は、ここ20年で 出色の優れたブリューゲル本だと思うが、ちょっと気になるところがある。
昔から有名なもので、とりあげていない絵や版画があることだ。
そのうち、「イカルスの墜落のある風景」
については、「あとがき」で、コピーであろうから省いたと注記してある。
この絵画の問題点については、当方も詳しく書いておいた。
ブリューゲルの最も初期の油絵とされる
チベリアの海で使徒の前に現れるキリスト(個人蔵)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Christus_und_die_Apostel_am_See_Genezareth_(Bruegel_1553).jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Christus_und_die_Apostel_am_See_Genezareth_(Bruegel_1553).jpg
は、あまり公開されなかったので、観た人も少ないらしいが、最近はカラー図版も公開されているようである。1970年ごろにはドイツアンスバッハのPETER VON POELNITZ コレクションにあったというが、現在は米国ニューヨークにあるという噂である。まさかトランプタワーにあるとかいうんじゃないだろうね。
これも収録されていない。 最近真作かどうか疑問だという噂もあるので除いたのかもしれない。1970年ごろの森洋子さんは真作として評価していたと思うが、その後、新しい事実が発見されたのかもしれない。
大きな魚は小さな魚を食う
は、今回の「バベルの塔展」のマスコットにもなったが収録されていない。
当方も議論したように、ブリューゲル本人の関与が少ない模写的傾向のある作品じゃないか、という
ことであえて除いたのではないか?
ことであえて除いたのではないか?
と思っている。
例えば、一枚の版画をぴらっと机におかれて、ブリューゲルのサインもなく「ボス」のサインがある場合、
先入観がない場合、果たして「ブリューゲル」といえるであろうか? 伝統的にブリューゲルの作品とされてきていて、ウイーンのアルベルティーナにブリューゲルのサインがある素描があるから「ブリューゲル」の作品ということになっているのだが、もう一つ根拠が弱いと思う。ヒエロニムス=コックはボスの作品をもとにコックの知り合いの画家に素描を描かせて版画にしたりしていたわけだから、この作品もその一つでないとはいえないだろう。コックだけでなく、他の出版社もボスの素描をもとに乞食達の版画なんか出版していたし、その場合は当然描きなおしてまとめる画家を雇っただろう。
先入観がない場合、果たして「ブリューゲル」といえるであろうか? 伝統的にブリューゲルの作品とされてきていて、ウイーンのアルベルティーナにブリューゲルのサインがある素描があるから「ブリューゲル」の作品ということになっているのだが、もう一つ根拠が弱いと思う。ヒエロニムス=コックはボスの作品をもとにコックの知り合いの画家に素描を描かせて版画にしたりしていたわけだから、この作品もその一つでないとはいえないだろう。コックだけでなく、他の出版社もボスの素描をもとに乞食達の版画なんか出版していたし、その場合は当然描きなおしてまとめる画家を雇っただろう。