2017年06月26日

ボイマンス展

Boymans museum  rotterdam.jpg 

バベルの塔  展:ボイマンス展は、今週で終わりなので、先にコメントしておきたい。
 ボイマンス展示については、思い出というかなつかしい感じ、そうそうこういうコンセプトの美術館だという感じを思い出しながら鑑賞した。もっとも会期末近いので混んでいて、そこまでゆったりとした感傷はもてなかったが基本はそうである。
 ボイマンス は、ロッテルダムの蒐集家のコレクションを基本としているので、王室や教会や都市貴族や国家権力をベースとした収集とは違った性格をもつ(イメージはボイマンス美術館の2000年以前の写真)。
  15、16世紀の無名画家の断片が結構多いのだが、その中に魅力的な佳作が多いので捨てがたいものがある。また  素描もケーニッヒコレクションがまとめて入ったこともあり優秀だし、版画収集も優れている。
 最近は、むしろモダンアートの積極的収集のほうがめだつ美術館である。ロッテルダムという土地柄であろうか。
  当方は、初めてロッテルダムに行ったとき、休館日で門前で引き返す屈辱をなめて、それ以後事前の情報収集を怠らなくなった。
  今回の目玉のブリューゲル「バベルの塔」は2001年にここボイマンスでボス特別展が開催されたとき、なぜか最後のほうに展示されていて、なめるように観た記憶がある。展示位置も低く、顔をつけるようにして観た。ほんとに額に触って観るような環境だった。従って今回はありがたく遠くから再会を果たして遠望し敬礼しただけである。ちなみに最初に鑑賞したのは池袋でボイマンス美術館展があったときで、そのときは少し離れた位置でみたものだ。そのときも日曜でもあまり観客がいなかった。

さて、今回の展示では一番印象的だったのは、そういう旧友というか旧知のものではない。

 やはりスコーレルの学生の肖像No.38 が傑作だと思う。、これは時代を飛び抜けたような新しさと初々しさ、デリケートで上品な色使い、すばらしい衣服の描写、ちょっと変わった手の指の表現には、ジョルジュ ド ラトゥールのような雄弁さがある。

 また眼が左右で違い、微妙な感情を表現しているようにみえる。しばしば塗りつぶされがちな背景のデリケートな色彩が保存されているのは珍しいが、あるいは二十世紀に上塗りをはがしとったのかもしれない。

 幸い高精度の画像がWikimediaあり、しかも色あわせが良いせいか現物の印象とあまり違わないので、推薦したい。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jan_van_Scorel_-_Portrait_of_a_Young_Scholar_-_Google_Art_Project.jpg

 

 メムリンクの馬の絵No.30は、カラー図版でみるとバカみたいな感じをうけるが、実物は馬の要所要所のモデリングが利いていて結構よい。それに周囲の煉瓦のアーチの質感がいかにもブリュージュ風だ。
  ボスと推定されている小さな断片 「老女の頭部」No.45は、この種のものなかでは群を抜いて質が高い。どうも右上に縦の格子窓があるようだ。
 ボスの有名作2点は、またお会いしたという感じである。近年の修理のためか放浪者は少し若返ったような感じだし、聖クリストフォリは褪せたような感じが薄らぎ華やかになっている。
 ボスの素描をもとにしたらしい版画No.52と53は、ロッテルダムでも観たが、やはり彫りや刷りが甘い感じがした。
 三賢王の礼拝No.49 は、メトロポリタンによく似た絵があってそっちのほうが有名だ。昔池袋 西武セゾン美術館でボイマンス美術館展があったとき、この絵はみたことがあって、あまり印象はよくなかったが、今回みるとメトロのものとあまりかわりはない。むしろ酷似していると思った。 作品の価値としては、どっちもどっちで、ボイマンスのほうの年輪年代は1546年以降なのでボスの作品ではないのだが、メトロの作品の忠実なコピーというところだろうか。しかしどちらも、そんなものか?ほんとにボス?  親戚の絵なんじゃないの? というものである。 一応、メトロの絵の基底材の年輪年代は1466以降と古いので合格なのだが、年輪年代が古いからといって同時代の他の画家の作品であるという可能性だってあるわけで、盲信はできない。


ボイマンスの無名画家の作品としては、
No.19 庭園に坐る聖母子の背景がおもしろかった
ポールゲッティのところにある絵「教皇セルギウスの夢」を思わせる迷宮的建築だ。ただ、前景の人物がちょっとね。

葉の刺繍の画家の2作品NO.13と14は、もともと大画面の作品の一部のようである。刺繍のような平板な樹木描写や衣服の描写も、もともと大画面の作品やタペストリー下絵のような作品を専門にした画家だったからではないか。。

また、無名画家のNo.9「斬首のために連れ去られる聖カタリーナ」も断片っぽい絵だが、なんと主人公が背中をみせた後ろ姿である。こういう説話的な画で主人公が後ろ姿で顔をみせないのは甚だ異例だとおもう。
   また、背面に静物画がある「風景の中の聖母子」No.29がある。この背面の静物画がなかなかよく、ブリュッセルのエクスの画家の予言者エレミアの上部にある静物がをおもわせた。
  マドリード ティッセンにあるメムリンク作の肖像画の裏の静物画のように、こういう形での静物画は15世紀からでてくるようである。
 展覧会の最初に展示された彫刻のなかで、妙に四角張った体格というか衣装のものがあってそれがボスとも関係のあるア^ドリアン  ファン ウェッセル系統の作品だったNo.6。この時期の木彫彫刻ではドイツのリーメンシュナイダーばかりが有名であるが、ほかにもとりあげるべき個性があるかもしれない。

posted by 山科玲児 at 21:49| Comment(0) | 2017年日記
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