2017年06月30日

アルチンボルド展 その4 アルチンボルド本

ARCIMBOLDO 2017 ss.jpg

アルチンボルド展

を期に、
アルチンボルド本がどっさりでないかなあ、、と思ったんですが、やはりダメでした。

従来
アルチンボルドを冠した単行本は、
しかなく、しかもこれは「絵」のことはほとんど書いていない。当時の文化史文学史のような本で、絵の鑑賞研究には全く役に立ちません。これ買って失望した人は多かっただろうなあ。


画集でも単独の物は日本語ではなかった。あのトレヴィルでも出てなかったと思います。
そういうことなので、今回の図録はまともな論説としては、日本語では唯一のものですので
中を見ずに買いました。


ところで、今回は便乗出版がやはりあるようです。

しかし、芸術新潮の最新号 やっぱりアルチンボルドだったんですが、今回は不発だな。
ブリューゲルにおける森洋子先生のような人材いないから、文章が面白くない。ボスのときの小林教授のような勇猛果敢な人もいませんから、突っ込む気にもなれません。

便乗出版らしいものは次の本です。

・奇想の宮廷画家 アルチンボルドの世界 (TJMOOK)2017/6/17

大友 義博


・アルチンボルド アートコレクション2017/6/8

リアナ・デ・ジローラミ・チーニー、 笹山 裕子




・西洋絵画の巨匠 アルチンボルド (小学館アーカイヴス 西洋絵画の巨匠)2017/6/28

小学館

ムック


  西洋美術館の売店でもちらちらみましたが、あまり良いものはなかったなあ。ブリューゲルのように昔からなじみのある画家と違って、日本ではまともに書ける人がいないからでしょう。海外の著作を翻訳すればいいといっても編集者翻訳者がわかっていないと何を翻訳していいのかすらわからない、ということになります。


タッシェン本が出ていたのは今回初めて知りました。



・アルチンボルド (ニューベーシック) (タッシェン・ニューベーシック・アート・シリーズ)2001/6/13


ヴェルナー・クリ-ゲスコルテ



  タッシェンの本は昔から、カラー図版が主で論説は穏当というか優等生的というか教科書的というか、学問的野心がまったくないものが多いので、まあ図版集としてはいいのかな。


さしあたり、色会わせは悪いとはいえ、今回のカタログが一番良いと思っております。


 今回のカタログの最後の「参考文献目録」を見ると、どうも定番のカタログレゾネすらないらしい。


 海外でもアルチンボルド研究は未だ 未完成もいいとこ、のように思いました。ふと、思い立って、定評のあるマーリー夫妻の美術事典Dictionary of Art and Artistsを読んだらアルチンボルドについて間違いじゃないか?と思うようなことすら書いてありました。アルチンボルドがまず仕えたのはマキシミリアン帝でルドルフ2世への絵画は少ないのい、ルドルフ2世のことしか書いてない。 やはりまだ未踏峰なんだな、と思うところです。



posted by 山科玲児 at 08:50| Comment(0) | 2017年日記
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