとってこれを墨で塗って埋めるんですね。これは私が昔昔やったもので、原材料は、あまり知られていない贋物とされる王羲之の書の模写本です。贋物ですが珍しいのでコピーをもとに昔やってみたものを引っ張り出してみました。
籠字をとるときは、透かさないといけないのでトレーシングペーパーや雁皮紙を使うのが普通です。
やってみればわかりますが、秋萩帖では無理無理です。
やってみればわかりますが、秋萩帖では無理無理です。
著者がいう双鉤填墨のあとというものと類似した籠字の輪郭線みたいなものは、小野道風の玉泉帖、行成の本能寺切にも下記のようにあるんですね。これらが双鉤填墨という話はきいたこともありません。どうなの?
じゃ、双鉤填墨と普通のものとどう区別するんだ?? という話ですが、神戸大学の魚住研究室でやっていた墨色分解による分析が一番確かだと思います。
小川本智永千字文と喪乱帖であきらかに差をみることができました。
小川本智永千字文と喪乱帖であきらかに差をみることができました。
魚住教授には敬意を捧げたいと思います。もう退官なさったそうですが、この業績は顕彰されるべきだと思っております。