宮内庁書陵部収蔵漢籍集覧というデジタルアルカイーブができたそうなんですが、一般公開ではなく特定の学術団体が購入して、内部で利用するようなものらしいです。
収録書目を観ると、堅い本が中心のようで、あまり食指が伸びませんが、それでもあまりに閉鎖的じゃないですかね。
四部叢刊とか、叢書集成、古今図書集成とかいうような清時代〜民国の巨大な叢書などは、そういう販売がされているようですが、基本的には企業による事業ですから、利益のために販売するというスタンスは理解できます。
宮内庁書陵部のこれには国家の予算がはいっていないんでしょうか? 正倉院の聖語蔵のアルカイーブでもそうでしたが、国家予算によって制作したものは、部分的にでもインターネットで公開するのが当然ではないでしょうかね。なんか、こういうとこが、「資料の独占」によって学会に権威をもった昔の学者の病癖を感じるところですね。例えば、クレタを発掘したアーサー=エバンスが、自分で独占的に研究しようとして、粘土板資料を公開しなかったので解読が遅れたりしたこともありますから、この病は東西共通のようです。
宮内庁書陵部蔵書はもともとは徳川家康が駿府にもっていた紅葉山文庫の多量の書籍が入っているので、なかなか貴重なものが多いようです。
例えば、
>明代(1614年)に刊行された『楊東莱先生批評西遊記』には 元代の 西遊記の話の痕跡を残して書かれた雑劇であるとされている。この本も 中国にはなく 日本 雄藩萩藩の一支藩である徳山毛利家に伝来したものを、現在 宮内庁書陵部が所蔵している。
もっとも、このテキスト「活字」自身は公開されているようですけれど、誤りや解釈の違い、書誌学的問題
挿絵の質などは、なかなかわかりません。
古書で挿絵を複製したものを 国会図書館のデータベース
雑劇西遊記
でみることができますが、普段みている挿絵と違ってなかなか面白いですよ。