2016年05月08日

若冲 300年展

若冲.jpg

東京都美術館で、若冲展をやっているようです。
〜5月24日まで

動物さい絵の米国 ワシントン展覧に続く?? 一挙公開ということで、絵の前に三重の列ができるという大盛況だそうです。

    >混雑状況5月8日(日)】9時45分現在、チケット売り場の待ち時間は約25分、入室までの待ち時間は約140分です。
   >

思わず、はああああ  と漏らしそうになる状況ですね。

バーンズコレクション(憶えている人はかなり年輩かも)か正倉院展かという騒ぎです。2000年ごろでは、こんな混雑はなかったと思います。フェルメールやレオナルドなみですね。もともとこのシリーズ画は京都の相国寺にあったもので、相国寺の法会や祭日に開帳して好評だったものだそうですから、伊藤若冲にしても、現在のような観賞のされかたを喜んでいるだろうと思います。

 しかし  若冲の「冲」が「じゃくちゅう」といれると一発で変換できるくらい 伊藤若冲ってメジャーになっているんだな、と感心します。

 1970年ごろでは、少数の意欲的な研究者や愛好家をのぞけば 伊藤若冲を積極的に蒐集・観賞する人はあまり多くなかったのではないでしょうか?  御物にあるので、戦前の光村印刷所出版の豪華図録には酒井抱一とともに収録されていました(イメージ)。1980年代では「若冲 展」なんて、まず無かったと記憶しています。 芸術新潮1975年10月号で、「日本の名画」発掘という企画を組んで「日本美術の盲点」という無署名ルポ(相当  優秀な人が書いてる)が収録されていました。当時、紹介された画家のなかでは、若冲のメジャー化は最も際立っています。私としては、渡辺始興や久隅守景、鈴木基一のほうが好みですが。

 伊藤若冲への再評価は、浮世絵と同じく外国の評価の逆輸入で、情けない限りです。特に米国の
エツコ&ジョー・プライス の蒐集がすざまじく、「その熱意は、日本から若冲の絵がなくなるまで続く」(佐々木剛三、海外流出問題を考える。芸術新潮1969年10月号)でした。今回もプライスからあの変わった鳥獣花木図屏風が来日展示されています。これは実見していますが奇想は評価するがあまり実物をみてありがたいという感じはありません。 またバーク コレクションの「月梅図」は、1985年に、  東博で開催された「日本美術名品展―ニューヨーク・バークコレクション 」で観たのですが、私が初めて印象深いと思い長く記憶している若冲画でした。これは、今回も展示されています。今はメトロポリタン美術館に入っているようですね。

  そのあとも、御物の展覧や、日本美術名品展などで若冲画を観る機会は多かったのですが、絵の前は至って閑散としていましたから、隔世の感があります。まだ20年も経っていないのですがね。
  私としては、若冲の絵では、拓本を模倣した点描画の作品(下イメージ)が面白く独自性があると思っています。
若冲 in TNM 2005JanP.JPG
posted by 山科玲児 at 09:49| Comment(8) | 2016年日記
この記事へのコメント
私が若冲と云う画家のことを知つたのは 昭和15年頃 中学生の時でした。父親が展覧会で 御物の動植綵絵を見てきて 大層感激して熱つぽく語つてくれたことを覚えています。その時 絵葉書を3枚買つてきてくれました。コロタイプモノクロでしたが その中の「貝甲図」の汐溜りの奇妙な形が忘れられず長く記憶に残りました。父親は終戦翌年に泉下に帰し 私が若冲を初めて見たのは戦後 東博だつたと思います。その後三の丸尚蔵館が出来て毎回通うようになり 動植綵絵30幅を 修理前も修理後も何回か拝見しました。何時も殆ど人影なくゆつくりみました。今回初日に上野へ行く次手があり 20分並んで入りました。目的は16年前の京博展で再発見され近年修理された「菜蟲譜」1巻で 久し振りの対面でした。若冲の絵は技巧を凝らしカラフルですが印象は大層静かです。プライスの枡目描き屏風は騒がしくてとても若冲とは思えません。妄言多謝。
Posted by 低眉 at 2016年05月09日 10:38
>低眉 様

  若冲 展に長蛇の列ができるなんて、未だに信じられない感じがあります。江戸期の特色のある画家にスポットがあたり、軽薄な西洋崇拝ではなく、日本美術を丁寧に評価するようになったのは良いことですが、単発ものというか、なにかうけるものがあったらそれをクローズアップして煽って 人を集めてもうけるというマスコミの意図が見えるところが、ちょっとね。


