2016年11月08日

鳥獣戯画  切られた紙

鳥獣人物戯画乙 (11).JPG

鳥獣人物戯画乙 (13).JPG

  九州国立博物館での特別展「京都 高山寺と明恵上人−特別公開 鳥獣戯画」
平成28年10月4日(火)〜11月20日(日)
休館日:10月17日(月)、10月31日(月)、11月14日(月)

が好評で、土曜11時ごろは60分待ちだったようだ。

まあ、鳥獣戯画絵巻だけ、特に甲巻にだけ集中しているようだ。
正直言って、九州国立博物館には長い巻物をひろげられる長大な展示ケースがないようで、その点が問題だったように思う。今後の改善を期待したい。

さて、カタログには鳥獣戯画については簡単な文章しか載っていなかったのでがっかりしたんだが、修理報告と研究書が出版されているようだ。

鳥獣戯画 修理から見えてきた世界  勉誠出版
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&cPath=9_28&products_id=100625

ただ、1万円という価格なので、図書館から借りてきた。
今、読んでいる最中なんだが、「ヤケに狭い短い紙が継いであり、しかもその紙が隣接する紙と同じ紙質である」ということが乙巻には特に繰り返しでてくる。
 狭いまるで封筒みたいな紙が継いであるのは、別に修理しなくても古い複製をみればわかることなんだが(イメージ:印章は紙継ぎに押されている)、同じ紙質であるだけでなく、もともと1枚の紙をあえて切ってまた継いであるようなのだ。

  なんでこんな無駄なことをしているのだろう。いろいろ考えたが、

 伝世のある時期に、冊子や折り本にされていたのではないか、そのために折りの山がすり切れた。あるいは冊子にするための切断が行われた。

 これしか、回答が浮かばなかった。

 実際、上の2例では、動物が一体 うまく入るように再切断されているようにみえるので、大きな画帖のようなものになっていたのかもしれない。

 実は、同じ紙を切ったということを知らなかったころは、こういう白描絵で寺院で制作されたかもしれない素描のようなもの(密教での白描図像なども多い)は、貴重だった紙を継いで料紙を作ったのだろうと考えていた。しかし、同じ紙を切ったということでは、そうとは考えられない。


posted by 山科玲児 at 09:13| Comment(0) | 2016年日記
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