に当方の書評が掲載されておりますが、
少し、補足
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・年輪年代法から考えて、「乾草の車」は2点(プラド エスコリアル)とも工房作ではないかと考えていますが、真作にいれてしまっているというのは、いかがなものでしょうね。
・ ミュンヘン アルテピナコテークの最後の審判 断片は年輪年代では推定伐採年代1440年ですので、124Pで、なんでボスの追従者で1500年〜1525年ということにしているというのは、おかしいでしょう。年輪年代が古いのに、推測年代が逆に新しくなるというのは、めちゃくちゃです。古い祭壇画や家具の空いたところに制作されたっていう想定なのかもしれないが、ちょっと無理がありすぎるんじゃないの?
・ 同じく124Pで、ゲントの「十字架を担うキリスト」を追従者の作としています。しかしですよ。これが誰の作品であったとしても、16世紀オランダフランドル絵画の最高傑作の一つじゃないでしょうかね。マッシスという名前があがっていたこともありますが、マッシスのどの作品より凄いと思います。
・ また、125pでプラド美術館所蔵の小品「聖アントニウスの誘惑」について「以前より多くの研究者からその真筆性が疑われていた作品だが」と書いていますが、「以前」というのは2001年より新しいある時点ではないでしょうか?2001年以前にそういう疑念は読んだことはありません。
・ amazon評に書いた「快楽の園」がヘンドリック3世の結婚祝いではなく、エンゲルベール2世Engelbrecht II van Nassau-Breda, (17 May1451 -- Brussel, 31 May 1504) の注文でないか?という推測は、エンゲルベール2世の注文による装飾写本(上のイメージ)に、このような奇矯な動物のイラストがかなり入っていることが傍証です。
・さらに118p 「17 キリストの処刑」の解説で、「寄進者像は一時、マグダラのマリアに描き変えられていたが、1966年の修理で元の姿に」というのがある。これも初耳なんで、調べてみたら。1949年パリ出版の本に写真があった下イメージ↓↓。
どうみても マグダラのマリアではない。 なにかの勘違いか? それとも1949年と1960年(美術館に入った年)の間で「マグダラのマリアに描き変えられていた」が起こったのか? でも写真があるんだから いくらなんでもそんな時代に描き変えなんてありえないでしょ。 これは呆れました。
Source: Jean Leymarie Jerome Bosch Edition Aimery Somogy, 1949, Paris