最新のOrientationsがきたら、やたらに薄かった(イメージ)。
変な話だが、この雑誌は薄いときのほうが、私的個人的には読みごたえのある記事が多く、厚いときのほうが読みたい記事が少ないという妙な傾向がある。
今回は、カナダのトロント ロイヤルオンタリオ博物館に、呉大徴旧蔵の古玉がめぐりめぐって最近入ったという話が冒頭記事であり、なかなか面白い。
ただ、ちょっと気になるのが表紙にもある 呉大徴の著書:古玉圖コウ(考)がやけに安っぽい石版印刷本だということだ。
貧架に所蔵している本(下)よりも安っぽい、後版のようにみえる。粗末すぎるんじゃないかな、
ただ、この古玉圖コウだが、ちゃんとした豪華本を一度も見たことがない。どうもひょっとしたら、この粗末な石印の本:上海同文書局本しか印刷本はないのかもしれない。 ただ、この表紙の本は題簽に「呉大徴」と麗々しく書いてあるので、かなり安っぽい商業主義的な感じがする、初版ではなくそうとうあとのものだろう。
この古玉圖コウは古玉の名前をつけるときの標準的命名ガイドブックみたいになっているので、結構需要があるのか、現代でも台湾や大陸で再版されているようである。あの璧とか圭とかいうような名前をつけるのには、この本を参考にするのが一番安易だからだ。もっと古い本はあるけれど網羅的ではないからね。図版が簡単な線描なのに再版されるのはそのせいだろう。
この記事のなかで 呉大徴の古玉圖コウに絵が描いてある古玉の現物が、二十点以上もロイヤルオンタリオ博物館に入っていて、その小さな図版が並べてあったのは興趣をそそるところである。呉大徴は、清末の大物官僚で蒐集家・研究家だった。