は、あくまで、ピーテル=ブリューゲル1世(1525?-1569)の本なので、息子の画家
ヤン=ブリューゲル(1568-1625) については、簡略である。ただ、ちょっと気になったのはヤン=ブリューゲルが花の画家であるということだけ強調してあったことである。 まあこれは常識的な見方ではあるのだが、現存する遺作を見る限りは「花の画家」という評判と美術史上の実績はちょっとずれているように思う。
ヤン=ブリューゲル(1568-1625) については、簡略である。ただ、ちょっと気になったのはヤン=ブリューゲルが花の画家であるということだけ強調してあったことである。 まあこれは常識的な見方ではあるのだが、現存する遺作を見る限りは「花の画家」という評判と美術史上の実績はちょっとずれているように思う。
もある。
当方の、長年、ヤンの花の絵を求め続けて、がっかりを繰り返した経験からいうと、
花の絵でのヤンの本領は、開拓者であって大成者ではないと思っている。
「先生のほうが弟子より優れているはず」「時代が降るほど芸術はだめになる」というような尚古的、黄金時代的偏見が私にもあって、弟子筋のダニエル=セーヘルスの花の絵より優れた作品がヤンにあるに違いない、そうでない作品は贋作だコピーだ、と先入観をもってしまっていたのである。そのためずいぶん無駄な時間費用を費やしたと後悔している。
むしろ、ヤンの本当の傑作・本領は動物などを含めた風景的アレゴリー画であって、花の絵だけ追い求めているとそれらを見逃してしまうと思っている。イメージはルーブルの「大地のアレゴリー」の右下隅、
個人的に傑作だと思ったのは、
ハーグのマウリッツフイス美術館にある楽園の中のアダムとイブ(ルーベンスとの共作)https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jan_Brueghel_de_Oude_en_Peter_Paul_Rubens_-_Het_aards_paradijs_met_de_zondeval_van_Adam_en_Eva.jpg
ルーブル の「空気のアレゴリー」の飛翔感
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jan_Brueghel_(I)_-_Air_(Optics)_-_WGA3548.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jan_Brueghel_(I)_-_Air_(Optics)_-_WGA3548.jpg
これはナポレオンがミラノのアンブロジアーナから略奪したものなので、これこそ返却すべきだと思うものだ。なお、これは評判が良かったらしくコピーや類似した絵が何点もある。