2016年08月06日

エスコリアルのロヒール

Calvario Rogier madonna.jpg

Calvario Rogier St Jans.jpg

  マドリード郊外、電車で1時間エスコリアル宮+修道院では、プラドのボス展と平行して、
  絵画の展示をしているが、ここでみたかったのは修理が終わった ロヒール  ファンデアワイデンの カルヴァリオこと磔刑図だった。
    Restauracion El Calvario de Rogier van der Weyder
     https://www.youtube.com/watch?v=HFGY0O8xj6c
  このことは、前にも書いたが、もう一度書いてみる。
  この磔刑図 については痛みがひどく表面の絵の具にはロヒールの筆が残っていないような酷評を昔からきいていた。
   碩学Dirk Devosの, Rogier Van Der Weyden: The Complete Works
 2000/4 にも、「ひどく傷んでいて、上塗りが多く、モデリングも含めて画家の技量をまたもに評価できない」といって、赤外線によるモノクロ写真だけを掲載してあった。

   もっと古い本Martin Davis, Rogier van der Weyden, 1972,Londonでは、Severly Damagedとまたひどい評価である。

  この絵画にはフェリペ二世ごろの記録があり「ブリュッセルのカルトジオ教会にあったロヒール親方の作品」ということが確実なものなので、惜しいことだと思っていた。

   しかし、私がエスコリアルの一室で観たときは、結構感動した。まず、高さ3.2mもある巨大さに圧倒される。巧妙な修理のためか、その日の午後に比較のため鑑賞したプラドの十字架降架 と比べてもそうひどく見劣りがするとは思えなかった。当方は修理前をみてないのでなんともいえないが、数少ないロヒールの作品の中に、この大作をいれることを喜びとするものである。
 上に赤外線写真と修理後の絵とを比較しておいた。そう遜色はないように思える。
 この大きな絵は、背景といい、聖母とヨハネの銀のような白い衣といい、フィラデルフィアにあるジョンソンコレクションのこれまた大きな2連画とよく似ている。
posted by 山科玲児 at 16:59| Comment(0) | 2016年日記
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