2017年02月05日

東博は春日大社展

春日権現絵巻 雅楽奏楽.JPG

芸術新潮が春日大社特集やっているので、なんでだろうと思ったら、
特別展「春日大社 千年の至宝」

 平成館 特別展示室   2017年1月17日(火) 〜 2017年3月12日(日)
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1814#info
http://kasuga2017.jp/
でした。

  春日は、関西在住のころ、奈良に折々いったころ詣でたものでしたが、お祭りのころに、戸外で雅楽を演奏していたのに遭遇したことがあって、その印象が最も深いものでした。
  今思い起こせば、その演奏形態は鎌倉初期の春日権現絵巻の一部に、似ていました。今回は江戸期の模写本が展示されるようです。戦前、正木直彦東京美術学校校長の肝いりで木版で制作されたレプリカからイメージを作ってみました。

  この春日大社の「御神宝」はまとめて国宝に指定されているんですが、なんと昭和5年の発見なんだそうです。それまで倉庫なりなんなりに秘蔵されていたのでしょうか??平安末期の壊れやすい工芸品が含まれていて、貴重なものです。その中でも魅力的なのが、金銀蒔絵箏(2月14日(火)〜3月12日(日)のみの展示)です。この箏の琴の装飾は、先人が指摘するように、西本願寺三十六人家集の墨流し

  例えば【躬恒集の一開】
     https://commons.wikimedia.org/wiki/File:36poets_collection_MITSUNE1L.jpg
などによく似たデザインであり、11世紀末〜12世紀の「世俗的」蒔絵という珍しいものです。

 当時のこういう工芸品は殆ど残っていず残っているものも仏教関係が多いので、仏教寺院以外でどういうものが使われたのか実はよくわからないというのが現実です。織物なんかとくに残っておりません。奈良時代のほうが正倉院があるのでまだわかるくらいなのですね。

この楽器は、昭和26年ごろには、厚く汚れに覆われていて、模様がみえませんでした。
当時の赤外線写真がありますので、Wikimediaにずいぶん前にアップしております。
金銀蒔絵箏 修理前赤外線写真 春日大社本宮古神宝 153cm
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:MAKIE_NO_KOTO_KASUGA_Shrine_Infrared.JPG

  洗浄前の写真と修理の詳細は、週刊朝日百科  日本の国宝 109「国宝の修理と保存」の11-266頁にあげてあります。復元複製も作ったようで、その写真もあげてあります。こういう場合の復元複製というのは、玉虫厨子などと同じく結構有用ですね。
それにしても朝日新聞は、こういうとこは不思議にまともだな、
朝日新聞は止めて、月刊芸術朝日でもやればいいのに。。


posted by 山科玲児 at 06:40| Comment(0) | 2017年日記
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