2017年04月19日

鄭文公碑

鄭文公下碑.JPG



 北魏の鄭道昭が書いて磨崖というか大きな石に刻した鄭文公碑(下碑)は19世紀以降、包世臣が絶賛したせいもあり、人気が高い。そのためか偽物の拓本も多いようである。なんでもレンガに全部彫ったのが某所にあるそうで、その荒れた表面の感じがいかにも風雨に摩滅した古碑の感じになっているそうである。また、この大きな磨崖を大きな石に全部そっくりに彫ったというものもあるそうで、その努力には呆れるばかりだ。拓本によっては墨が非常に濃くて石面の感じもわからず、字の線にも墨が入ってしまっているようなものがある。そういう拓本では真贋はなかなかわからないし、また鑑賞価値も低いと思う。
 1990年ごろでは、拓本を二册の折り本にしたてたものの完本(一応 本物)が10万〜20万円ぐらいだったように記憶している。龍門二十品のセットがやはり二十万円くらいだった。

 イメージは、前にも出した一冊だけの端本の一部だが、これはたぶん本物だと思っている。もっとも最初みたときは表紙など廃墟のように傷んでいた端本なので買ったときも安かったし、現在でも高いものではないだろうが、まあ個人的には良いものなので修理して愛蔵している。

 もともと、非常に多数の拓本があるものなので、そう珍しいものでもないはずだが、人気があるので偽物も多いということだろうか。
  有名な旧拓本としては、比田井南谷 旧蔵本、中村不折旧蔵本、松井如流旧蔵の全套本などなど、とにかく数は多いので、まともなものを観るのに困るということはない。それなのに、ずいぶん変なものを使っていることがあるのは不思議なことである。
posted by 山科玲児 at 08:10| Comment(0) | 2017年日記
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