2016年04月16日

巻物を開かないで読めそうだ


2012年3月10日にもアップした、
炭化したパピルスをCTスキャンで読む
  http://reijiyamashina.sblo.jp/article/54374383.html
でも触れたように、
ローマ時代初期、ヴェスヴィオ火山の大噴火でポンペイとともに埋もれたヘルクラネウムの大きな別荘の図書室から発掘された
パピルスの巻物1000巻以上もあるギリシャ語の写本で非常に貴重なものであるが、真っ黒に炭化して木炭の棒のようになっている。19世紀以来、色々な人々が、巻をほどいて中を読む方法に苦心した。

 最近はX線トモグラフィーで、開かないで読む方法が研究されている。ということは既に述べておいた。
最近は開く技術も相当進んでいるが、それでも開くときに破損してしまう部分もかなりあるわけであるから、開かないで読めればそのほうがいい。
実際、危なくて開けない巻物(木炭の棒のようなもの)が400本以上あるらしい。

は、信頼がおけると思うが、
シンクロトロンから出るレーザーのように揃った純粋なX線(シンクロトロン光 シンクロトロン放射)を使って精細に解析するという方法で、いくらか文字がよめるようになったらしい。こういう突破口が開くと、この線でなんとか読めるようになるのではないか、と、どっと研究者が押し寄せるので系外惑星のときのように発見ラッシュになるかもしれない。
  実際、この写本は、勘定書,帳簿や役所の書類ではなく、エピクロス派の書籍なので、一般にも興味が深い解読だと思う。

 このヘルクラネウムの火山灰溶岩などに埋もれた大きな別荘「パピルス荘」は、ユリウス=カエサルの義父ピソのものだと推定されているもので、カリフォルニアのポール=ゲッティ美術館が、この建築を模写している。
     ゲッティ 美術館 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:060807-002-GettyVilla001.jpg?uselang=fr
     そのせいか、ゲッティ 美術館のサイトでは「パピルス荘 建築」のヴァーチャル ツアーができるようになっている。
      http://blogs.getty.edu/iris/a-virtual-model-of-the-villa-dei-papiri/

 この時代の邸宅の書庫は大抵2つあって、ギリシャ語の本の倉とラテン語の本の倉があるはずである。現在みつかっている写本は,ほとんどすべてギリシャ語のものだから、 もうひとつの倉があるということが期待される(約1500点のうちたった62点)。発掘にも拍車がかかるのではなかろうか。広げなくても読めるかもしれないのだから。ただ、時代からするとラテン文学の黄金時代の少し前だから、ペトロニウスもヴェルギリウスもないはずであるのが残念。

 また、日本の正倉院文書にも蝋燭文書といわれて固まってしまった文書があるがそういうものの中身を読むということにも応用できるかもしれない。

 
posted by 山科玲児 at 12:39| Comment(2) | 2016年日記
この記事へのコメント
マルクスは、エピクロスの研究もしてて、エピクロスをソクラテス以降の最大の人類の教師、
みたいに言うたのですよ。
実際、アリストテレス級の全集もあったようなのですが、キリスト教徒に憎まれて焚書され、
いまではエピクロスの教説は、ちょびっとしか残ってませんね。
これでエピクロス派の一次資料が大量に出れば、こんな嬉しいことはありませぬ。
Posted by 臨夏 at 2016年04月16日 13:53
エピクロス の一次資料としては

ギリシア哲学者列伝〈下〉 (岩波文庫) 文庫 – 1994/7/18
ディオゲネス ラエルティオス

に収録されているものが一番まとまったもののようです。

他は、発掘されたものや断片
Posted by 山科 at 2016年04月17日 08:11
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