2016年09月12日

ボス展のカタログを読む その11  ボスとラトゥール

Bosch Prado 2016.JPG

LaTour Prado.JPG


 プラド美術館では5月31日〜6月7日までは、ボス展とラトゥール展の両方をやっていた。
 まあ、2つを同時に観ることが出来るというので、マドリードに行ったわけだが、ラトゥール展のガラガラぶりにはかなり呆れたものだ。

 ただ、この2人の遺作には奇妙な共通点がある。
 同じ絵、それも殆ど同時代に制作されたらしい同じ絵が2つあるということだ。
 時代がより近いせいかラトゥールのほうがそういう例が多く、展覧会場で、「いかさまカルタ」のよく似た2点 アメリカのキンベル美術館所蔵 とパリのルーブル美術館所蔵のものを比較することができた。また、聖ヒエロニムスの殆ど同じ(描いた器物が少し違うだけ)の2点も並べて展示されていた。 表紙のマグダレーナもルーブルに似た作品がある。
 ここで展示されていたわけではないが、ベルリンとパリにある有名な「聖セバスチャンを悼む聖女たち」の比較も有名な事案である。今はパリのほうに軍配が上がっているようだ。

 ボスの場合は、エスコリアルとプラドに「乾し草の車」が1点づつある。今回は同じ会場に並んではいなかったので、エスコリアルまで行って観賞したのだが、結構良い絵だった。少なくともプラドのより著しく劣るということはない。ボス展のカタログを読んで納得したんだが、もともとプラドの祭壇画はバラバラになっていて、別々のところに所蔵されていたものらしい。それをプラドに集めて一つに戻したのは1914年、20世紀になってからである。 どうりで、非常に古い本ではエスコリアルのほうがとりあげられるはずだ。と思った。現在は赤外線でみた下書きなどを勘案してプラドのほうが良いとされている。
 ただ、年輪年代法では、プラドのほうは、ボス没年ギリギリぐらいの制作になってしまうところが、かなりつらいところだ。エスコリアルのほうの基底材木の年輪年代は、その10年前くらいだから不自然ではない。
 この2つの「乾し草の車」には、不審な点が多いので、もともとボスの作品ではないのでは?という疑念や、2つともコピーなのでは?という疑念が提起されている。カタログの作品解説を記述したプラド美術館の学芸員 Pilar Silva Marotoおばさんは、立場もあるのだろうが、さすがにそういう議論にはなっていずプラドのほうが真蹟という議論になっていた。

posted by 山科玲児 at 11:02| Comment(0) | 2016年日記
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