2015年09月18日

自然科学でも先入観はある



異形の惑星―系外惑星形成理論から (NHKブックス)  2003/5/1
井田 茂
http://www.amazon.co.jp/dp/4140019662
で、太陽系外惑星発見の経緯を読んだとき、なんとも不思議に思ったものだ。1995年前後のことだから、たかだか20年前のことで、歴史というより現代・同時代の話である。

77p「1990年代に入ってからの惑星探し・惑星形成についての国際会議では、きわめて悲観的な観測の中間報告ばかりが続き、いかに惑星は一般的には生まれないか(また
は生き残れないか)、いかに太陽系は特別かということを議論する講演が増えていた。」
77−78p「1993年末にハワイで行われた会議の、その常夏の気候とは裏腹の、とても暗く悲観的な雰囲気は今でも話題になる。..略。。。ブラックらの理論研究者は星形成『不能』理論を次々に述べた」

 で、たった2年以内の、1995年10月6日::最初の太陽系外惑星の発見 の発表(ケロッズとマイヨール、フィレンツェの学会にて)


22年後では、、
2015年7月31日 出版の
宇宙生命論
海部 宣男 (編集),    星 元紀 (編集),    丸山 茂徳 (編集)
http://www.amazon.co.jp/dp/4130627244

127p「6月末現在で、太陽系外惑星は、1800個以上」「惑星候補はすでに4500個以上」
111p「2010年ごろまでは『第二の地球を探せ』というフレーズがよく使われたが、その表現には。『そんなものは滅多にない』というニュアンスが含まれている。しかし、少なくとも惑星の軌道半径やサイズ(質量)でいう限り、地球のような惑星はあり余るほど存在するということが明らかになってきたのである。」

 思わずハァーー、と言いたくなる変化ぶり、、今現在のこれらの文章を信用していいのか??と疑いたくなるくらいである。

 しかも、1990年代から現在まで、質的に大きな技術的な飛躍があったのか??
 例えば、望遠鏡が開発されてガリレオが木星の衛星を発見したり、レーウェンフックが顕微鏡を開発して微生物の世界を発見したり、加速器が開発されて初めて新しい素粒子を作り出すことができるようになったり、そういう飛躍があったか??

 勿論、観測機器の精度の飛躍的向上はあったのだが、宇宙望遠鏡もそれ以前からあったし(ハッブル宇宙望遠鏡は1990年打ち上げ)、使われているのは従来の技術の発展・延長である。ものによってはアマチュア望遠鏡にCCDとPCをつけて観測するということさえあるという。

  なんというかなあ、先入観というか、学会の空気というか、思い込みはおそろしいものだなあ、と思う。

  あると信じないと、見えないんだな。

  こういう思い込みは「火星の運河」のような勘違いも生んできたが、生産的なことも多かったのだろう。

posted by 山科玲児 at 06:55| Comment(0) | 2015年日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]