2016年07月03日

静物画には出来不出来がある

Miguel de Pret Cerraibo.JPG


 2016年5月30,31,6月1,3日にプラドを初めとするマドリードの美術館を巡ったとき、目玉のボスとラトゥール以外で注意したのは、17世紀の静物画である。近世西
欧の静物画の起源の一つが17世紀スペインの静物画であり、去年の5月に長崎県美術館の
企画展 プラド美術館所蔵 スペイン黄金世紀の静物画――ボデゴンの神秘
http://www.nagasaki-museum.jp/permanent/archives/28
で、数点  観賞もしていたからである。

 長崎でみた、フアン・バン・デル・アメン《果物と野菜のある静物》1625年 という作品については、あまり評価できず、ブログでは無視していた。その後、東京上野の西
洋美術館で、フアン・バン・デル・アメンの別の作品を平成26年度予算で購入したと聞いて、学会で上京したとき鑑賞したが、これもあまり感心できなかった。西洋美術館の失敗ではないか?と思ったものである。
 フアン・バン・デル・アメン  果物籠と猟鳥のある静物  収蔵作品
 http://collection.nmwa.go.jp/P.2014-0002.html

 今年(2016年)に、この画家の作品をマドリードのプラド美術館で観たら、次の作品が傑作で、隅々まで力が入ったものだった。アーティーチョークも花もガラスも皆素晴らしい。とても長崎でみたダレた作品と同じ画家の作品とは思えない。

 ところが、同じプラドのすぐ脇にかかっている同じ画家の作品
は、真ん中のレースのようなウェハース?と右の焼き菓子と砂糖漬果物は素晴らしいけれど、それ以外は、かなり遜色がある。

 保存状態や出来不出来の差がかなりある画家だと思った。そういう意味では西洋美術館購入作品も偽物とはいえないが、あまり魅力がないなあ、そういう点では失敗ではないかと思っている。


 この画家の父は、Jehan van der Hamenというフランドルの宮廷人であり1586年にマドリードに移住した人であり、母もやはりフランドルの血をひく人だという。名前がもろ
にオランダ ベルギー風だもんな。
深遠な葡萄 アントワープからマドリードへ来た画家
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/126754461.html
で推薦した、MIGUEL DE PERETもまた、アントワープ生まれの移住者だったし、スペインの静物画は独立した発生ではないのではないか? ブリューゲルやD.セーヘルスなどの
アントワープ  ブリュッセルの静物画とは関係があるような気がしている。
 このミゲル デ  プレートの基準作は、セラエボ美術館の豪華なダイニングルームの一角にひっそりと飾ってありました(上イメージ)


 一方、有名品でがっかりしたものもある。
2015年05月06日
プラド美術館所蔵 スペイン黄金世紀の静物画
http://reijiyamashina.sblo.jp/article/127127397.html
の中で、ラミーレスの絵をコターンの絵の模写と推察して、かなり悪くいった憶えがある。
そのサンチェス=コターンの原画を今回見ることが出来た。
 そしたら、手前にあるひねこびたニンジンは迫真の出来であったが、それ以外の部分はラミーレス(下のリンクで参照)とたいして変わらず、コターンのほうが素晴らしいという感じは全くしなかったということに、がっかりしてしまった。
  逆にいえば、長崎に来たラミーレスの絵は結構良かったんだな、と再認識した次第である。勿論、上のフアン・バン・デル・アメンのように、コターンの傑作が他にあるのかもしれないが、これに限ってはプラドのコターン作品が群を抜いているわけではないと指摘しておきたい。なんというか、有名作家にも無名作家にも出来不出来はあるんだなあ。
RAMIREZ, Felipe(documented 1628-1631 in Toledo)
Still Life with Cardoon, Francolin, Grapes and Irises
1628
 Oil on canvas, 71 x 92 cm
 Museo del Prado, Madrid
 http://www.wga.hu/html/r/ramirez/cardoon.html


posted by 山科玲児 at 10:17| Comment(0) | 2016年日記
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