 「菜蟲譜」1巻は2009年重文指定のようですが、栃木の佐野にあるもののようですね。佐野も佐野乾山で悪印象があるのですが、古い伝統がある町のようです。

 プライスの鳥獣花木図屏風は、カラー図版のほうが綺麗にみえるというか、まあたいしたものではないと思います。マスコミがもっともらしく解説して煽るのには良い素材なんでしょう。

  当方が好きなのは、拓本風の描写がある東博の屏風。八大山人風の水墨画である京都細見美術館の屏風でしょうか。



  
Posted by 山科 at 2016年05月11日 08:47
鳥獣花木図屏風については 佐藤康宏氏と辻惟雄氏とで 若冲作の可否について論争があり 国華紙上で論議されるまでになりました。私には到底若冲の作品とは思えないのですが。静岡の屏風のほうがまだ良いとおもいます。白象図は見事ですね。 オリジナリテイが感じられます。それにしても 美術史学者も コレクターの御機嫌をとらなければならず大変ですね。プライスコレクションが出ている展覧会からは 佐藤氏はしめだされているとのことです。今回の若冲展は異常ですね。マスコミの煽てに乗つて140分並ぶのはどういう人達なのでしょうか。我が国の文化度が高まるともおもえませんが。石灯籠の屏風は 京都展で初めてみました。あの点の打ち方は絶妙ですね。何時まで見ていても見飽きません。、
Posted by 低眉 at 2016年05月11日 12:54

低眉  様>白象図は見事ですね。
MIHO MUSEUM「象鯨図屏風」をさしているんでしょうか。

これの類似作品が昭和初期に3500円(現在なら2000万円ぐらい)で落札されたということは、当時こういうものが結構 評価されていたんですね。


Posted by 山科 at 2016年05月11日 21:17
山科様  枡目描きの白象図で小屏風の片方です。若冲として問題ないと言われています。西陣の織物設計図にヒントを得たのではとの説もあります。MIHOMUSEUMは良い作品を手に入れましたね。象と鯨 動的なモチーフですが 品の良い静けさが漂い 心が和みます。若冲展の券が1枚残り 昨日上野に出掛けましたが 200分の待ち行列で馬鹿らしくなり 隣の芸大陳列館でバーミヤン石窟東大仏天井壁画の3次元原寸大復元をみました。大層良く出来ており今回返還される流出文化財ともども楽しく見ました。太陽神の頭上を4羽の白鳥が飛んでおり 自然の循環を表すと説明がありましたが 思い出したのは東寺講堂の梵天で 四鵞座に乗つており 梵天は本来印度の神なので当然ですが 思いがけずバーミヤンと東寺を結ぶルートを見つけ面白く感じました。隣の東博では九博から巡回の黄金展が開かれています。
Posted by 低眉 at 2016年05月13日 13:36
> 隣の東博では九博から巡回の黄金展が開かれています。

九州国立博物館で 、このアフガニスタンのものは観ました。
ベクラムの遺寶、特にインドの象牙製品が、世界の他にはないもので(ベクラムの遺寶を分割したパリのギメにはありますが)、もし未見なら、ご鑑賞をお薦めします。

黄金は、ロシア出土のスキタイ黄金を観ているなら同類のものです。ベクラムのローマングラスのなかではミルフィオリの大皿、エナメル彩の大コップが興味深いものでした。

Posted by 山科 at 2016年05月13日 20:27
山科様  有難うございます。東博のアフガニスタン展は開会式の招待を貰いましたので出掛けて行き 流出文化財の返還式も見てきました。展示も一通り見て出品物の確認もしました。あと2回見にゆくつもりですので 現在 カタログを熟覧中です。関心はやはりベグラムの象牙とガラスです。ギメには 昔 3回行きましたが スタイン・ペリオのシルクロードに興味があり 資料も集めていましたので 象牙は見ましたが細かく記憶に残つていません。今回 少し調べたいと思つています。東洋文庫のデジタルライブラリーでベグラムの報告書が見られるのですが 仏文で{全くダメ}図版を見るだけです。何時も情報を有難うございます。
Posted by 低眉 at 2016年05月14日 12:46
低眉 様>関心はやはりベグラムの象牙とガラスです

ベグラムの象牙の、展覧会カタログの誤りについては、

2016年02月08日に書いておきました。
Posted by 山科 at 2016年05月14日 19:27
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