2016年09月29日

ボス展のカタログを読む その16 工房作の定義

Bosch Prado 2016.JPG


プラド美術館の学芸員 Pilar Silva Marotoおばさんの論説
Bosch and His Workのうちカタログページ46pに、「工房作(WORKSHOP OF BOSCH)」という言葉がBRCPで乱用されていると嘆いておられます。

BRCPカタログでは、1510年から1520年ごろとされる作品で、「工房作(WORKSHOP OF BOSCH)」にしているものがあり、1516年以後の作品を「工房作(WORKSHOP OF BOSCH)」にするのは、
「画家が墓の中から蘇って制作しているかのようだ」

と皮肉っています。いうまでもなく、この言葉の背景にはキリストの墓からの復活や、最期の審判のときの死者の復活を背景にしています。
つまり、用語の定義 使用法が厳密でないと「真贋論争」とかいってもむなしいだけで、意味の無いものになるということです。

Silva Marotoの議論を当方が整理・敷衍したのが以下のような分類です。

*ボス生前の、画家が全部もしくは主要な部分の制作をしたオリジナル
 (小生:二人以上の画家の共同制作というのもあるかもしれません。例えばQ.マーテイエスとパテニールの共同制作やルーベンスとヤン=ブリューゲルの共同制作は有名です。また、ゲントの祭壇画は二人の画家が引き継いでます。ボスが未完成で残したものを弟子が完成させたものや、あとで大幅に弟子もしくは他の画家が描きなおしたもの(St Wilgefoltis Triptiqueの両翼がかなり怪しい)をどう扱うか?という問題は留保します)

*ボスの直接の指導のもとに協力者や弟子が制作した工房作「工房作(WORKSHOP OF BOSCH)」

*ボス生前・死後を問わず、弟子や協力者が独立して制作した「弟子の作品」(pupils)

*ボス生前・死後を問わず、ボスと面識もない別の画家がボスの画風に倣って描いた「模倣作(after Bosch)」「ボス派の作品」followers of Bosch /Boschian

 を、分けて考えないといけないということです。勿論、判別することが難しいケースが多いでしょうが、最初からグチャグチャにしていてはどうしようもない。


posted by 山科玲児 at 06:41| Comment(0) | 日記
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