2016年06月19日

快楽の園 と ゲント祭壇画

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  プラドにあるボスの快楽の園 の最大の謎は、そのスペクタクルとでもいうべき中央画面(イメージ)である。

  謎また謎なんだが、最近3度ほど現物を丁寧に観、更にカタログをひっくりかえして、いろいろ考えたことのなかに、小さなおもいつきがある。

 それは、こういう構図をどこかでみたような気がするということだ、それは、あの偉大なファンアイク兄弟のゲント祭壇画の中央下部

 神秘の子羊の礼拝 の大画面(下イメージ)である。

 そりゃ、ゲント祭壇画のほうは、謹厳な聖職者聖人聖女預言者天使たちが大挙して集まってくる画面で、快楽の園の大部分が若く美しいヌードの男女が集まってくるのとは正反対である。ゲントの祭壇画への冒涜だという人もいるだろう。しかし、全体の左右対称的構造、運動性、中心の生命の泉、遠景の風景画的処理などの点でかなり近いものを感じる。

  というより、現在まで残っているこの時代の西洋絵画をざっとみると、この2つはかなり類似する。

  おまけに地理的に近く、ボスはゲント祭壇画を観ることができた可能性がかなり高い。というより、観たに決まってるんだろ、といいたくなる。

 この相似について、触れた人がいただろうか??



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posted by 山科玲児 at 09:07| Comment(4) | 2016年日記
この記事へのコメント
生命の泉や対称性など、確かに類似を感じます。ゲントの祭壇画の上段のパネルにもまごうかたない「人間のヌード」は描かれてますし。その裏には受胎告知が、と書きかけてあれ? と確認してみたら、アダムの裏には多くのひとの姿のある現世の町の風景が見える窓が描かれ、イヴの裏には洗面台とタオルが描かれていますね。http://closertovaneyck.kikirpa.be/#home/sub=open

『快楽の園』はさらにミスティークですが、神的世界と世俗的現世の両方を描き込んでいるという点でも共通しているのかもしれないなどと、拝読して感じました。

Posted by ゆう at 2016年06月19日 15:51
ゆう 様

 卑説に賛同していただいてありがとうございます。

 俯瞰的な地平線の高い構図で、輝かしい緑が広がっているという点も似ているかもしれません。

 イコノクラスムや、戦災で亡失した絵画は多いでしょうが、現存のものではかなり似た部類ですね。それにゲントの祭壇画はデューラーの日記をみると、結構容易に拝観できたものらしいです。

Posted by 山科 at 2016年06月19日 17:18
そうですね。 おっしゃるとおり、水平線が高い点も同じですね。

実はブリュージュのメムリンク美術館(Sint-Janshospitaal)の三連祭壇画の右翼http://vlaamseprimitieven.vlaamsekunstcollectie.be/en/collection/saint-john-altarpiece
「聖ヨハネの幻視」を観るとなぜか『快楽の園』を思い出すのですが、この絵もよく見ると水平線が高い位置にあります。全く意識していませんでしたが、そのせいもあったのかもしれません。

デューラーの旅日記は私も思い出していました。ボスもメムリンクも見てないはずがないですね。
いずれにしても、単純なコピーとは違った吸収消化の上で開花した相似だと感じました。

プラドは最初から諦めていましたが、スヘルトーヘンボッシュを逃したのが改めて悔やまれます。
玉稿拝読させて頂けるのがせめてもの救いです。


Posted by ゆう at 2016年06月19日 17:50
ゆう  様

コメントありがとうございました。

メムリンク美術館の祭壇画の右翼と快楽の園の関連については、考えたことがないので、みなおしてみたいと思います。

この右翼については、下記のような意見を過去に書いたこともあります。

メムリンク:影のある幻
http://reijibook.exblog.jp/23616135/
Posted by 山科 at 2016年06月19日 20:35
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