2016年06月12日

マドリードの邸宅美術館

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  6月3日に、プラドを早めに切り上げて、タクシーをつかまえてセライボ美術館にいった。

なにせ3時までしかやっていないので悠長にコミーダ(昼食)やっているとしまってしまうのである。ここはあまり知っている人はいないようだし、古い旅行ガイドには閉館中となっているありさまである。しかし、同じマドリードのラザルガルイディアーノより更に徹底した本当の邸宅美術館である。なんで私がここを知っているのかというと、長崎にきたプラド美術館 静物画展にあったMiguel de Pretの葡萄の絵に感銘を受けた。そのMiguelのサインがある基準作の「葡萄」がここにあるという情報を得たのがきっかけである。
 2015年05月05日
  深遠な葡萄 アントワープからマドリードへ来た画家          http://reijiyamashina.sblo.jp/article/126754461.html

 庭はどうてことないが、玄関に入ったとたん大理石とタペストリー、シャンデリアに圧倒される(イメージ)。案内の女性がいて、奥ののドアで切符を買えという。ノーフラッシュなら撮影可能なので、皆がやっているようにカメラだけとりだして鍵つきロッカーにいれた。実際、通路がそれほど大きくないし、そこらじゅうにアイテムが裸でおいてあるので、とても大きな荷物をもって鑑賞などできない。どうも、毎日の入場者数を60人に制限しているらしい。実際に中をみると、これは無理もないと思った。
 中国人韓国人団体客など、決して入場させてはならない。めちゃめちゃになるのが眼にみえている。ベルギーの古都ブリュージュの14世紀の鐘楼の最上階にもハングルのひどい彫り込み落書きがあった。

 大半の部屋が豪華絢爛を誇示したつくりだが、特にすごいのがボールルーム(舞踏会場)で鏡を複雑に使って幻惑的な空間を作っている(イメージ)。フランス人の観光客が話しかけてきたんでヴェルサイユと比べてどうか、と聞いたら、ヴェルサイユより豪華だというとんでもない回答が返ってきた。実際、大きさはともかく豪華さが凝縮しているという点は、近くのスペイン王の王宮よりも強烈である。スペイン王王宮は見学した限りでは、すっきりした感じを受けた。この過剰な豪華さは、フィレンチェのピッティ宮やシエナのキージ サラチーニ宮を思わせるところもあるが、もっとバロック風である。
 興味深い部屋のひとつが、豪華というのもおろかのダイニングルームだが、ここはボデコン(台所画  静物画)が多数かかっている。なるほど、野菜などの静物画はこういう風に使われたのだと納得した。ここの壁の一角に、Miguel  de Pretのサインがあるらしい葡萄の絵ともう一つの二房の葡萄の絵がかけてあったがテーブルのむこうなので よく撮影できなかったし、双眼鏡はロッカーにいれたままなので使うことができず残念だった。しかし、どういう風に使われた絵なのだが、よくわかる。
 また、ビリヤード室があって、豪華なビリヤード台がおいてあった、アマデウス モーツアルトの財産にも高価なビリヤード台があったが、こいういものではなかったろうか?
  図書室の2Fには小さな梯子をかけて上る。かなり危ない感じがする。この梯子は取り外し式のようで幅がせまく、たぶんこれしか2Fの書棚にいけないようであるのがすごい、こういう梯子は古版画などにみることができる。
 淑女の化粧室 トイレット というべき部屋(イメージ)もあって、これも注目を集めていたようだ。
 また、シエナのキージ サラチーニ宮でも思ったが、シャンデリアてのは、かなり低いところ、手を触れられるぐらい低いところまで降ろして使うものなのだ。考えてみれば蝋燭などの明かりなのだから、あまり高いところにあると、照明効率がよろしくないし、天井が煤だらけになる。フェリーニの映画「カサノバ」で、宴の後で召し使いたちがシャンデリアを床まで降ろして火を消したり蝋燭を交換したりするシーンがあった。あのときはかなり高い位置までひきあげていたようだが、あれは映画だったから、低いと様にならなかったのかもしれない。

  絵画作品は多数あるが、本当の名画と称するべきものはあまりないようである。しかし、個人コレクションというのは、優れたコレクションをまとめて受け継ぐという幸運にあわない限り、概してこういうものではないだろうか。
 工芸品には優れたものが多そうである。

 邸宅美術館というのは邸宅+収蔵品であるが、ここは、収蔵品では世界的に有名な作品などない。むしろ19世紀以前に、大貴族や富豪の蒐集家がどういう風に美術品を展示していたか、という形をそのまま観ることが出来る希有な例である。邸宅と美術品では邸宅のほうに重きを置いた珍しい例だ。

 米国ニューヨークのフリック=コレクション、ボストンのイザベラガードナー、ロンドンのウオレス=コレクション、アントワープのマイヤーファンデアベルク、パリのジャックマールアンドレなど邸宅美術館と称すべきものは多いが、イザベラガードナーは例外として多かれ少なかれ手をいれて整理して美術品を見易いようにしてあるようだ。また邸宅そのもがミラノのポルディ ピッツォーリのように連合軍爆撃の被害にあったところもあり、優れた一流の美術品を展示してあっても、当時の蒐集観賞状況そのままという生々しい感じを受ける美術館は少ない。
 このセライボはその真反対であり、タイムカプセルに入るような不思議さがある。
  マドリードの邸宅美術館としては、ラザロ=ガルディアーノ美術館が所蔵品という点ではここセライボよりずっと優れているが、ここセライボ美術館は所蔵品ではなく、内装や環境をみるところだと思った。

 個人でそっと訪れることをお薦めしたい。


posted by 山科玲児 at 05:25| Comment(0) | 日記
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